今年のお買い物を振り返る「2021年ベストバイ」。17人目は、元乃木坂46のメンバーで、現在は俳優やクリエイターとして活動する伊藤万理華さん。自身の写真集ではセルフスタイリングを手掛け、クリエイターやファッションブランドを巻き込んだエキシビションを行うなど、カルチャーアイコンとしても一目置かれる存在です。今年は主演映画「サマーフィルムにのって」で「第13回TAMA映画賞」の最優秀新進女優賞を受賞。ますます目が離せない伊藤さんに聞いた、2021年に買って良かったモノ10点。
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Jean Paul Gaultier「80's ジャケット」
FASHIONSNAP(以下、F):まずは「ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)」のジャケットから。
伊藤万理華(以下、伊藤):これはオンラインで見つけた古着です。肩パットが入っていて、ウエストにかけてなめらかに絞ったデザインなので少し大きいサイズ感ですが、シルエットがかっこよくて気に入っています。
F:オムと書いてありますね。1984年にスタートしたメンズのコレクションラインのものでしょうか。
伊藤:商品説明に80年代のものとあったので、多分そうだと思います。普段から、メンズ・ウィメンズは気にせず服を買っています。オムのアイテムを狙っていたわけではないのですが。ゴルチエが好きでディグってたまたま見つけました。買ったのは確か今年の1月くらい。気温的にもぴったりの時期だったので、届いてからすぐに着ています。時期的にもちょうど良く今日も着ています。
F:ゴルチエのどんなところが好きですか?
伊藤:古着屋でスカーフを買ったのが最初です。モチーフや色使いが独特なグラフィックは特に好きです。今でこそジェンダーレスなスタイルは普及していますが、メンズがピタッとしたアイテムを着るようなフェミニンなルックが当時はセンセーショナルなものだったと知って、素直に凄いと感動しました。先ほどもお話ししたように、「服の性別」にこだわりを持っていないので、ゴルチエの発想の面白さやジェンダーに拘らないところにビビビッとやられたんだと思います。ハマってからは過去のコレクションを遡ったり、ゴルチエ自身やブランドにまつわる資料を見たりしています。
F:ほかに持っているアイテムは?
伊藤:定番のパワーネットのシリーズはたくさん持っています。集めたスカーフを自分で繋げてタペストリーにして壁に飾ったりもします。トップスが多く、ボトムスはスカートが1着だけかもしれません。
F:ゴルチエはいつも古着屋で探すんですか?
伊藤:そうですね。ラグジュアリーのお店は自分にとってはまだ敷居が高くて...。現行品も勿論素敵だと思いますが、自分が「欲しい!」となるのは古着なんです。リバイバルというか、昔生まれたデザインが今トレンドになっていたり、現代的にアップデートされて親しまれているものにロマンを感じます。「このデザインこんな昔からあったんだ!こんな発想するなんて頭の中どうなってるんだろう?」って気になりますし、面白くて感動するというか。
F:よく行く古着屋はありますか?
伊藤:古着って年代とか国とか、ブランドとかそれぞれにマニアがいると思うんですが、個人的にはそういう縛りなしに可愛いものを取り扱っているショップが好きです。王道ですが三軒茶屋の「ルイク(LUIK)」、下北沢の「カルマ(KALMA)」。どちらもオープン当時からたくさん通いました。
F:2店舗とも今やファッションフリークが通うお店ですが、オープン当初から通っていたんですね。
伊藤:普段からアンテナは無駄に張っている気がします(笑)スタイリストさんや友達から、「ここがやばい!」って教えてもらうことも多いです。初めて出した写真集はセルフスタイリングも多かったのですが、偶然にもカルマで買ったアイテムをたくさん使っていて。だからちょっと思い出深いお店でもあります。
Jean Paul Gaultier「パワーネットシャツ」
F:2点目も最近ハマっているというゴルチエのアイテム。こちらはたくさん持っているというパワーネットシリーズのシャツですね。
伊藤:最近自分に似合うと思うものが少し変わってきました。このシャツは今の自分に凄くフィットするデザインかな、と思うんです。今年買って、めちゃくちゃお気に入りなのでよく着ました。
F:似合うものが変わってきたと思ったきっかけは?
伊藤:グループを卒業してから髪の毛をバッサリ切ったことが大きいです。この短さは私史上初なので、全身のシルエットが初めまして、ですね。襟や胸元がこんなにも丸見えなのは新鮮です(笑)ぱっと見で服全体に目がいくような髪型だと思うので、前よりも「自分に似合うと思えるファッションってなんだろう?」と考える機会にもなりました。
F:具体的にどんな服が似合う、というのはありますか?
伊藤:ショート丈やタイトなデザインがしっくりきています。身長は高い方ではないので、バランスを考えるとそういうものが似合うかなと。実際は「可愛い!」と思った服は買ってしまうし、全然着るんですけど。パワーネットシリーズはぴったりフィットするのがデフォなので、個人的に着やすくて。
F:こちらのトップスもゴルチエらしいグラフィックが目を引きます。
伊藤:この宗教チックなモチーフというか、柄がお気に入りです。ゴルチエで民族風のデザインの時期も好きです。絨毯みたいな柄のニットもあって、それも好きで...。
F:ゴルチエ愛が止まらないですね(笑)
伊藤:すみません(笑)リストには入っていませんが好きなものはたくさんあります。
F:コレクションはどれくらい?
伊藤:たくさんあります...持ってくればよかったです。パワーネットシリーズはノースリーブの形もありますし、襟ぐりがカットアウトのデザインのもの、シャツタイプはこれ以外にも持っています。
F:透け感のあるデザインですが、普段のスタイリングはどうしてますか?
伊藤:基本的にはこれを主役にしたいです。「これ着ておけばなんとかなる!」というアイテムだと思うので、デニムとかに合わせて完成しちゃいます。パワーネットでほかに持っているものはもう少しタイトなサイズなので、インナーとして着ちゃうことも。ヒートテックだと暑すぎるけどって日に重宝するんです。
F:ゴルチエを寒暖の調節として着るって初めて聞きました(笑)
伊藤:服の機能としては間違っていませんよね...(笑)袖をまくった時に少し見えるとかわいくないですか?あとは、柄が見えなかったとしても、着ているだけで「あ、嬉しいな」となります。
PERMINUTE「パンツ」
F:こちらは「パーミニット(PERMINUTE)」2021年秋冬コレクションのパンツ。
伊藤:これは展示会でオーダーしたもので、5、6月に届いてからヘビロテしました。私は個人オーダーをお願いするのに結構緊張してしまうタイプなんですが、「買うぞ!」と心してオーダーしました。
F:ウエストがねじれたデザインはブランドのシグネチャーですね。
伊藤:平置きだとシルエットが想像できないんですけど、着るととても綺麗で感動して。ファスナーがこんな位置にあるので、最悪閉め忘れてもデザインかな?みたいな(笑)パターンが謎すぎますよね。これは着ていて今年一番「どこの?」と聞かれたアイテムです。
F:コレクションのテーマは「5-15℃/28℃(41-59°F/82.4°F)」。
伊藤:このサーモグラフィーみたいな柄にグッときました。ジャカードの生地感も珍しいなと思って。柄物のパンツはあまり持っていませんがこれは一目惚れです。
F:裾はロールアップデザインなんですね。
伊藤:丈がちょっと長かったので自分で簡単に裾上げして縫いました。だらっと長く着てもかっこいいんですが、パンツの丈が長すぎる時はお直しをお願いしたり、自分で縫ってしまうこともあります。
F:パーミニットの展示会には毎シーズン行くんですか?
伊藤:去年私が展覧会「HOMESICK」をした時に、デザイナーの半澤さんにドレスの制作を依頼したんです。それから展示会にもお誘いしてくださって、見に行くようになりました。デザイナーさんとお話しするのは凄く好きです。半澤さんの作るものって不思議で興味深いんです。
F:HOMESICKでは半澤さん以外にも、「タナカ ダイスケ(tanakadaisuke)」の田中大資さん、「ボディソング(BODYSONG.)」のデザイナー(名前非公開)も参加していました。
伊藤:展覧会で自分がやりたいことやコンセプトに合うお三方のデザイナーに、自分で企画書を作って、お会いしてお願いしました。「私は今こんなことを考えていて、やりたくて、共通する何かがあったら、服を作ってください」とお伝えしたら、皆さん快く色々なアイデアを駆使してくださって。ボディソングさんは乃木坂自体の衣装を制作してくださったり、私もランウェイを歩かせていただいたりと思い出深いブランドだし、田中さんと半澤さんは以前から気になっていたブランドだったので、どんなものができるのか本当にワクワクしました。
F:どのブランドも国内の気鋭ブランドですが、どうやって知りましたか?
伊藤:学生時代から原宿の「ウォール(WALL)」(現在は同スペースにセレクトショップ「シープ」が営業)によく行っていたので、そこで「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」を見て、高校3年生の時に行った展覧会「絶命展〜ファッションの秘境」で色々なブランドを知りました。昔の渋谷パルコですよね、めっちゃ懐かしい...。本当に衝撃的で大好きな展覧会なんです。
F:伊勢丹の企画で坂部三樹郎さん(サカベミキオのデザイナー)とシュエ・ジェンファンさん(ジェニーファックスのデザイナー)とコラボレーションもしていましたね。
伊藤:リスペクトしていたデザイナーさんと一緒に仕事ができて、凄く貴重な体験でした。お二人とのコラボがきっかけで、日本のブランドやデザイナーさんたちのこともより知ることができました。当時の自分の行動力に驚くんですけど、三樹郎さんが講師をしているファッションスクール「ここのがっこう」の授業を見学しに行ったことがあって。まだ生徒さんだった「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」の横澤さん(横澤琴葉)のプレゼンを見たりしました。絶命展のポップアップに、まだコトハヨコザワとして始動するまでの横澤さんのアイテムがあったのを覚えていて、プリーツのアイテムはデビュー初期のものを持っています。
MILKBOY「ボンテージパンツ」
F:お次は「ミルクボーイ(MILKBOY)」のボンテージパンツ。少し着古したように見えますが、古着ですか?
伊藤:そうです。「Summer of Love」と「blue room」っていう古着屋があって、元は別々のお店だったんですが、合体してひとつのお店になったみたいで。合同の店舗がオープンする前にポップアップがあって、そこで目をつけていたんですがその時は買わなくて。最近お店に行ったら残ってたので、無事に購入できました。
F:以前から行きつけのお店なんですか?
伊藤:初めはblue roomを知りませんでした。summer of loveのインスタをたまたま見た時どうしても欲しいと思ったニットとシャツがあったんです。アカウントにポップアップの住所が書いてあったので友達と行ってみたら、雑居ビルの一室でした。オープン前だったようで、本当にここにあるのかなって不安になりました。
F:オープン準備中に行ってしまったんですかね...。
伊藤:入ったら中の人たちも「なんか、人きた」みたいなテンションで。でも、「このニット欲しいんですけど買えますか?」と話したらちゃんと売ってくれました。今考えてもお店だったのか、準備中だったのかはわからず謎のままです......。とにかく買えてよかったです(笑)
F:無事に購入できてよかったですね(笑)アイテムの話に戻りますが、ボンテージデザインはミルクボーイでは定番です。
伊藤:ボンテージパンツが欲しいなと思ってたんです。メンズですがベルトで締めて着れるので。ベルトも一緒に買いました。別々のものですが個人的なセットにしちゃっています。細身のシルエットが好きなのでボンテージのベルトを全部締めて着ます。裾を細めにしてバルーンシルエットにするのも好き。結構汎用性が高いです。
F:柄と色はシンプルなので、着回しできそうです。
伊藤:そうなんです。これから色々な着方を探したいなと思ってますが、やっぱりボンテージパンツを着るからにはという感じでパンクスタイルもいいなと思ったり。実は母が服飾関係の仕事をしているので、ファッション遍歴についても聞いていて。「ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)」や「セディショナリーズ(SEDITIONARIES)」(ヴィヴィアンとマルコムのブランド)も集めてたらしく、イギリスの「ワールズエンドショップ(Worlds End Shop)」にも行ったことあるみたいで。
F:現地まで行くって凄いですね!お下がりをもらったりはありますか?
伊藤:いろいろあります!それもあって、パンクスタイルは個人的に身近な気がします。このボンテージパンツだったらボーダーのニットや、チェック、柄物を合わせても可愛いかも。
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