原宿駅前の「ジング(jing)」で3月19日から約2ヶ月間にわたって開催されるエキシビション「ルイ・ヴィトン &(LOUIS VUITTON &)」。タイトルの「&」が示すように、本展ではこれまでに発表されてきた数々のコラボレーションが一堂に会し、それぞれの作品やブランドのサヴォアフェール(匠の技)、そしてブランドと日本の結びつきにフィーチャーしています。会場には、今となっては実物を見ることが難しいファン垂涎のレアなコレクションの数々が。10の没入型スペースから構成されるエキシビションを部屋ごとにチェックしていきましょう。
1つ目の部屋: クリティカルポイント
ADVERTISING
まずはエントランスから。日本人アーティスト池田亮司によるインスタレーション「クリティカルポイント」がゲストを迎えます。天井のスクリーンと同じ大きさの鏡が床に配置されており、地図のような不思議な映像に思わず吸い込まれてしまいそう。
2つ目の部屋:ルイ・ ヴィトン:受け継がれる真髄(こころ)
トランクメーカーとして1854年に創業した「ルイ・ヴィトン」。2つ目の部屋では3名のアーティストが手掛けた創業者ルイ・ヴィトンのポートレイトが壁にかけられ、ブランドのオリジンにフォーカスします。ギターや絵画を運搬するためのケースのほか、指揮者ストコフスキーのために製作されたデスクトランクなど、様々な用途のために特注されたトランクがディスプレイされています。
3つ目の部屋: アーティスティック ・ コラボレーション:伝統の創造
ここではルイ ・ ヴィトンが手掛けてきたアーティスティック ・ コラボレーションが展示。アールデコ時代のグラフィックデザイナー ピエール=エミール ・ ルグラン(Pierre-Émile Legrain)の広告をはじめ、マルセル ・ ワンダース スタジオ、nendo、吉岡徳仁といったクリエイターによる「オブジェ ・ ノマド コレクション」が並びます。時空を超えたようなサイケデリックな背景は、ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋オープン時のウィンドウディスプレイを手掛けたKenta Cobayashiの作品。
4つ目の部屋:シルクを彩るアート
カレ ・ ド ・ ソワ(シルクスカーフ)がアート作品として壁一面を彩り、まるでギャラリーのような空間の4つ目の部屋。1980年代のソル ・ ルウィット(Sol LeWitt)のコンセプチュアルな作品からジェフ・クーンズ(Jeff Koons)が手掛けたマスターピースコレクションのモナリザまで、過去20年間に手掛けられたモダンでカラフルな絵柄はそれぞれがグラフィカルでユニークなものばかりです。壁紙はお馴染みスティーブン・スプラウス(Stephen Sprouse)のグラフィティ。
5つ目の部屋:アイコンの再解釈
5つ目の部屋、ミラールームには、モノグラムキャンバスが100周年を迎えた1996年に発表された「セブン デザイナーズ コレクション」や、2014年の「アイコンとアイコノクラスト:CelebratingMonogram」といったプロジェクトで披露された数々のレアなコラボバッグが大集合。
カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)やヘルムート・ラング(Helmut Lang)、アズディン・アライヤ(Azzedine Alaia)、マノロ・ブラニク(Manolo Blahnik)、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)といったデザイナーや、シンディ・シャーマン(Cindy Sherman)やフランク・ゲーリー(Frank Gehry)といった錚々たるクリエイターたちが参加し、それぞれの視点で解釈したモノグラムバッグが並びます。原型を留めない自由でクリエイティブなバッグは、今見てもどれも前衛的なものばかり。スクリーンには当時のキャンペーンヴィジュアルが映し出され、進化を遂げながらもタイムレスであり続けるモノグラムの魅力を伝えています。
左:カール・ラガーフェルドとのコラボ「パンチング バッグ ベイビー」(2014)右:マーク・ニューソンとのコラボ「フリース バックパック」(2014)
6つ目の部屋: 川久保玲によるルイ・ヴィトンの世界
2014年に発売され、今年ブラックモデルで7年振りに復刻されたことも話題になった「バッグ ウィズ ホールズ」。6つ目の部屋はまるでバッグの内側にいるかのような空間で、過去に川久保玲が手掛けたルイ・ヴィトンのバッグを穴から覗くことができます。2008年に発表された6つのパーティーバッグも。
新旧の「バッグ ウィズ ホールズ」
7つ目の部屋 :真っ白なキャンバスに見立てたバッグ
ブランドのアイコニックなモノグラムラゲージバッグもこれまでに様々なアーティストやブランドとコラボレーションをしてきました。メタリックやプリズム、グラフィックやロゴなどがあしらわれたキーポルが、デジタルウォールの中に浮かび上がります。
8つの目の部屋:ルイ ・ ヴィトンと日本:レザーグッズの伝説
数々のアーティストの中でも、ルイ・ヴィトンコラボを語る上で欠かせない日本人アーティストの1人が村上隆。マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)指揮下の2003年春夏シーズンに登場したポップな「マルチカラー」コレクションをはじめ、チェリーやフラワー、スマイリーフェイスが描かれた斬新なモノグラムは海外人気も高く、街でよく見かけた人もいるのでは?
そしてもう1人の日本人アーティスト、草間彌生。2012年に発表されたコラボコレクションは、バッグやウェアがアイコニックなドットでカラフルに彩られました。
9つ目の部屋: アートとファッションの出逢い
今でこそファッションブランドとしての地位を確立しているルイ・ヴィトンですが、ファッションコレクションをスタートしたのは1998年。16年間ルイ・ヴィトンに在籍したマーク・ジェイコブスや現アーティスティックディレクターのニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)が手掛けたウィメンズ、キム・ジョーンズ(Kim Jones)やヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が手掛けたメンズのコレクションピースが、当時のショー映像とともにディスプレイされています。
2008年春夏ウィメンズコレクション
最後の部屋: ルイ ・ ヴィトンと日本:ファッショナブルなラブストーリー
日本とのゆかりも深いルイ・ヴィトン。最後の部屋では、日本とブランドの繋がりを代表的なコラボレーションとともに紹介しています。2017年に滋賀県のMIHO MUSEUMで行われた2018年クルーズ ・ コレクションから、山本寛斎の作品にオマージュしたピースなどがラインナップ。
そのほか、藤原ヒロシの「フラグメント(fragment design)」やクリストファー・ネメス(Christopher Nemeth)、記憶に新しいNIGO®とのコラボレーションアイテムを身に付けたマネキンが並びます。どれも話題を集めたコラボばかり。
そして、中央に展示された一際存在感のあるピース。こちらは、山本寛斎がデヴィッド・ボウイに提供した衣装としても知られる、通称「TOKYO POP」ジャンプスーツです。
Extra
2階は「オブジェ ・ ノマド コレクション」をはじめとするルイ・ヴィトンのレザー技術を駆使したホームウェアの数々がテーマに沿って展示されています。中にはビリヤードやテーブルサッカー、DJセットといったスペシャルなアイテムも。よく見るとモノグラムモチーフがあしらわれていたり、細かいところまでブランドのエッセンスが散りばめられています。
ギフトショップ
会期中、別館1階で展開されるギフトショップもエキシビションの楽しみの一つ。建築家・菅原大輔によって手掛けられた店内では、スモールレザーグッズ、「ギフティング」コレクション、スカーフなどのテキスタイル、書籍、フレグランスなどが販売されています。ここでしか買えない「LOUIS VUITTON &」の文字がエンボスされたカードケースは、ホットスタンピングサービスでイニシャルなど最大3文字まで刻印できるそう。今回初登場となるメゾンのマスコット「ヴィヴィエンヌ」の"ペット"「ペニチュラ」のオブジェもギフトショップ限定のアイテム(全4色)です。
ケードケース(ギフトショップ限定)税別3万1000円
展示されている品々はルイ・ヴィトンが所有するアーカイブで、今回の展覧会のために各地から集められた貴重なものばかり。特に発売当時も話題を集めたクリエイターやアーティストとの歴代コラボは必見です。エキシビションへの入場は無料ですが、公式サイトから事前予約が必要なのでご注意を。会期は5月16日まで。
おまけ:ニュースで振り返るLVコラボヒストリー
2010年
・ルイ・ヴィトンと村上隆氏による新シリーズ「コスミックブラッサム」誕生!イメージビジュアルにデイジー・ロウ起用
2012年
・LOUIS VUITTON×草間彌生コラボコレクション公開
2013年
・マーク・ジェイコブス、ルイ・ヴィトンを去る
・ルイ・ヴィトン、新ディレクターニコラ・ゲスキエールの就任コメント発表
2014年
・ルイ・ヴィトンの象徴「モノグラム」川久保玲ら著名6人がデザイン
・ルイ・ヴィトン川久保玲やカール・ラガーフェルドのモノグラムバッグ発売
・ルイ・ヴィトン、モノグラム祝うパーティーMoMAで開催
・巨大パンプキン出現 LOUIS VUITTON×草間彌生第2弾は銀座で先行販売
2015年
・ルイ・ヴィトン、ネメス柄が彩る15年秋冬コレクション発表
・なぜ今クリストファー・ネメスなのか?キム・ジョーンズに聞く
2016年
・「ルイ・ヴィトン」の巨大歴史館が紀尾井町に 1000点のアーカイブ公開
・ルイ・ヴィトン×藤原ヒロシ初のWネーム発売約4000人が伊勢丹新宿店に列
2017年
・ルイ・ヴィトンがジェフ・クーンズとコラボ、西洋絵画の傑作がバッグに
・ルイ・ヴィトンが滋賀の秘境でクルーズショー開催、山本寛斎に敬意を表したアイテムも発表
・注目の異色コラボ「ルイ・ヴィトン×シュプリーム」に雨の中4000人超が行列
・「ルイ・ヴィトン×シュプリーム」に過去最大規模の8,700人、表参道-原宿間に"超"大行列
・『今日の1番さん:シュプリーム行列編』ルイ・ヴィトンコラボポップアップショップ最終日に約180万円で買ったものは?
・「ルイ・ヴィトン」世界唯一のポップアップが表参道に、山本寛斎にオマージュしたアイテム発売
2018年
・「ルイ・ヴィトン」メンズ躍進の立役者、キム・ジョーンズが退任へ
・「ルイ・ヴィトン」メンズデザイナーにヴァージル・アブロー就任
・ルイ・ヴィトンに抜擢された初の黒人デザイナー、ヴァージル・アブローとは?
・「ルイ・ヴィトン」がグレース・コディントンとコラボ、猫モチーフのアイテムなど展開
・ルイ・ヴィトン、ヴァージル・アブロー初のコレクションを発表
・ヴァージル・アブローが描く「ルイ・ヴィトン」の世界へ、原宿の限定店で注目の新アイテムをチェック
2020年
・ルイ・ヴィトン×NIGO®第1弾アイテムの発売日決定、デニムジャケットやキーポルを先行販売
2021年
・ルイ・ヴィトン、川久保玲が手掛けたバッグを7年ぶりに発売
■ 「LOUIS VUITTON &」
会期:2021年3月19日(金)〜 5月16日(日)
10:00〜 20:00(最終入場 19:30)無休
※4月25日(日)より 10:00〜19:00(最終入場18:00)
住所:東京都渋谷区神宮前 6-35-6 jing
電話番号:0120-00-1854
入場無料
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【大解剖】の過去記事
TAGS
記事のタグ
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境