私たちの日常に溢れるようになった韓国コンテンツ。コロナ禍でますますその勢いを実感した人も多いのでは?K-POPや韓国ドラマといったエンターテインメントから、ビューティ、食、アート、そしてファッションと、日本のみならず世界の関心度が一層高まっています。そのK-ファッションの分野で成長著しいファッションプラットフォーム「MUSINSA(ムシンサ)」が今秋、日本展開を本格始動。グローバルからも注目されるMUSINSAとは?実態を探るべく、韓国の最新のファッション事情と共に現地・ソウルからレポートします。
MUSINSAって?
2001年に靴とファッション好きのオンラインコミュニティからスタートしたMUSINSA。「ムジンジャン・シンバル・サジン マヌンゴッ(=ものすごく靴の写真が多い所)」が名前の由来。Eコマース「MUSINSA STORE」を2009年にオープンし、韓国ブランドを中心に取り扱う。自社ブランド「musinsa standard」をオンライン・オフラインで展開。2021年の年間取引額は韓国のファッションECにおいて最大規模の2兆3千億ウォン(約2400億円)に達し、韓国10社目のユニコーン企業(企業価値1兆ウォン以上のスタートアップ)として名を連ねる。韓国国内の会員数は約1000万人(人口の約1/5)、月間アクティブユーザー数は400万人を超え、韓国のファッションプラットフォームでは圧倒的な知名度を誇る。日本では今年7月にローンチ、今秋から日本でのビジネスを本格的に始動する。
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まず降り立ったのは聖水(ソンス)にある市民の憩いの場「ソウルの森」。今、ソウルのホットスポットとして人気上昇中の聖水エリアにはK-POP好きなら一度は訪れたいSMエンターテイメントの新社屋やデリム(大林)ミュージアムの「D MUSEUM」なども。
このソウルの森を会場に、今回ソウル市とMUSINSAがタッグを組んだ「NEXT FASHION 2022」が9月初旬、4日間にわたり開催。このイベントはMUSINSAで取り扱いのある55のブランドが集結し、ブースを出店したりショーやトークショーを行ったり、一般参加型のファッションイベントとして開催されました。
快晴だった初日は、キャンペーンモデルを務め、MUSINSAの顔でもある俳優のユ・アインさんが会場を訪れ、集まった報道陣に向けてフォトコールに応じる場面も。フラッシュが焚かれ、掛け声と共にポージングを取る韓国エンタメシーンお決まりの光景に遭遇。
ブースではQRコードが用意されており、気になった商品はMUSINSAのオンラインストアで購入できるというのもECプラットフォームならでは。
会場内の注目ブランドをチェック!
niceghostclub
2020年にスタートした「ナイスゴーストクラブ(niceghostclub)」は、レトロなムードやY2K、映画、アニメといったサブカルチャーのエッセンスをプリントに落としたユニセックスブランド。Tシャツやフーディといったベーシックなウェアにキッチュなキャラモノがユニークです。これまでに発売したキャスパーや鬼滅の刃といったアニメコラボも人気だったのだとか。
ARCHIEVE BOLD
ラッキーナンバーの「939」がシグニチャーの「アーカイヴ ボールド(ARCHIVE BOLD)」。アイドルやダンサーが着用したことでスウェット人気に火がつき、Tiktokなどのダンス動画でも頻出する注目のユニセックスブランドです。韓国で昨年放送され、社会現象にもなったダンスコンペティション番組「STREET WOMAN FIGHTER」(通称:スウパ)でもダンスクルーが履いていたそう。9月に弘大(ホンデ)にフラッグシップストアがオープン。
住所:
7 Jandari-ro 2-gil, Mapo-gu, Seoul(서울시 마포구 잔다리로 2길 7, 1층)
BLUR 1.0
プレッピースタイルを得意とする「ブラー 1.0(BLUR 1.0)」は、幅広い層から支持を得るグッドガール/ボーイの王道アイテムをユニセックスで展開。ロゴがちょっと歪んでいたり、ステッチが効いていたりと遊び心のあるディテールが、日本のスタイリストからも評判を得ているそう。ちょうど、聖水エリアに店舗がオープンしたタイミングとのことでそちらもチェックしてきました↓。
住所:
1F, 22-5, Seongsui-ro 7ga-gil, Seongdong-gu, Seoul(서울특별시 성동구 성수이로7가길 22-5 1층)
聖水にオープンした「BLUR 1.0」の直営店
ROMANTIC CROWN
2009年に立ち上がった「ロマンティッククラウン(ROMANTIC CROWN)」は日本でも人気のブランド。頭文字の「RMTCRW」とトリコロールの刺繍がシグニチャーで、フードやシャツの胸元にワンポイントであしられています。K-POPアイドルからの支持も高く、BTSのJ-HOPEが「Yet To Come」のMVで被っていたキャップをはじめ、セブンティーンのウジもよくブランドの服を着ているところをキャッチされている模様。
TELLMEHOWYOUFEEL
"スウパ"で優勝したダンスクルーHoly Bangのリーダーとしてもお茶の間に知られるようになったHoney Jと、ヒップホップダンサーのHALOが設立した「TELLMEHOWYOUFEEL」。YouTubeチャンネルではブランドのウェアを着用したダンス動画を公開するなど、ストリートダンスシーンをベースにしたダンサーならではの表現で、ブランドの世界観を伝えています。
MARDI MERCREDI
今回ブース出店はなかったものの、日本でも昨年公式オンラインストアを開設した「マルディ メクルディ(Mardi Mercredi)」もMUSINSAで展開する人気ブランド。フランス語の火曜日(マルディ)と水曜日(メクルディ)を繋げたブランド名で、デイジーの花のモチーフにMardiと大きくプリントしたTシャツは大ヒットし、SNSでも話題に。梨泰院に隣接するおしゃれスポット漢南洞(ハンナムドン)の直営店には、ロゴアイテムはもちろん、最新のコレクションや小物も充実しています。
住所:
58 Itaewon-ro 54-gil, Yongsan-gu, Seoul(서울특별시 용산구 이태원로54길 58)
Andersson Bell
Image by: Andersson Bell
もう一つMUSINSAで取り扱う注目ブランドを紹介。斬新なクリエイティブで日本のセレクトショップなどでも取り扱いがある気鋭ブランド「アンダーソン ベル(Andersson Bell)」は、独特なカラーリングや変化形トップスや異素材の組み合わせなど、デザイナーズブランド好きならチェックしておきたいレーベルです。
〜Editor’s Memo〜
MUSINSAで扱っているアイテムは5000円〜5万円ほど。プチプラ以上、デザイナーズブランド未満といった価格帯で、アイテム・デザイン共にユニセックス展開の多さにも驚きです。(MUSINSAユーザーは男女比率が6:4でメンズの割合が多い)性別の隔てなく日常着として楽しめるカジュアルなデザインが多く、各ブランドがロゴやプリントでアレンジしている印象でした。その背景には、K-ファッションと切っても切り離せず、今やグローバルな発信力を誇るK-POPの存在も大きく影響しているようです。韓国のファッションはアイドルやダンサーとの繋がりも強く、ダンス動画やライブ配信、番組出演時などアイドルやアーティストが着用することで話題になることもしばしば。視聴者にもわかる存在感のあるロゴやプリントはSNSで特定されやすく、ファンの「欲しい!」の気持ちを駆り立てる、という流れは昨今のK-ファッションの方程式でもありそうです。
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