株式会社ルミネが今年も「ルミネスト認定会」を開催。接客ロールプレイングを審査し、最も高い接客スキルとマインドを持つショップスタッフを「ルミネストゴールド」に認定しました。ルミネ・ニュウマンのショップスタッフ約2万7000人のうち、今年のルミネストゴールドに認定されたのはわずか13人。今回、FASHIONSNAPでは、ルミネストゴールド認定証授与式とゴールド認定されたショップスタッフのみ受講することができる特別なセミナー「ルミネストゴールドアカデミー」に潜入。ルミネの財産とも言える、高い接客スキルを持つスタッフたちはどのように育まれているのでしょうか。その全貌をレポートします。
目次
そもそも「ルミネスト」とは?
株式会社ルミネが、2005年から取り組んでいる接客スキルの認定制度「ルミネスト」。ショップスタッフに必要な「精神」「感性」「理論」「技術」の4つの資質を基に、ルミネの理念「the Life Value Presenter お客さまの思いの先をよみ、期待の先をみたす。」を実践し、新たなライフバリューを提案する“おもてなしのスペシャリスト”を「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の3グレードに分けて認定しています。
コロナ禍で接客方法も多様化したことを背景に、2021年から従来の順位を競うようなコンテスト形式から、基準を満たしたすべてのスタッフをグレードごとに認定する「認定会」という形式に変更されました。ルミネストはいわば、ショップスタッフの中のショップスタッフ。その証として、ルミネストに認定されたスタッフは、黒を基調にしたオリジナル名札を着用することができます。あなたの街のルミネ・ニュウマンにもおもてなしのスペシャリストがいるかも?
ゴールド認定証授与式が“五感を魅了するホテル”で行われた理由は?
12月某日に行われた、ルミネストゴールド認定式の式場は、東京都港区竹芝に位置するラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション(以下、メズム東京)」。東京湾を一望できる、このホテルでなぜ認定式を行うことを決めたのでしょうか? 今回、認定式と「ルミネストゴールドアカデミー」のディレクションを務めた、ルミネ本社営業本部営業部の石木田彩さんを直撃しました。
なぜ、今回の認定式の式場に「メズム東京」を選んだのでしょうか?
ルミネストの認定会では、「精神」「感性」「理論」「技術」の4つの軸で審査をしているのですが、今回は「感性」にフォーカスすることにしました。
というのも、感性というのは人それぞれです。認定会においては「お客さまの気持ちをくみとることと、価値の感じ方/センス」=「感性」を審査基準にしているのですが、そもそも「感性とは何か」というのは難しい問いです。
そこで、まずは「自分の感性を理解する」というプログラムを組むことにしました。自分の感性を理解すれば、お客さまの気持ちをくみとることに繋がるはずです。
石木田さんが言うように、メズム東京は、季節に合わせて調香されたオリジナルフレグランスや、一般的なホテルよりも大きく流れる館内音楽、「ロミオとジュリエット」をテーマにした意匠に富んだ食事など、ロビーからゲストルームに至るまで、細部にこだわりを感じさせるユニークなホテルとして知られています。メズム東京総支配人の生沼久さんは「唯一無二であることを目指しています。これからの時代は、体験の提供こそが価値になるはず」と講演会で話してくれました。講演会の内容を受けて、今回ルミネストゴールドに認定された、ビームス ルミネ横浜店の花井李子さんは「オンラインでの会議が当たり前になった今、リアル店舗で私たち販売員がいる意味とは『みんな違って、みんな良い』という個性なんだな、と再認識しました。1人のショップスタッフとして私も唯一無二でありたいです」と更なるスキルアップに意欲を見せました。
認定証とともに渡された、ルミネストゴールドだけが持つことのできる名札
メズム東京のバンケットルームでは、今回ルミネストゴールドに選出された13人への認定証と名札の授与を実施。黒とゴールドを基調とした名札を受け取り、喜びもひとしお。オデット エ オディール ルミネ有楽町店の伊藤幸紀さんは、予選落ちも含めると7度目のルミネストゴールドへの挑戦だったそう。伊藤さんは「名札の色がシルバーから変わらないことがもどかしかった」と振り返り「ゴールドカラーの名札を胸につけることが嬉しくもあり、重みも感じています。ここがスタートだという気持ちで、明日からも自分の仕事を頑張ります」と喜びを露わにしました。
認定証をルミネストゴールドに一人一人手渡しで授与した、ルミネの高橋眞 代表取締役社長は「弊社には約2万7000人の販売員が従事しています。今回ルミネストゴールドに認定された13人の方は、その頂点に立つ逸材です」と称え「認定されて終わりではありません。みなさん自身の力だけではなく、周りの同僚や館の応援があって実現できたルミネストゴールドです。みなさんの貴重で素敵なマインドを独り占めするのは勿体無いので、周りのショップスタッフはもちろん、小売業界全体に伝えてください」と激励しました。
キャバン ニュウマン新宿店の守屋薫さんは、高橋社長のコメントを受け「私自身、今回のルミネストに出場させていただく中で、先輩方に気付かせてもらうことが多くありました。何よりも大きかったのは、お客さまをリードする接客に苦手意識があり、あまり自信を持っていなかった私に、個性や強みを見出してくれたことです。先輩と館の方の応援でここまで来れました。これからは私がサポートに回る立場。その人の個性を見つけ、それをさらに伸ばしていけるような環境づくりにも注力できればと思っています」と今後への思いを語りました。
メズム東京のこだわりについて生沼さんからレクチャーを受けた後、ルミネストゴールドたちは、タレント(メズム東京スタッフの呼称)の案内のもと、「スタイル」「おもてなし」「インスピレーション」を柱にした館内を実際に散策。また、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚で楽しむ「ロミオとジュリエット」をイメージして作られた食事を楽しみました。
目が慣れることのない暗闇で接客スキルをさらに磨く?
食事をとった後、一行は第2部「ルミネストゴールドアカデミー」の会場であるダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」に移動。ルミネストゴールドアカデミーとは、ゴールド認定されたショップスタッフのみ受講することができる特別なセミナーです。今回、認定者が参加したのは照度ゼロの暗闇空間で、視覚以外の全ての感覚を使って日常生活の様々なシーンを体験するワークショップ「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。参加者であるルミネストゴールドは、数人のグループとなり、視覚障害者のスタッフが案内する光を完全に遮断した“目が慣れることのない”暗闇空間で、白杖を頼りに90分間滞在。白杖を使った歩行のほか、様々なワークを交え暗闇での対話を体験しました。
ダイアローグ・ジャパン・ソサエティの佐川さんは「暗闇の中での対話は、誰もが対等になれます。性別、年齢、容姿、障害、肩書きなど、すべて意味を失います。視覚障害者のアテンドに導かれ、参加者は声を掛け合いながら、見ること以外の感覚を使い、主体的に気づきを得ることができるのではないでしょうか」とルミネストゴールド認定者たちに問いかけました。
90分間の暗闇体験を終了後、グループでディスカッションが行われ「日常生活でいかに視覚に頼っていたのかがよくわかりました。人との物理的な距離の取り方はもちろん、表情から様々なことを読み取りすぎていたのかもしれません」といった今までの接客方法を改めて見直そうとする声や、「接客は『お客さまの立場になって考えること』が重要ですが、そのためにはどのような声のトーンや言葉選びをしたら伝わりやすいかを考える必要があります。暗闇経験を経て、相手の立場になるとはどういうことなのか、今一度考える良いきっかけになりました」など、更なるスキル向上に向けて気付きを得るショップスタッフも。
接客スキルはもちろん、マインドも求められるルミネストは、リアル店舗でのお客さまとのやり取りの中で何を求められているのかを理解し、さまざまな提案をし、最終的にはお客さまのライフスタイルを豊かにすることが求められています。来年のルミネストゴールドはどんな個性を持った逸材が揃うのでしょうか。今から期待が高まります。
■ルミネ公式ホームページ
■ルミネスト2022特設ページ(認定スタッフ一覧)
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境