3日間の取材を通して様々な角度から「MUSINSA」の正体を探ってきましたが、ファッションプラットフォームの枠を超えた事業展開など、あまり日本では例を見ないビジネスモデルを持つ企業であることがわかってきました。MUSINSAの理念や今後の日本市場への戦略について、グローバルマーケテインングチームの室長キム・ユンジョンさんに話を聞きました。
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F:日本では7月にサービスをソフトローンチしました。反応は?
ローンチした9ヶ国(インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポール、ベトナム、フィリピン、台湾、香港、日本)の中で日本が一番反応が良かったです。日本はファッション的にも成熟した市場で、最も力を入れています。日本人がMUSINSAに出店しているブランドについてどう受け取るか、気になっていたのですが、他の国は韓国全体に対しての熱意が大きい印象があるのに対し、日本はブランドのコンセプトや細かいディテールに対しての理解が深いように感じています。
F:今後本格的に日本でのビジネスをおこなっていく上での課題は?
先日、東京への出張で渋谷や原宿の街の様子を見ると、MUSINSAで扱う韓国ファッションと日本で実際に消費されている韓国ファッションの間にギャップがあると感じました。
今、日本で消費される韓国のブランドは東大門(トンデムン)で売っているような「安価でプチプラ」「質が良くない」「ワンシーズン着て捨てれば良い」という感覚がどこかあるのかもしれません。ですが実際に韓国では今回イベントブースで紹介したようなブランディングがしっかりされているブランドが人気です。MUSINSAに入っているブランドでは、オリジナルで商品をクリエイトしているブランドのみを取り扱っています。私たちが提供している韓国ファッションをどう見せるか、正しいメッセージやコンセプトをどう伝えていくかが、今後日本で展開していく上で重要だと感じています。
F:他のECプラットフォームにはないMUSINSAの強みは?
私たちは単に物を売ることだけではなく、コンテンツを制作したり、ブランディングに力を入れてきたという点で、韓国のファッションコマースが今までやってこなかったプラットフォームを作り上げてきました。ブランドが成長するための過程を共に歩んでいるので、出店ブランドとの関係性が強いのも私たちの強みの一つです。
また、ヴィジュアル作りやエディトリアルに力を入れているのもMUSINSAの特徴です。アマゾンや日本の楽天、ZOZOといったファッションを扱う通販サイトは、商品を並べるプラットフォームの作りですが、それぞれがイメージ作りをしているわけではないですよね。私たちが韓国国内でこの地位に辿り着くまでに、ファンのコミュニティの力が強く、その力がMUSINSAの成長に繋がったという経緯があります。ファッションは憧れが大事。あれが欲しい、自分がかっこよくなりたい、と思うようなイメージを作り上げ、それをコミュニティで共有することをMUSINSAでは大切にしています。
社内や社外のクリエイターたちがキュレーションする「MUSINSA MAGAZINE」は定期的に発行し、店舗などで配布している。
F:今回のイベントや屋外広告、ポップアップの開催など出店しているブランドへのサポートが手厚いと感じました。
入店しているブランドと「同伴成長」することを大事にしています。海外進出の成功の鍵は、ブランドの成長が重要。認知度がないブランドがほとんどなので、今回のNEXT FASHIONのようなイベントも顧客との接点を増やし、認知度を高める目的があります。
ブランド一つ一つを見せることも大事ですが、MUSINSA自体をブランディングし、個々のブランドをよりよく見せることも私たちの役割です。MUSINSAが率先して新しい韓国のファッションを提案していきたいと考えています。
F:日本市場における今後の展望、目標は?
まずMUSINSAを知ってもらうこと。わかりやすいところで言うと、キャンペーンヴィジュアルを多くの人の目に触れてもらい、興味を持ってもらうなど。先月にはスマホ版アプリをローンチしました。アンダーソンベル以外にも「テイル(TAILLE)」「マージ シャーウッド(MARGE SHERWOOD)」や、フレグランスブランド「プルヴォワール(Pleuvoir)」など、日本初上陸の魅力的なブランドも入店しています。
また、今後オフラインでのイベント開催を予定しています。韓国と比較して日本ではオフラインでショッピングする人が多く、オフラインの重要性を実感しているので、良い形で実際にブランドに触れてもらう機会を模索しています。ファッションが好きな人がよく行き交う場所で、洗練された韓国ファッションを見せる企画を考えています。ありがたいことに韓国コンテンツへの関心がたくさん寄せられているこの機会を生かして、K-ファッションの新たなイメージや洗練されたブランドの存在をアピールしていきたい。アジアでファッションの力を持っている、日本と韓国。一緒にやれば良い方向に向かうはずと考えています。
〜Editor’s Memo〜
現地に来るまでは、「色々な事業をやっているようだけど、結局どんな会社なの?」とMUSINSAの実態を掴めきれていなかったのも事実。現地で店舗やMUSINSAの取り組み、ビジネスモデルについて取材していくうちに、これまでのファッションECプラットフォームの枠にとどまらず、多岐に渡る事業の中で韓国のファッションを盛り上げていこうという情熱と、会社が今まさに成長路線を駆け上がっている、という勢いを感じました。特に印象的だったのが、ブランドとの長期的な同伴成長をMUSINSAの役割に挙げている点。ファッションには目の肥えた日本のマーケットでどのような存在感を見せていくのか、今後の展開も楽しみです。
■MUSINSA公式オンラインストア
Text & Photo:Yuui Imai
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