東京の街を舞台に、どこか既視感がある日常ながらも物憂げで時には思わずクスッと笑ってしまうスナップ写真を撮るオカダキサラ。そんなオカダによる連載「歳時キサラ」。独自の観察眼で切り取られたその季節ならではの4枚の写真を、それぞれに付随するタイトル&テキストと共にお届け。少しずつ日差しが厳しくなってきた5月の東京。オカダがついついシャッターを切りたくなったのはどんな瞬間?
さいじ‐き【歳時記】
1,一年12ヵ月、または季節に分かち折々の自然・人事などを記した書物。
2,俳句の季語を集めて分類・整理し、解説や例句を載せた書物
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白を諦める
紫外線が気になる季節。
今年は屋外にいる仕事が減ったので、そんなに焼けてないなと思っていたが、会う人会う人に「焼けてますね」と言われてショックを受けている。
つけっぱなしの時計を取れば白い肌が現れる。
多分、これが本来の肌色だ。
何年も日光を浴びなければ元に戻せるのだろうかと考えたが、私のことだから出かけたくて我慢出来ないだろう。
白はもう諦めた。
その代わり、外のたくさんの色を楽しもう。
神様を運ぶ
4年ぶりの神田祭。
秋葉原周辺はいつもとは違う熱気で溢れていた。
神輿を担げるのは氏子だけかと思っていたが、地域外どころか海外の人たちも参加できるらしい。
真ん中に写っている女性もドイツから来ていた。
彼女たちは神輿行列を先導する役で、本番直前のお化粧直しをしている最中だった。
カメラに向かって満面の笑みを向けてくれた彼女たち。
渡御が始まるとキリッとした面持ちで、神様を街へと運んで行った。
ネタは種
指先までピシっと決まっていて、フォーメーションも完璧。
そこまでわかるのに、それが何のポーズか思い出せない。
彼らは仕事の研修が修了した記念動画を撮ってるところだった。
撮影者がいなくて困っているようだったので手伝いを申し出た。
元ネタを尋ねたところ、懐かしい漫画作品だった。
どんなムービーに仕上がったのか、少し気になっている。
緑で洗う
高層ビルの窓は2ヶ月に一度、掃除をするものらしい。
汚れをそのままにしておくと劣化につながり、最悪の場合ガラスを取り替えなくてはいけなくなるそうだ。
国際フォーラムのガラス棟の窓は全部で3600枚。
この窓をすべて掃除するのか、と想像するだけで気が遠くなるのだが、
清掃スタッフさんの手際はかなりいい。
次から次へとキレイにしていく。
土埃を拭ったガラスの向こうの新緑が、より鮮やかに見えた。
1988年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。大学在学中に東京をテーマにストリートスナップを撮り始める。忘れられてしまうばかりの瞬間には、毎日の見方を変える不思議な仕掛けが隠されているのではないか。そんな思いで街にレンズを向け続けている。第4回1_WALLファイナリスト、2015年度ユーナ21入選、2016年度コニカミノルタフォトプレミオ入選。
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