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三島由紀夫 晩年のサイン付き、装丁が美しい面妖で艶やかな一冊
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【タイトル】黒蜥蜴(くろとかげ)
【著作】三島由紀夫
【発行年】1970年
F:三島由紀夫のサイン付き……。すごいですね、いつ頃書かれたものかわかりますか?
小宮山:1970年に出版されているので、その時期のものだと思います。三島由紀夫は1970年割腹自殺をしているので晩年のサインであることは確かです。
F:「黒蜥蜴」は江戸川乱歩が原作で、三島由紀夫の手によって戯曲化。美輪明宏さん主演で舞台化、映像化されました。
小宮山:宝石などの「美しいもの」を狙う女賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎が対決する物語なんですが、装丁の色彩が放つ面妖な艶やかさなど、なんとなく話の内容とリンクしているデザインだと思いませんか?装丁以外の装飾も素晴らしくて、トカゲの皮が貼られていたり、ページ1枚1枚にトカゲの型押し施されていたりとこだわりの強さを感じます。実はこれ、同じ中身で様々なデザインが出版されたようなんです。
F:全部で何種類出たんですか?
小宮山:これが難しいところなんですけど、そもそも「350部本」と「著作本」の2種類出版されているんです。「著作本」は50部しか出てないんですが、「350部本」と「著作本」それぞれ「色違い」を出しているんです。なので、色の種類だけで言うとピンクと、藤色と、紫色の3種類です。
F:装丁デザインを担当された方とかってわかるんでしょうか?
小宮山:正確なことはわからないです。ただ、三島さんは割と装丁に口を出す人ではあったんですよね。「初版と再版で装丁を変える」とかはざらにあります。なので、普通は初版本の方がレアなので高い値段がつきやすいんですが、三島さんの作品に関しては、再販の方が部数が少なく、珍しいので値段が高くついたりするんですよね。
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