POPEYE Webトップページより
その奇抜なサイトデザインから、ネット界隈で話題を集めている「POPEYE Web」。マガジンハウス「ポパイ(POPEYE)」が3月9日に立ち上げた新サイトだ。ウェブの特徴でもあり強みでもあるデーターベースをはじめとした「数字」を一旦端に置き、感覚的に作ったというサイトには従来のウェブメディアの常識とはかけ離れたユニークなコンテンツが豊富に用意されている。「ポパイWebについて」というページにはコンセプト文が掲出されているが、その最後に記された「みんなで創るウェブサイト」の真意とは?ポパイ編集部の意向により、今回は「POPEYE Web」としてインタビューに答えてもらった。
ーなぜこのサイトを作ろうと思ったんですか?
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雑誌創刊から45年間、編集部のスタッフが出会って感動した人や国や物を記事で紹介してきましたが、動画や音声を使えるウェブでそれらを紹介できたら、誌面とは違ったフレッシュな味わいで取材対象の魅力を届けられるのではと思ったからです。
ー構想からローンチまで期間はどのくらいかかりましたか?
構想、リサーチ、ウェブの勉強を含めると1年くらいです。
ーウェブコンテンツを編集をする上で、大切にしていることは何ですか?
「ここでしか見れない」ということです。
ー「世界でここだけにしかない架空の街」というコンセプトについて教えてください。
記事をつくるマガジンではなくて、動画・音声などウェブでできることはなんでもやってみるサイトであるという意味で「街」と呼んでいます。小さなコミュニティとは違い、どんな価値観も受け入れ、だれも拒絶せず、いつでもどこからでも出入り自由なところが街の良さだと思っているのですが、そんなウェブサイトにしたいと思い、このコンセプトを掲げました。
ー斬新なデザインが特徴ですが、デザインのコンセプトは?
上記の話をサイトのデザイナー白石洋太さんに伝え、だれが見ても「ここは自分のためのものだ」「自分なら何をしたいか」とワクワクするような街をコンセプトにデザインしてもらいました。街なので、場末の居酒屋から目抜き通りにあるようなブランドの看板が共存してもおかしくないように設計してくれました。
ーモーションが多いサイト設計だと感じたのですが、どういった意図があるのでしょう?
良いウェブサイトは膨大なデータをもとに人がつい押したくなってしまう作りをしているようですが、そのデータだけを頼りに設計をするとワクワク感が薄れると思い、一旦それを無視して「つい押さないかもしれないけど、こんなのがあったら面白い」という感覚で作ったところモーションが多くなりました。
ーターゲットは?
みんなです!
ーウェブと誌面で編集者は分かれているんでしょうか?
基本的に分かれています。
ーもう中学生さんなど、毎月7人の方が身近に起きたことを書く寄稿コラムの人選の基準は?
ウェブチームで何日間も話し合って決めています。寄稿者の名前を聞いただけで読みたくなる、もしくは、テーマを見ただけで読みたくなる人選を心がけています。
ー誌面の特集も掲載していますが、どういったものをウェブに載せているのですか?
特集に関係なく、その企画だけ抜き出して今読んでも面白い記事をウェブに載せています。
ーテキストの途中に画像を埋め込んだ「古着のABC。」のレイアウトは衝撃を覚えました。
ウェブスタッフとこの企画のデザインを担当されているグラフィックデザイナーの小池アイ子さんがCMSでできることの限界を突破しながら作っていました。CMSを設計した人も「こんなことできるんだ」と驚いていました。
ーTO DO カレンダーはキーコンテンツのひとつのようですが、どういった軸で選んでいるんですか?
映画や本、アートなどは1ヶ月分を担当ライターが事前に作っています。テレビ、ラジオに関しては1週間ごとですね。作っている本人たちが本当に見たい、読みたい、聴きたいという基準で選んでいます。
ーサイトを通して発信していきたい、表現していきたいことは?
「どこにでもおもしろい人がたくさんいる」ということです!
ーPOPEYE WebのKPIは?PVですか?
ウェブサイトの空間自体を楽しんでくれるユニークユーザー(UU)を増やしていきたいと思っています。
ータイアップ広告などもウェブオリジナルで掲載していくのでしょうか。
はい。ウェブは紙とは違う見え方、スピード感で消費されていくので、それを活かせるように工夫していこうと思っています。
ーPOPEYE Webをはじめて、ウェブと誌面で作り方に違いがあると実感したところはありますか?
誌面のレイアウトは自由ですが、ウェブはCMSという決められたシステムでレイアウトを構成をしないといけないことが違いとしてあると思います。今は決められたフォーマットの中で、どこまで遊べるかということを実験中です。
ー今後扱っていきたいコンテンツは?
始めたばかりのポッドキャストはまだまだ試行錯誤中ですが、もっと力を入れていきたいです。いつかはECサイト、動画、ゲーム、VR空間なども作っていきたいと考えています。
ー挑戦してみたいことはありますか?
取材先への移動も打ち合わせも記事制作も全部でき、スタジオにもなるので、いつかキャンピングカーを編集部にしたいと思っています。
ーウェブメディアの未来について考えていることはありますか?
自分たちのウェブサイトの明日を考えることでいっぱいいっぱいです!
(聞き手:芳之内史也)
■POPEYE Web
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