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・「GUCCI BAMBOO HOUSE」の会期が8月22日(日)まで延長。(2021年8月10日更新)
今年ブランド創設100周年を迎えた「グッチ(GUCCI)」。アニバーサリーイヤーを祝し、京都を舞台に3つのエキシビションからなるスペシャルプロジェクト「Gucci in Kyoto」が行われました。クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が手掛けるクリエイションと、伝統が息づく京都との融合——。歴史と文化の息吹を感じながら今回のプロジェクトの要所である3つのスポットを巡っていきます。
Why Kyoto?
グッチの発祥の地、イタリア・フィレンツェ。イベントの舞台となる京都とは姉妹都市でもあり、長い歴史の中で豊かな文化が育まれた世界都市としての共通点も。グッチが今年の4月に発表したイタリア語で「空気」や「息吹」を意味する最新コレクション「Aria」に込められたストーリーを描くため、新しいものと古いものが共存し再生を繰り返している京都をこの一大プロジェクト開催の地に選んだといいます。会場となったのは、京都の街の中心にある町家と、東西にそれぞれ位置する2つの歴史ある寺院です。
Ⅰ.Gucci Bamboo House @旧川崎家住宅
まず1つ目のスポットは、京都の中心部・新町通沿いの旧川崎家住宅で行われる体験型エキシビション「グッチ バンブーハウス」です。グッチ創設と同時期の1920年代に豪商の邸宅として建てられた川崎家住宅は、京都市の有形文化財でもあります。しばらくの間、時が止まったかのような空間が再び魅力を輝かせ、伝統的な京町家の様式と西洋の建築様式など古今東西の意匠が融合した空間は、折衷主義が色濃く反映されているグッチの世界観に調和。プロジェクトの軸となるコレクション「Aria」には「生命の再生」という意味も込められていることから、昔ながらの建物構造や素材を活かしつつ、グッチの歴史の節目をつなぐ「竹」にフォーカスした「バンブーハウス」として生まれ変わりました。今回のイベントで唯一、7月22日から予約制で一般公開されているパブリックイベントです。
玄関をくぐるとインテリア コレクション「グッチ デコール」やグッチの壁紙、重厚感のあるアンティーク調のカーペットやランプなどで装飾された「ライブラリー」がゲストを迎えます。フィレンツェにある「グッチ ガーデン(GUCCI Garden)」を参照し独自でセレクトした書籍が並ぶ洋室は、まるで時代を超えて存在していたかのよう。
ブランド創設100周年の「節目」と禅後に由来し、上下に存在する竹の節のように、互いに独立した自我を持ちながらも差異を認め合うという精神がグッチのビジョンと通じることから名付けられた「竹節庵」は、裏千家今日庵業躰 奈良宗久氏が監修。京数奇屋の名工によって手掛けられた伝統的な和の茶室には、禅語の掛け軸や茶道具に見立てたグッチ デコールをさりげなく添える遊び心も。
自然は多様性と再生の象徴。四季折々の景色が楽しめる2つの坪庭、竹の庭と奥の庭に植えられた竹林は、バンブーハウスのハイライトの一つ。飛び石や苔、蓮の花など眺めているだけで心が落ち着く風景が広がります。
バンブーハウスの主役でもある、1947年に誕生したグッチを代表するバンブーハンドルのバッグ。このアイコニックなハンドルの形状は、職人が竹の地下茎をバーナーで熱し、カーブさせて作られています。戦後の物資不足の中で、ものづくりへの情熱とクラフトマンシップにより生まれたというバンブーハンドルは、グッチの精神と普遍的な美しさを内包したブランドの象徴の一つ。エキシビションではフィレンツェから取り寄せた1950年代〜90年代のアーカイヴ14点を展示しています。
過去から現在へと受け継がれるバンブーハンドルバッグ。その系譜を継承しているのが、1991年に登場しミケーレが現代に向けて再解釈した最新モデル「グッチ ダイアナ」です。ネオンカラーのカラフルなバンドは、ハンドルの形状を維持するために元々バッグに付属されていた保管用バンドからインスピレーションを得たもの。あえてデザインに取り入れることで、クラシックな中にも意外性というひねりを効かせているのはミケーレならでは。
大正浪漫のムードが漂うバンブーハウスには、一足早く特別なゲストが来場。俳優 永山瑛太さんの姿を捉えた撮り下ろしもCHECK!
永山瑛太 in「GUCCI BAMBOO HOUSE」京町家で触れる100年の息吹
■ GUCCI BAMBOO HOUSE
会期:2021年7月22日(木)〜 8月15日(日)
会場:旧川崎家住宅
住所:京都府京都市中京区新町通六角上ル三条町340
時間:11:00 – 20:00 (最終入場は19:00まで)
休館日:水曜
特設サイト(事前予約制)
Ⅱ. Gucci High Jewelry&Fine Watch @仁和寺宸殿
2つ目のスポットは888年建立、1994年に世界遺産に登録された仁和寺です。二王門をくぐり左手にある宸殿(しんでん)内で、ラテン語で「歓喜の庭」を意味するハイジュエリーコレクション「ホルトゥス デリキアルム」とファインウォッチの新作がお披露目されました。ミケーレにより2019年に始まったハイジュエリーコレクションは、「Aria」で3シーズン目。エレガントながらデコラティブで遊び心のあるグッチらしいデザインは唯一無二で、「Aria」では滝やアニマル、ロマンチックポエティズム、ナイトフォールという4つのテーマでコレクションが制作されました。
襖絵や意匠が施された欄間を背景に宙に浮かぶように展示されているジュエリーも。
ハイジュエリーはパリのヴァンドームにある専門ブティックなど限られた機会でしか見ることのできない貴重なコレクション。この日のために京都に運び込まれた約90点のハイジュエリーは格式高い日本間にディスプレイされ、神秘性を秘めた輝きを放ちます。
Ⅲ. Gucci Aria in Kyoto @清水寺
そして3つ目のスポットは、京都一の観光名所・清水寺です。仁王門や西門、三重塔など境内の建物は「Aria」のコレクションで登場した架空のナイトクラブ「SAVOY CLUB」を彷彿とさせるピンクとパープルの照明でドラマチックにライトアップ。特別な一夜を盛り上げます。
階段を登り進めると経堂・回廊・本堂・奥の院の異なる建物で最新コレクションの展示が続きます。キーインスピレーションとなった乗馬スタイルのアイテムや、話題を集めた「バレンシアガ(BALENCIAGA)」との"ハッキング"ピースなどが国内初披露。プロジェクションマッピングで投影されフォレストグリーンに染まった荘厳な堂内には、命が吹き込まれる様子を表したというミラーのマネキンが設置され、まるで幻影のようにコレクションピースが展示されました。
通常は公開されていない門や堂内も展示スペースに。音羽山と一体化するようなデジタルフォレストが、映像と音で演出されました。
3ヶ所で行われたパフォーマンスでは、新たな命を得て再生する様子や、心臓の鼓動を表現した舞を披露。昨年改修工事が終了し、"再生"したばかりの清水の舞台で「Aria」の印象的なフィナーレとも重なる「ユートピア」が、能や日本舞踊、雅楽といった日本の伝統芸能で表現されました。自然世界と深く結びつき、芸能を奉納する場所として作られた清水の舞台で、創造と再生のストーリーが描かれ、新たな始まりを告げます。
京都の街を"テイクオーバー"して行われた「Gucci in Kyoto」。限られた招待客を招いたスペシャルイベントには、特別な一夜に華を添えるセレブリティの姿も。フィレンツェと京都が生命の息吹によって結びつき、グッチの新たな100年への歩みが刻まれました。
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Kou Shibasaki
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