東京の街を舞台に、どこか既視感がある日常ながらも物憂げで時には思わずクスッと笑ってしまうスナップ写真を撮るオカダキサラ。そんなオカダによる連載「歳時キサラ」。独自の観察眼で切り取られたその季節ならではの4枚の写真を、それぞれに付随するタイトル&テキストと共にお届け。オカダがついついシャッターを切りたくなったのはどんな瞬間?
さいじ‐き【歳時記】
1,一年12ヵ月、または季節に分かち折々の自然・人事などを記した書物。
2,俳句の季語を集めて分類・整理し、解説や例句を載せた書物。
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1988年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。大学在学中に東京をテーマにストリートスナップを撮り始める。忘れられてしまうばかりの瞬間には、毎日の見方を変える不思議な仕掛けが隠されているのではないか。そんな思いで街にレンズを向け続けている。第4回1_WALLファイナリスト、2015年度ユーナ21入選、2016年度コニカミノルタフォトプレミオ入選。
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「こめられる弾はひとつだけ」
各地でイベントが再開されるようになり、都内を行き交う人も増えてきた。
数年前の閑散とした東京は記憶から薄れつつあるが、コロナ問題は終結したワケではない。
それどころかコロナ関係以外にも、次から次へと新しい困難は生まれ続けている。
射的で的を絞らなくてはいけないのと同様に、課題も一つ一つこなしていくしかないのがもどかしい。
世の中は、問題が起きる数と解決できる数のバランスが悪すぎる。
「触れて分かること」
銀座を彩るショーウィンドウはどれも目を引くものばかりだ。
ディスプレイからお店のコンセプトを探るのも楽しい。
店頭に並べられるのは一流ブランドの目玉商品で、きっと手が出せないほど高価なのだろう。
ガラス越しからは商品のヨサがよく分からないのだが、だからといってお店の中に入って見せてもらう勇気は全くない。
触りたい・触ってはいけないの気持ちが押したり引いたりして足が止まる。
「花だけ残せない」
ひまわりの花で埋まっていた場所がすっかり寂しくなっていた。
今は休耕期間で、冬から春先にかけて咲く花がまた植えられる予定なのを知ってほっとする。
秋は過ごしやすく一生この気候で生きていきたいほどだけど、そうなると見られなくなる景色も多くなってしまう。
季節の移ろいに悩まされることも多いけれど、咲く花と一緒に風景の変化を楽しめるのは、とても贅沢なことだと思った。
「忘れていいもの」
カメラが今ほど普及していなかった時代でも、ウェディングフォトを残している人は多い。
写真に記録したかったくらい結婚は特別なもので、それは手軽に撮影ができるようになった現代でも変わらない。
今では日常のささやかなこともデータとして残せるようになった。
撮ったことを忘れてしまう写真も多くなっていくだろう。
そういう写真が増えれば増えるほど、二人が時間を重ねてきたという記念になる。
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