MIKIO SAKABE 2022年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP
後ろと前が逆転したテーラリングで作るミニマリズム。これまで肩や腰に重点を置いて衣服の新たなシェイプを模索し続けてきた「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」は、ウェスレアン・ホーリネス教団 淀橋教会を舞台に創立15周年を記念して開催した2022年春夏コレクションショーで、新境地へと旅立った。
英国のエレクトロニック・ミュージック・グループ「アンダーワールド(Underworld)」の楽曲「Rez」のメロディーラインに乗せて、疾走感あるウォーキングを披露した計51人のモデル。東京のショーでは珍しい大人数のモデルたちは、自然光が差すスクエア型のフロアを交差するように練り歩いたが、これはデザイナー坂部三樹郎が考える日常として、交差点で行き交う人の様を表現したものだ。歩行者専用標識のマークをプリントしたスキンウェアがファーストルックを飾った。
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今回のショーで、坂部の狙いは大きく2つある。一つはこれまで肩やウエストのフォルムに力点を置いてデザインしてきたが「少し飽きたところがあった」という理由から、デザイン軸を背中に置いてクリエイションしていったということ。コレクションでは、後ろ前のトップスが多数登場しており、シルエットもボックス型で直線的なものが多い。後ろ身頃の仕様を前身頃にも取り入れたプルオーバーやシャツやジャケットは、前振袖ではあるが前後2wayで着用可能。ショーでは後ろ前でスタイリングし、袖が逆転することで生まれるドレープを提案していた。テーマに掲げた「ミニマリズム」は、ミニマリズム=シンプルと混同されがちだが、坂部はただ装飾を減らすのではなくあくまで自然さを大事にしたといい、背中に宿る自然なミニマルを表現することだけに注力した。
もう一つはアイテム単体ではなく全体性に着目した点。ルックの体数を通常よりも増やし、ループするように何度も登場させることで、違和感があるデザインを"普通"に見せるというアプローチだ。そのため、アイテムの型数も前回から大幅に増やした。
「装飾によるデザインとは違うものを追求したかった」と振り返った坂部。全モデルが着用したフットウェアブランド「grounds」のデザイン監修にはじまり、次世代のデザイナーを育てるファッションの学校「me」、アジアのコングロマリットを目指す持株会社「スリー トレジャーズ(THREE TREASURES)」の運営など、デザイン以外の活動の幅を広げ、ブランドとしてもベテランの域に差し掛かってきているが、新たなスタイルを生み出そうとする探究心が尽きることはない。
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