「トミー ファクトリー」 2022年フォール ランウェイショー
Image by: TOMMY HILFIGER
2022年9月初旬、ニューヨークで開催された2023年春夏コレクション。各ブランドの趣向を凝らした大掛かりなショーが戻ってきた。意表をつくロケーションや演出、豪華なセレブリティの顔ぶれなどが、コレクションウィーク特有の「お祭り」のような高揚感を今一度思い出させてくれる。コロナの影響を払拭し、パワフルな“攻め“の姿勢を表明した「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」、「マイケル・コース コレクション(Michael Kors Collection)」、「トリー バーチ(TORY BURCH)」、「マルニ(MARNI)」の新作発表を振り返る。
「トミー ヒルフィガー」のマルチバースなランウェイ
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トミー ヒルフィガーは「See Now, Buy Now(今見て、今買う)」形式で「トミー ファクトリー(TOMMY FACTORY)」 2022年フォール ランウェイショーを発表。リアルなモデルとデジタルのアバターを組み合わせたライブストリーミングも行った。「IRL(In Real Life)からURLまで、あらゆる世界にまたがるポップカルチャーとクリエイティビティの包括的な祭典、それがトミー ファクトリー(TOMMY FACTORY)」であると、トミーは今回の試みについて説明している。
このショーでは、イラストレーター兼グラフィックデザイナーのファーガス・パーセル(Fergus Purcell)とのパートナーシップで生まれた新しい「THモノグラム」を発表し、大胆でユニークなモダン・プレップを表現した。コレクションのインスピレーションとなったのは、かつてアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)がニューヨークに構えた「ファクトリー」と呼ばれるスタジオ。会場では若いアーティストたちが作品制作を行い、ファクトリーのオリジナルメンバーであった女優・モデルのジェーン・フォース(Jane Forth)もスペシャルゲストとしてランウェイに登場した。
ショーのグランドフィナーレでは、「ブリンク182」のドラマーであるトラヴィス・バーカー(Travis Barker)が特別なトラックを披露し、会場が熱気に包まれた。
都会とリゾートが融合した 「マイケル・コース コレクション」
「マイケル・コース コレクション」のショー冒頭に公開されたのはヴァネッサ・ハジェンズ(Vanessa Hudgens)とマイケル・コースの楽しい掛け合い。その映像の中でマイケルは「僕はビーチリゾートと大都市が好き。だからその二つをミックスさせ、このコレクションをアーバンリゾートと名づけた」と語った。トロピカルな植物を配置したランウェイには、都会的なエレガンスとリゾートウェアを融合させたルックが多数登場。キャロライン・トレンティーニ(Caroline Trentini)やナターシャ・ポーリー(Natasha Poly)といったベテランモデルが活躍したのも印象的だ。
客席で話題を集めたのは、フロントロウに座ったアン・ハサウェイ(Anne Hathaway)とUS版「ヴォーグ(VOGUE)」の編集長であるアナ・ウィンター(Anna Wintour)。二人の並びは映画「プラダを着た悪魔(2004年)」のワンシーンさながら。また、来場ゲストの中にはTWICEのダヒョンの姿もあり、SNS上でも大きな話題となった。
軽やかさとミニマリズムが鍵となった「トリー バーチ」
「トリー バーチ」のショー会場は、ハドソン川のウォーターフロントパーク「ピア 76」。天井から吊り下げられた丸いモービルは、モデルたちが身につけていたピアスやサングラス、ミラーワークの装飾とも呼応する。テーマは「自由な実験と回顧」。「今回のコレクションは、私がニューヨークに移り住んだ90年代の記憶をもとに、パーソナルで直感的な視点から生まれた。シグネチャーである要素を新しい視点で捉え直して、今モダンに感じている要素を反映させている」とトリーは語る。
印象的だったのはシアーな素材と、それをレイヤードすることで生み出した新たなバランス感。プリント柄などは影をひそめ、繊細なニュートラルカラー、オプティックホワイト、アイシーなパステルカラーといった色合いが主役に。足元はスクエア型のソールや、ダブルアップのスリングバックなど、歩きやすさを重視したパンプスを合わせた。ショーの中盤にはハイウエストのデニムも登場し、エフォートレスな美をアピール。スクエアのモチーフがぶら下がるベルトや、90年代風のドクターバッグが、ミニマルな装いに程よいアクセントを加えていた。
NYデビューを果たした「マルニ」は太陽を照らす
そして今回初めてNYでコレクションを発表したマルニ。会場となったダンボ地区は「Down Under the Manhattan Bridge Overpass」の頭文字をとって名付けられたブルックリンの人気エリアだ。クリエイティブ・ディレクターのフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)はショーの間、「ザ・ストリング・オーケストラ・オブ・ブルックリン(The String Orchestra of Brooklyn)」に混ざってチェロを演奏するという小粋なサプライズを仕掛けた。
コレクションのテーマは「太陽」。光の変化からインスパイアされたカラーリングや、デコルテの丸いカッティングなどが目を引く鮮やかなコレクションとなった。ブランドのステイトメントには「私たちはニューヨークで、フラミニア・ヴェロネシ(Flaminia Veronesi)が描いた、日没直後の虹を待つ仲間たちと一緒に、大量輸送を試みている」という一文も。アートやセットデザインなどで活躍する女性アーティスト、フラミニアの作品が今回のインスピレーションの一つになったようだ。会場にはマドンナ(Madonna)やドージャ・キャット(Doja Cat)など豪華セレブリティが駆けつけた。
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