ルイ・ヴィトン 2022年春夏メンズコレクション
Image by: LOUIS VUITTON
日本刀を手に横たわる剣士の姿から始まるフィルムのタイトルは「AMEN BREAK」。父と子のストーリーが描かれた「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の新作2022年春夏メンズコレクションは、日本的な要素とともに様々な概念やサブカルチャーが掛け合わされている。
■サムライ、日本刀、武道
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コレクションフィルムで目を引いたのは和の要素。侍を連想させる日本刀と袴の装い、「四風」と書かれた空手道場、そして剣道の試合場に掲げられた「第七回国際発表大会」という幕は、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が手掛けて7シーズン目となる今回のコレクション発表と掛けている。しかし日本文化に傾倒しているのではなく、ヒップホップに尺八の音を合わせるように、さまざまな文化や異なる要素をマッシュアップしているのが特徴だ。
■伝承されるアーメン・ブレイク
タイトルの「アーメン・ブレイク(AMEN BREAK)」とは、ドラマーGregory C. Colemanによって1969年に演奏され、史上最もサンプリングされている6秒のドラム・ブレイク(ドラムソロ)のこと。録音からおよそ20年後にヒップホップ・プロデューサーやパイオニアらが注目しサンプリングされるようになり、あらゆるジャンルの音楽に影響を与えてきた。今回の映像の音楽にも、アーメン・ブレイクがサンプリングされている。
サンプリングと再サンプリングを繰り返すことで、変革しながら伝承されていく――。アブローは、アーメン・ブレイクを現代における創造性に置き換え、誰もが知っているような典型やサブカルチャーにズームインしたりズームアウトすることで、文化的な文脈と再文脈化を同時に強調したという。
■スーツVSトラックスーツ
コレクションで象徴的なのはテーラードスーツとトラックスーツ。フォーマルとストリートという対比的な無意識のバイアスを活性化したり、または中和したりといったアプローチで、先入観を脱構築し新たなコード化を試みている。
スカートやキルト、ワンピースなど、あらゆるシルエットを強調しながらジェンダーや文化のコードを曖昧にする提案。さらに、チェッカー柄やレイブカルチャーの影響によるレインボーカラー、エアブラシ風の鮮やかなカラーリングが、境界線を超越するアプローチを引き立たせている。
特に目を引くプリントは、1990年代のレイブパーティーのフライヤーがモチーフ。また、ジム・ジョー(Jim Joe)とのコラボレーションによるアートワークを取り入れた。
■カラフルな鯉のぼりバッグ
バッグにも音楽の要素を取り入れ、ギターバッグや、レコードレーベルMetalheadzとのコラボレーションによるLP、CD、USBケースがセットになったバッグが登場。ランドスケープ・バッグはリサイクル糸のジャカード素材で作られている。
スケートボードキャリア、果物型のポーチを組み合わせるDIYバッグ、そして日本人には馴染み深い鯉のぼりを模したマルチカラーのバッグも登場した。
■注目のコラボスニーカー「エアフォース1」
シューズの注目は「ナイキ(NIKE)」とのコラボレーションによる「Air Force 1」。2022年で誕生から40周年を迎える。アブローは、ヒップホップデュオのRob BaseとDJ EZ Rockによる1988年のアルバム「It Takes Two」のカバーに写るモノグラム柄スウッシュのAir Force 1からインスピレーションを得たという。ハイファッションとスポーツウェアを融合させるというヒップホップ・コミュニティの初期の手法に着目し、ヒップホップ・カルチャーへのオマージュを込めた。
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