クリーンビューティブランド「シゲタ パリ(SHIGETA PARIS)」(以下、シゲタ)を展開するSHIGETAは、丸紅を引受先とする第三者割当増資を行い資本提携し、日本およびアジアにおける事業を共同で進める。シゲタがこれまで培ってきた100%自然由来の化粧品開発ノウハウを元にしたプロダクトを、さらに幅広い人々にリーチするための提携だ。丸紅は2019年度に新設された次世代事業開発本部 新事業開発部コンシューマー・ブランド事業が、2030年を見据えた新たなビジネスとしてサステナビリティやクリーンビューティ領域に着目。その中で、「オーセンティックなビューティブランド」として百貨店バイヤーなどから高い評価を受けているシゲタに白羽の矢を立てた。丸紅からの申し出を受ける形でタッグを組むことになったシゲタのオリビエ・エマニュエル(Emmanuel Olivier)社長とシゲタ主宰でホリスティックビューティーコンサルタントのCHICO SHIGETAに、ブランドのこれからと思いについて聞いた。
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ー丸紅との資本提携に至った背景と理由は?
エマニュエル社長:シゲタはブランド立ち上げ以来15年、ホリスティックやウェルビーイング、SDGsを推進するパイオニアで、時代が追い風となり多くの人が興味を持つブランドとなった。これまで小さな会社を自分たちで運営しながら、自分たちが“耕せる”ところは耕してきたが、今後さらに広げていきたいと考えたとき、それぞれの部門をプロフェッショナルが担えば、われわれがやってきたことや強みをもっと多くの人に伝えられるのではないかと考えた。
ー資金調達により進めることは?
エマニュエル社長::マーケティング、ブランディング、アドミニストレーションなどそれぞれの部門をプロフェッショナル化すること。その上で、シゲタはオーガニックコスメなどの知見がある人の間では認知は高いが、まだまだ伸び代があると思っている。これまで取り組んできたことをさらに多くの人に知ってもらうため、デジタルツールを活用したい。やりたいことはたくさんあるが、まずはシゲタの魅力、特徴が伝わりきれていない現状のウェブサイトをリニューアルする。お客様との接点でもあるウェブサイトやSNSでどんなエクスペリエンスができるか、コミュニケーションができるかだ。年内にはローンチしたい。
ー今の市場にはオーガニックやナチュラルコスメを標榜するブランドが多数ある。シゲタの特徴とパイオニアとして強みとするところは?
エマニュエル社長:SDGsの意識が高まる中で、持続可能な社会を作ることが重要であり、社会、健康、環境にとっても害のないモノ作りをしなければならないと考える。われわれは創業時から素材からパッケージまで環境に配慮したオーガニックでクリーンなプロダクトを制作している。オーガニックコスメ認証のなかでも最高水準とされるCOSMOS認証を取得したフランス・パリの自社工場で研究・開発・パッケージまで担っており、研究開発はフランス国立科学技術センターとも共同で処方開発を進めることにより、守り続けている。そういった意味で、他のブランドとは一線を画し、強みではないか。
ー商品力に加えて、独自で開発したメソッドの力も大きい。健やかで心地よい体と肌、髪のために自然の法則に沿ったシンプルなセルフケアメソッド「バイタリティー・コーチング®」も特徴だ。
CHICO主宰:ホリスティックビューティパイオニアとして、私自身のセラピストの経験も踏まえ、製品を作るだけではなく、メソッドの工夫でさらに心地よくなることと、その調和が大事だと思う。心地よく、健康で美しく、ワクワクとした毎日を送ってもらいたい。セルフケアメソッドを啓発するとともに最高の結果を出すためのサポーターとして、私自身が納得した製品だけを作り世に送り出している。
ーデジタルを活用してやりたいことは?
エマニュエル社長:SNSは個と繋がりやすいだろう。広く多数に発信しながら、個に答えられると言うのは、シゲタに合っている。一度ファンになってくれた人は、シゲタの良さを理解してくれコアなファンになってくれているため、そういった人のコミュニティを作りたい。
CHICO主宰:それはシゲタらしく、一方通行ではないお客様と繋がるコミュニティだ。例えばコミュニティができることで、お客様の悩みに対して私自身が答えることもできるし、他の人が自分自身の体験を話したり、またユーザー同士で答えたり繋がっていける。そもそもシゲタはスタートした時からそういったスタンスで、小さなグループでウェルネスの話やお悩みを聞きながら大きくなってきた。先ほども言ったことだが、シゲタの目的は製品を使ってもらうのではなく、一人でも多くの人が朝起きた時に、「今日、楽しくいくぞ!」と思ってもらうこと。みなさんがどれだけ健康で、楽しく、充実な生活が送れるか。そのための製品とメソッド。お客様に寄り添えるブランドで、デジタル面に関してもその考えで進めていく。
ー製品や店舗展開についてはどう考えている?
エマニュエル社長:製品はこれまで通りフランスのラボと工場で研究開発し、パフォーマンスの高いアイテムを年に2回は発表していくつもりだ。また店舗開発も視野に入れ、コンセプトが伝えられる場所にオープンしたい。
ー今回の丸紅との提携にはアジア市場も含まれている。今後のグローバル展開については?
エマニュエル社長:まずは日本国内での拡大に注力し、野心的な数字目標を掲げ成功したい。その後に、アジア、ASEAN、そしてグローバルを視野に入れる。アジア諸国は日本の美容に対する動きをフォローアップしているところもあり、SDGsやクリーンビューティについて伝えていきたい。ヨーロッパはホリスティックビューティの視点でシゲタに興味を持ってもらえるのではないか。
ー最後に、サステナビリティとビジネスの両立が難しいと言われる中で、シゲタが考える両立とは?
エマニュエル社長:そもそも両立という視点はなかった。15年間、両立という意識ではなく推進してきて、ビジネスモデルそのものが違う。製品を作るためにはコストが掛かるのはあたりまえだ。その先の販売する時に、どうコストを下げていくか。つまり例えば、コストが掛かる広告宣伝費を使わない代わりに、作った本人であるCHICO SHIGETA自らが話してPRするなど、知恵を使って製品を語っていくということを実践し両立してきた。一方で今、大量生産・消費の時代ではないことは理解されている中で、若い世代であればもっと(広告を打つ、PRをするなどの訴求ではない)理屈なしに伝えたいことを分かってくれるのではないかと期待している。
CHICO主宰:両立という考えたことがなく、ただ一貫して伝えたいのはシゲタのミッション、ライフワークは“人に寄り添って生きるブランドでありたい”ということだ。「楽しい、シゲタがあってよかった」と思ってもらうこと。その中で、自分自身のウェルネスを考えた時に、自分の周りの人、環境、さらには地球のことを考えるのは当たり前のこと。3年前にオーガニックのすばらしさやホリスティックなライフスタイルがもたらす心と健康への 近道を紹介するウェブマガジン「スプリングステップ(SpringStep)」 を立ち上げた時、ブランドだけがいいことを伝えようとしてもダメで、何を伝えたら根幹を分かってもらえるのか?と考えた。その答えが、「自分の心と体を整えること」だと気がついた。心と体が満たされていないと、考えもネガティブになってしまう。自分の調和をサポートしていくブランドでありたい。今回、丸紅さんにチャンスをもらえたので、協力してもっと多くの人に伝えていきたい。
(聞き手、福崎明子)
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