アーティストの片山真理
Image by: FASHIONSNAP
ハイヒール・プロジェクトで伝えたいこと
ADVERTISING
義足用のハイヒールを制作する「ハイヒール・プロジェクト」は、ジャズバーで酔っ払った男性客に「ハイヒールを履かない女は女じゃない」と言われた悔しさをきっかけに2011年にスタートした。セルジオ ロッシのパートナーシップは、創設者の「シューズは女性の脚の延長である」という理念に片山が共鳴したことから実現。
このプロジェクトが画期的なのは、義足のデザイン性と機能性の両方に目を向けていることだ。「義肢装具士さんにハイヒールの相談に行った時に、電子制御の義足を試してみたんです。この義足だったらハイヒールでも恐れずに歩けるし、日常生活もグッと良くなるだろうなって思えました」。
「ただ残念ながら、この義足は車一台くらい買えちゃう値段で、まだ保険適用が認められた事例がないんです。なのでそういったテクノロジーが生活向上や社会進出に必要なものとして認識してもらえるように、『こんな人たちが世の中にいて、こんな可能性があるんだよ』と広めることで、ベースを底上げできたらと思っています」。
「私の身体はブロークンハート」
アーティストとして、また一人の女性として、道なき道を歩んでいる。しかしいつだって片山は「やっぱりラブがないと、幸せじゃないとダメだから」と、人との繋がりや愛情を信じて、この理不尽な世界と向き合ってきた。「傷一つないハートは美しいと思います。だけどやっぱり人生いろいろで傷もできるじゃないですか。そのおかげで見えなかったものも見えてくる。だから私の作品に登場するハートは、全てがブロークンハートなんですね」。
彼女の義足に描かれたカニもまた、美しくも歪なハートの持ち主だった。「傷ついてボロボロになって割れてるハートは、きっとミラーボールみたいに光を乱反射すると思うんですよ。どんなことでも、光をキラキラさせる要素の一つになる。その光がどういうふうに、どこに届くかは分からないけど、自分のハートの部分だけはこれからもしっかり持っていたいなって思います」。
片山真理(かたやままり)
1987年、埼玉県生まれ、群馬県育ち。2012年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。自らの身体を模した手縫いのオブジェ、ペインティング、コラージュのほか、それらの作品を用いて細部まで演出を施したセルフポートレイトなど、多彩な作品を制作。 作品制作以外の主なプロジェクトとして、2011年より「ハイヒールプロジェクト」を展開。「選択の自由」を掲げ、2022年から第2弾を再始動。協力企業とともにハイヒールとハイヒールを履ける義足を制作し、ステージに立つ。アーティストとしての活動に留まらず、歌手、モデル、講演、執筆など、幅広く活動している。
今後の展覧会スケジュール
【個展】
MARI KATAYAMA
会期:2022年7月28日(木)~9月18日(日)
場所:Kaunas Photography Gallery(カウナス、リトアニア)
https://kaunasgallery.lt/en/news/mari-katayama-kaunas-photography-gallery/
【グループ展】
岡山芸術交流2022
会期:2022年9月30日(金)~11月27日(日)
(休館日:月曜日、10 月10日(月·祝)は、翌日の火曜日休館)
https://www.okayamaartsummit.jp/2022/
バンコク・ビエンナーレ2022
会期:2022年10月22日(土)~2023年2月23日(木)
https://www.bkkartbiennale.com
片山真理:公式サイト
photographer: Suguru Tanaka (FASHIONSNAP)
videographer: Hiroyuki Ozawa (FASHIONSNAP)
composition & text: Fuyuko Tsuji (FASHIONSNAP)
director: Chiemi Kominato (FASHIONSNAP)
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【身体と装い】の過去記事
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境