マニアが「ニューバランス(New Balance)」の魅力を深掘りする「マニアが深堀り! ニューバランス編」。11月4日、遂に待望の990シリーズの最新作「M990v6」が発売されました。当初の予定では2021年末から2022年頭に発売と言われていましたが、コロナなどの影響で延期。それから何度か「もうすぐ発売される」という噂が出回るも実現せず、約1年本当に待ち焦がれていました。10月末にニューバランス公式からの発売情報が発表された際には、全世界のニューバランスファンが心を躍らせたことでしょう。そんな注目モデルM990v6を、1年365日ニューバランスを着用しているニューバランスマニアの私、ナナビット(nanabit)が過去の990シリーズとの比較を交えながら徹底レビューしていきたいと思います。
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歴代990を振り返る
v6を見る前に、まずは歴代990モデルを簡単に振り返っていきましょう。
M990
1982年に誕生した元祖990は、今年で40周年を迎えました。発売当時100ドル(一般的なランニングシューズが3~4足は購入出来る)という価格ながらも、優れた耐久性と履き心地の良さから高い評価を得ました。開発には日本の月星化成が関わっており、アウトソールはヴィブラム(Vibram)社製を使用。後の1985年に「エンキャップ(ENCAP)」と「シーキャップ(C-CAP)」というニューバランス社を代表するミッドソールが開発されますが、それらが無い時代に「1000点中990点」の代表的なキャッチコピーに申し分ない性能を実現しました。
M990v2
v2は、1998年に900番台の7代目として発売されました。「990→995→996→997→998→999→990v2」という流れです。元祖990の発売当初はシリーズ化を予定していなかったようで、v2からバージョン表記が品番に付きます。ミッドソールには「アブゾーブ(ABZORB)」を使用。「ナイキ(NIKE)」のエア マックスシリーズや、「リーボック(Reebok)」のインスタポンプ フューリーなど当時のトレンドがハイテク機能の可視化だったので、990v2もハイテク機能の可視化を実現しています。翌年の1999年にはM1700、2001年にはM991が登場しますが、同じくビジブルアブゾーブを採用しています。
M990v3
2012年に登場したv3は、2008年に製作された「993」と、2010年に誕生した「MR2002」の良さをうまく取り入れながらアップデートしたモデルだと思っています。ミッドソールはアブゾーブとエンキャップ、そして軽量化の為にレブライト(REVLITE)を使用。そのクッション性は他モデルでは味わえない随一の物と称賛の声が多く、発売時から魅了されている愛好家も多いです。ちなみに、シュータンはv3と同年に発売された「M2040」と同じ網デザインを採用しています。M2040は、熟練の職人33人による「スーパーチーム33」が手掛けたことで“伝説のフラグシップモデル”と言われているモデルで、同じ年にこの2モデルが生まれたことは重要なトピックスとして今も語り継がれています。
M990v4
v4が誕生したのは2016年。細かい部分にv3の名残りを持たせつつ、より洗練されたデザインに仕上げられています。ミッドソールのアブゾーブとエンキャップの組み合わせは同じですが、v3のレブライトからさらに軽量性、クッション性、耐久性に優れたアクティバ ライト(ACTEVA LITE)に変更。安定性も向上し、履くと「進化したな」と感じる事が出来るモデルです。
M990v5
2019年に誕生した前作。踵からサイドにかけてTPUストラップをあしらい、よりフィット感の向上を試みたモデルです。このTPUストラップは、デザイン性と着用感で好みが分かれるポイント。私の足型にはハマったので、安定感、ホールド感、クッション性などから、最新技術を組み合わせた非の打ち所がないモデルだと感じました。
ざっくりとですが、990シリーズはこのように進化してきました。それでは、待望のv6を見ていきましょう。
最新のv6をチェック
発表当初から「990シリーズっぽくない」と言われているv6ですが、大きな理由はミッドソールです。近年のスニーカートレンドを意識したのか、990シリーズの中ではボリュームのあるソールに仕上げられています。
アッパー素材にはスエード、メッシュ、シンセティックレザーを使用。過去作よりスエードの面積を減らしているため、ランニングシューズの様な印象を受けます。990といえば元々は1982年に発売されたランニングシューズ。アウトソールに「1982」の年号を刻印していることからもv6は40周年を迎えた初代へのリスペクトが強く感じられます。
シュータンにはv6のロゴを配置。流線的で都会的なランニングのスピード感を感じさせるv6ロゴはこのフォルムにピッタリだと思います。
過去作と徹底比較
990と言えば開発時の最先端技術の結晶。ニューバランスの“今”を体現するモデルであり、それぞれ比べることで進化を感じる事が出来ます。
脱アブゾーブ
なんと言っても今回の肝となるのはミッドソールテクノロジーの刷新と言っても過言ではありません。v2からv5までは一貫して「エンキャップ+アブゾーブ」というテクノロジーを採用してきました(※v1のオリジナルはテクノロジー非搭載)。では、今のニューバランスによるミッドソールの最新テクノロジーとは何か。それは、フューエルセル(fuelcell)です。v6のソールは「エンキャップ+フューエルセル」の組み合わせで作られており、アブゾーブが使われてないのです。
フューエルセルはPU素材に窒素を加えて作られたミッドソールテクノロジーであり、現行の本格ランナーが使用するランニングシューズに多用されています。特徴は軽量性と「ニューバランス史上最高の反発弾性」で、その弾む履き心地は本当に凄く、これまでとは次元が異なります。一方で欠点を挙げるとすれば、安定感の無さだと思います。それを補う為に、ランニングシューズではアウトソールの面積を広くするなど工夫がされています。
そしてエンキャップとはEVA素材をPU素材で包み込み、クッション性と安定性をもたらすテクノロジー。もうお分かりですね。フューエルセルの軽さと弾むような履き心地を活かすために、組み合わせたのが安定感を生むためのエンキャップ。納得のいく組み合わせです。
Nロゴはブランドアピールだけじゃない
これまでの990シリーズは耐久性を上げるためにサイドをレザーで包み込んだ様なデザインで、その上にNロゴを重ねていました。しかし、v6はアッパーの補強をNロゴが担うことで、Nロゴ周りをメッシュで製作し、通気性の向上と軽量化を実現しています。このNロゴに機能性を持たせるという画期的な構造は、2020年からスタートした新しいジャンル「シフトカテゴリー」で多く見られる「超特大Nロゴ」と同じデザインで、ニューバランスの近年のデザインコンセプトに沿ったものなのでしょう。
v1
つま先やライニングの違いは?
次に爪先部分を見てみると、歴代モデルと比べて少しほっそりとしたスマートな印象を受けます。実際に履いてみてもやや細いと感じました。あとメッシュの面積はv6が一番広いです。
v1
踵周りのライニング部分をチェック。v6はライニングのカーブが緩やかなので、これまで踵部分がきつかった人にも受け入れやすい型となっています。個人的な踵幅が広い順は「v6→v1→v3→v4→v5→v2」(モデルの個体差もあるのであくまで目安として)。クッションが薄いというのも要因の一つで、シュータンも薄めに作られているような感じがしました。
v1
最後にヒール部分。過去モデルは、アッパーとソールの間に「カウンターリーインフォーサー」と呼ばれる樹脂パーツのヒールカンターのようなものが配置されています。v6は、このカウンターリーインフォーサーが排除されており、シンプルなデザインに仕上げられています。ミッドソールだけを見るとv5に近く、正当進化のように感じます。ライニング部分を見て広めに作られていると感じましたが、外側から見てもv6は踵が丸みを帯びていてゆったりとした印象を受けます。
v1、クリーム色の箇所が「カウンターリーインフォーサー」
履き心地は?
各モデルを比較して感じた事をまとめると......
・爪先がやや細い
・メッシュ面積が広い(スエード面積が狭い)
・踵が広い
・シュータン、ライニングのクッションがやや薄い
・わずかながら他モデルより軽い
でしょうか。あとは履き心地ですね。様々なポイントを見てきましたが、実際に履いてみて自分の足型に合っているか、履き心地は好みに合うかが結局一番大事です。
2023年には販路が拡大され、カラーバリエーションも増えることでしょう。特にインラインモデルに関してはウィズ(横幅のサイズ)展開もあるので、興味のある人は実際に履いて試してみることを強くオススメします。
これまで主に見た目でのレビューをしてきましたが、履き心地レビューに関してはYouTube「ナナビットチャンネル」で公開しています。是非今回の記事と合わせてお楽しみください。
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