“ライブ”でしか体験できないアート×音楽とは?
ADVERTISING
ー大山さんにとっては音楽とはどのような存在ですか?
大山:小さい頃から音楽が好きで、小中学生の頃は友だちが知らない洋楽のバンドを見つけて勧めたりしてましたね。父がギターを弾くので、その影響もあります。
ー音楽はとても身近な存在だったんですね。
大山:絵をかくときも音楽はいつも傍にあり、日常的にインスピレーションを受けています。数年前、ブルックリン美術館で友達のキュレーターがストリートアーティストの個展を企画したんです。レセプションに行くと有名なDJがパフォーマンスをしていて、美術館のフロアが一晩だけクラブのような空間に様変わりしていました。恐らく来ている8割ほどの人はDJが目当てだったのではないでしょうか。でもその人たちも、帰りに展覧会を見ます。美術館でこうしたイベントが実現していること、音楽が触媒となりアートと人々が繋がったことは印象的でした。
ーオーディエンスがアートに触れ、そしてアートが別のカルチャーと出会う瞬間を目の当たりにしたんですね。
大山:ニューヨークでアートが発展したのは自然の成り行きではなく、社会にアートを届けるための仕掛けや工夫が積み重ねられたからこそだと思います。ニューヨーク近代美術館やパリのルーブル美術館は、アートとツーリズムが一体化していますよね。日本では瀬戸内国際芸術祭がアートとツーリズムを組み合わせた成功例だと言えます。ただ日本では、音楽の求心力とアートが掛け合わされた例はまだ多くないように感じます。そういった意味では今回、あの日ブルックリン美術館で目撃したものに近いことを、「RE:FACTORY」で実現できると考えています。
ーアーティスティックディレクターであると共にメインアーティストでもある大山さん。ラッパー Novel Coreさんと共に、アートと音楽を掛け合わせた実験的なライブパフォーマンスを行うそうですね。※チケットはソールドアウト、MEET YOUR ARTのYouTubeチャンネルでライブ配信予定。
大山:私自身、20年ほど前はクラブなど音楽の場でライブペインティングをしていました。個人的に今回のNovel Coreさんとのコラボレーションは、20年前の自分の感覚の延長線上で、もちろんスケールアップした規模感の表現をお見せできる機会にしたいです。Novel Coreさんの音楽パフォーマンス、今回のために映像ユニット「tsuchifumazu」が制作してくれている私の映像作品、さらに会場の別室で私が行なうリアルタイムのライブペインティングの要素を取り込んだ複合性のある表現になります。ライブ配信も予定していますが、その場で体験していただくことでよりアート×音楽が楽しめるので、ぜひ会場で目撃してください。
片寄:昨年のアートフェアの音楽ライブも実験的な取り組みで、僕自身とても影響を受けました。今回は大山さんとNovel Coreさんのアート×音楽のライブパフォーマンスということで、見どころの一つだと思います。個人的にもものすごく楽しみですね。
多様なグラデーションを持った作品が一堂に
ー今回、28名の作家が参加し、出展作品は約100点にのぼります。どのように作家を選んでいかれたのでしょうか。
大山:展覧会でありアートフェアという「RE:FACTORY」の両義性を踏まえて、トータルバランスでそれを体現できる作家のラインナップになることを意識しました。また今回は片寄さんにサポーターになっていただくなど、エイベックスならではの仕掛けによって普段とは異なる新しいオーディエンスの来場が想定されるので、アートの専門家に加えて、アートをこれから知ろうとしている人や初めてアートに触れるような人に対しても訴求力のある作家を一定数入れることを意識しました。
ー出展作家は若手からベテランまで、いずれも現在国内外で活躍中の作家ばかりでとても豪華ですね。これほど多様な美術家が一堂に会すのは中々無いのではないでしょうか。
加藤:大山さんのリクエストに応えるのは中々エキサイティングな日々でした(笑)。ただ、大山さんにアーティスティックディレクターとして入っていただいている以上、企画に関しては大山さんの感性や感覚を尊重しながら動いた結果、我々だけでは絶対に実現できないような、まさに「RE:FACTORY」を体現する素晴らしいアーティストの皆さんに賛同頂けました。加えて、手前味噌ながらそこにMEET YOUR ARTとエイベックスならではの展示方法や演出が合わさって、とても特異性と見応えのあるアートフェアに仕上がっていると思います。
ーメインアーティストでもある大山さんが今回出展する作品を教えてください。
加藤:ものすごい巨大な作品を出展されるんですよね。
大山:今回は幅が18メートル以上、高さ3メートル以上の大型のペインティングをニューヨークからもってきます。マンハッタンのタワー49ギャラリーで開催された個展「INSIDE OUT」で、2019年からパンデミックをまたいだ2021年までパブリック展示された作品で、日本では初公開です。今回は展示と企画の両面から関わらせてもらっていて、ほどよい緊張感を感じています。
ー見逃せない作品が目白押しですね。最後に、片寄さんから同展の見どころを教えていただけますか。
片寄:見どころを一つに絞ることはものすごく難しいのですが…やはり大山さんの巨大作品はものすごく楽しみですね。日本を代表する名だたるアーティストが参加する非常に見応えのあるアートフェアです。それぞれのアーティストと、その作品の個性にフォーカスがあたることはもちろんですが、ペインティングや写真、彫刻など、作家それぞれのバラエティ豊かな表現を一堂に見ることができるのもMEET YOUR ART FAIR 2023ならではの最大の特徴です。ライブやトークイベントなども行われ、アートが気になるどなたにとっても楽しめる仕掛けになっています。どんな化学反応が生まれるのかとにかく興味深いですし、楽しみです。互いに異なる背景や物語のあるアートが持つ、多様なグラデーションを感じていただける機会になれば嬉しいです。
(インタビュー・執筆 加藤孝司/編集 長岡史織)
■MEET YOUR ART FAIR 2023「RE:FACTORY」
日程:2023年3月3日(金)〜3月5日(日)
時間:11:00~18:00
※最終日のみ17:00クローズ予定
※ライブパフォーマンスは3月3日18:30から。(チケットはSOLDOUT、MEET YOUR ART YouTubeチャンネルにて生配信)
会場:アートフェア 寺田倉庫G1ビル/ライブパフォーマンス 寺田倉庫G3ビル
公式サイト
入場チケット:一般:1500円(前売り)、2000円(当日)学生:1000円(前売り/要・学生証)、1500円(当日/要・学生証)
チケット販売サイト
■出展アーティスト
宇治野宗輝/大久保紗也/大野修/大庭大介/大山エンリコイサム/小畑多丘/加賀美健/金氏徹平/川人綾/川端健太/小林健太/小牟田悠介/佐藤允/菅原玄奨/五月女哲平/高山夏希/舘鼻則孝/中島晴矢/流麻二果/Nerhol/潘逸舟/HITOTZUKI/布施琳太郎/細倉真弓/前田紗希/村山悟郎/谷敷謙/横田大輔
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【インタビュー・対談】の過去記事
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境