トレンド最前線を行く者、音楽も最前線を聴け——毎週金曜日、最新アルバム・LP・EPの中からFASHIONSNAPが独自の視点でピックアップする音楽連載「今週のマストチューン」。ジャンルを問わず、今注目したいタイトルを紹介します。9月第2週目は、「ザ・エックス・エックス(The XX)」のベーシストでボーカリストのオリヴァー・シム(Oliver Sim)のソロデビューアルバム、メンバー全員が2000年代生まれで、"ネクスト・カネコアヤノ"を感じさせる気鋭若手バンドのデビューアルバムをセレクト。
Oliver Sim 「Hideous Bastard」
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ザ・エックス・エックスのベーシストでボーカリストのオリヴァー・シムがソロデビュー。待望のファーストアルバムがリリースされ、ビームス(BEAMS)とのコラボアイテムが発売されるなど、国内でも注目を集めています。プロデュースはバンドメイトでもあるジェイミーが担当。オリバーのホラー映画への愛と自身の人生経験が存分に反映されたアルバムになっています。特筆すべきは1曲目の「Hideous」。恥、恐怖、秘密、孤独、男らしさをテーマに掘り下げた楽曲の最後で「徹底的な正直さが私を自由にしてくれるかもしれない。17歳からHIVということは私をゾッとさせるか?私は醜いか?(Radical honesty Might set me free If it makes me hideous Been living with HIV Since seventeen Am I hideous?)」と、自分自身が17歳からHIVを患っているという事実が静かに語られます。楽曲や歌詞のとおり、自己嫌悪、抱いてきた恐ろしさ、そしてホラー映画への愛を曝け出すことで自分自身を解放しようとするパーソナルでエモーショナルな作品に仕上がっています。
インナージャーニー「インナージャーニー」
サブスク時代の醍醐味は様々ですが、「ニューリリース」のアイコンをタップするだけでまだ見ぬ若手アーティストの楽曲と簡単に出会えることも魅力のひとつ。インナージャーニーは、ドラマーのKaitoが「ミスターチルドレン(Mr.Children)」の桜井和寿の息子であることが取り沙汰されがちですが、10代アーティスト限定の音楽祭「未確認フェスティバル」で当時18歳とは思えない音楽性が評価された実力派の4人組。アンディモリ(andymori)やスピッツ(Spitz)などに影響を受けたという音楽性は、衝動的でありながらも旅情感あふれるバンドサウンドと、初期のカネコアヤノに通じるものを感じさせるVo.カモシタサラによる丁寧に言葉を紡いでいくような声で成り立っており、2曲目「夕暮れのシンガー」からは彼らの可能性を感じずにはいられません。メンバー全員が2000年代生まれの20代前半。彼らの更なる躍進がいまから楽しみです。
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