マッシュホールディングス(HD)傘下のマッシュスタイルラボが、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家 アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha)の芸術的財産や知的財産などを管理するミュシャ財団(本部:チェコ共和国)とパートナーシップ契約を締結し、世界初の財団公認ブランドを立ち上げる。マッシュスタイルラボの新ブランド「ミュシャ(MUCHA)」を今秋ローンチ、9月にルミネ有楽町店、10月下旬に京都・四条河原町エリアに出店する。同社としてこういった形態でのオリジナルブランドの開発は初めてという、マッシュHDおよびマッシュスタイルラボ 近藤広幸社長に話を聞いた。
ーこれまで「ジェラート ピケ(gelato pique)」でミュシャとコラボレーションし人気を集めてきました。今回の経緯は?
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これまでのコラボレーションはジェラート ピケのスタッフにミュシャのファンが多く、要望があったことから始まりました。これまで数年に渡りコラボアイテムを発売したことで、ファン層や売れ筋などを含め知見も増えていく中で、スタッフから「次は、ミュシャのオリジナルブランドを作りたい!」と打診がありました。
われわれの企業理念は「私たちの発想を形にし、人々に幸せを届ける。」というもの。では形にしなければ、ということで財団にプレゼンテーションをしたという経緯です。スタッフの情熱と、ある意味、怖いもの知らず(笑)のチャレンジで、世界でも類をみない、ミュシャのオリジナルブランドを作るということが可能になったと思います。
ーどんなプレゼンをしたのでしょうか?
ミュシャが生きた、その時代の息づいた記憶や情景を蘇らせる、そんなブランドにしたいと伝えました。ミュシャの絵を通して感じるインスピレーションを、まずは香りで、またバッグやハンカチなどを世界各国の職人など一流のクリエイターらとタッグを組み、作り上げたいと。「情景を身にまとう」というコンセプトに共感してもらえたと思います。
「ミュシャ」ブランドコンセプト
ー蘇る情景を身にまとうー
ふと、すれ違いざまに感じた香水の薫りで昔の恋人がよみがえる。帰り道に漂う金木犀の匂いで幼いころの情景が思い浮かぶ。こうした特定の香りやデザインによって記憶や情景が呼び起こされる「プルースト現象」のように、感覚による記憶は一層豊かになり、印象的なものになります。ミュシャによる作品の数々からインスパイアされた、忘れられない記憶や瞬間を呼び覚ます特別なものを通して、大切に心へ留めておきたい時間や時代を愛おしむひとときをお客さまへ届けてゆきます。
ー香りが6割、ほかバッグなどが4割の構成と聞きました。
ミュシャの各作品に対して、どういった香りがふさわしいか。込められた情景や感情などをはじめとするビハインドストーリーまで細やかに表現するため、フランスの調香師と日本の調香師が調香を担当し、ボトルやパッケージデザインには、ミュシャの原画アートを採用しています。バッグやポーチ、ハンカチなどは、フランス発祥の伝統織物の採用や日本の特許技術である製法を用い、素材からデザインまでこだわり、繊細に表現したアイテムを揃えます。
ー速いスピードで過ぎていく現代社会の中で、一旦立ち止まるような、過去に想いを巡らせるような感じでしょうか。
コロナ禍を含め、さまざまな状況を経て今、人々は昔の記憶や温かみのあるクリエーションなど、そういった奥行きを確かめようと、楽しもうと思っているのではないでしょうか。ミュシャという作品も表面上はとても華やかで、とても美しいものだと思いますが、あの繊細なモノづくりや作り手の想いは計り知れません。そんな想いがあふれていながら、今の時代に使える香りやバッグがあれば、きっと楽しんでもらえると思います。
ー香りは記憶に宿ると言いますし。
当時の時代の情景が思い浮かぶような、自分が大好きだった絵が、どんな香りで表現されているのか?その答え合わせを楽しんでもらえたら。たとえば、1番好きな絵の香りが、自分が思い描いていた香りと同じなのか、違うのか…。それを感じるだけでも、なんだか“くすっ”て笑ってしまうかもしれないですよね。そういう奥行きを感じてもらいたいですね。
ー今後、カテゴリーが増えていくのでしょうか?
可能性はあります。ただ増やすにしても、長く大切にしてくれるようなアイテムを、スペシャリストの企業もしくは、職人とコラボレーションしながらじっくり作っていきたいですね。
ールミネ有楽町、京都の店舗はどんな内装になりますか?
ショップは深い茶系統を中心に重厚感のある雰囲気で世界観を発信します。ロゴも新しくデザインしましたし、ミュシャが手がけた建築の作品から着想を得て、とても有機的でこだわった内装になりますね。ミュシャの世界観を大事にしながら、日本の文化に合うような店舗デザインとし、その中に商品が飾られているというイメージでしょうか。これまでのMD優先型店舗デザインとは全く違ってくると思います。
ー今後の店舗展開は?
関西1号店に京都を選んだのは、京都市がチェコ共和国の首都・プラハと姉妹都市であるというストーリーがあるからです。有楽町や京都のお客さまと対話をしながら、全国の主要都市に出店していきたいと考えています。お客さまとの対話を大事にしていくためにも、Eコマースよりも店舗主体の販売に注力したいと思います。ただミュシャの世界観をしっかり発信し浸透させていくためには、スタッフ教育も重要で時間がかかるでしょう。じっくりと育てていきたいですね。
ー最終的にどれぐらいのビジネス規模を目指していますか?
3年で売上高10億円としていますが、売上ばかりにこだわらず、まずはブランドの世界観を多くの人に伝えながら、お客さまに喜んでいただけるブランドとして成長していきたいと考えています。
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