Image by: FASHIONSNAP
いつの時代も私たちの見聞を広げてくれる「本」。世界最大規模の古書店街としても知られている神保町で、1939年から80年以上続く老舗書店「小宮山書店」は、1階から4階まで所狭しと本が並べられ、写真集や雑誌をはじめ、ポスターやフォトプリントなどアート作品の販売も行っている。「本の販売」に捕われない独特の店構えが魅力の小宮山書店 3代目店主である小宮山慶太に、オンラインサイトを眺めていても出会うことができない「捲ってもらいたい本」5冊を選んでもらった。
店主プロフィール
【名前】小宮山慶太
【好きな本のジャンル】写真集
【影響を受けた本】「薔薇刑」/細江英公
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目次
日本写真界の生みの親?木村伊兵衛の腕が光る写真集
【タイトル】日本
【著作】日本工房(名取洋之助、木村伊兵衛、土門拳ほか)
【発行年】1937年
小宮山慶太(以下、小宮山):戦前、戦後と活躍した写真家 名取洋之助が、木村伊兵衛や原弘等と共に設立したデザイン会社「日本工房」が刊行した写真集です。木村さんは、日本の写真界を作った人と言っても過言ではないですよね。
FASHIONSNAP.COM(以下、F):蛇腹で、折本仕様の写真集ですね。現在でも珍しいタイプの写真集だなと思いました。
小宮山:木村さんは写真「集」を売るということに特化した方だったんですよね。彼の中で「プリント」で写真を売るという概念がなかった。なので、木村さんのネガなどは生前に全部焼き切ってしまっているようで、現代にはあまり残ってないんですよ。
F:タイトル通り、「ザ・日本」という古き良き日本を紹介している写真集ですね。
小宮山:デジタルではないコラージュ写真って面白いですよね。しかも、伝統芸能的な部分ではなく「白黒で切り取った日本」というイメージを、よりクローズアップさせる効果を彼らが狙って編集している。そういう意図が見ていてわかるのが素晴らしいなと思います。
F:刊行されてから84年経っている大変古い本です。
小宮山:刊行されてから現在までの間に、一定期間だけお店で保管されていた時期があるというのも、本の「円熟」にとって重要な要素だなと思います。よりヴィンテージ品になっていく、そんなイメージです。
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