文化人やクリエイターが夜な夜な集い、新たな文化が醸成される歌舞伎町・新宿ゴールデン街。ファッションブランドのヴィジュアルや雑誌のシューティングに採用されるなど、その唯一無二の混沌とした街並みは世界中のクリエイターを魅了し続けている。そんな"カオス"に満ちた街は、レモンサワーブームの火付け役となったバー「オープンブック」をゴールデン街で営む田中開にとっては、祖父の愛した思い出の街でもある。物心ついた時からこの街を見てきた同氏が、ライカの最新スマートフォン「LEITZ PHONE 2」で切り撮る新宿ゴールデン街の"今"とは。仕事場であり、遊び場であるこの街で、良き仲間たちと過ごした1週間。妖しくも美しい新宿ゴールデン街を、同氏の独特な感性と視点で捉えた写真・エッセイで描写する。
■「LEITZ PHONE 2」
ライカ独自の高品質な写真が楽しめるスマートフォン第2弾。スマートフォンとして最大級となる1インチの高性能47.2メガピクセルのCMOSイメージセンサーと、高い処理能力を持つSnapdragon® 8 Gen 1 Mobile Platformプロセッサーを採用し、高解像度による細かなディテールの表現や自然な色表現など優れた描写性能を実現。ライカが培った高い光学性能と画像ソフトウェア技術により、日常のあらゆる瞬間や経験する場面を切り撮る。価格は22万5360円。11月18日からソフトバンクで販売されている。
LEITZ PHONE 2:オフィシャルサイト
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■田中開
1991年ドイツ生まれ。早稲田大学基幹理工学部卒。直木賞受賞作家 田中小実昌を祖父に持つ。2015年、レモンサワー専門バー「OPEN BOOK」を新宿ゴールデン街にオープン。店内には、新宿ゴールデン街に集う文化人として知られていた同氏の祖父の蔵書が並ぶ。レモンサワーブームの火付け役となった同店のほか、新宿一丁目に「OPEN BOOK 破」、日本橋のホテルK5内に「Bar Ao」を構える。今年4月には、祖父との思い出や酒場の楽しみについて綴った初のエッセイ「酔っ払いは二度お会計する」を刊行。
OPEN BOOK:公式サイト
酒よ、今夜もありがとう
インスタグラムも満足に更新できない自分が、ゴールデン街で1週間、その様子を撮ってくれと言われる。それからの1週間は、午前5時に向かって飲んでいる日々であり、もはや写真を撮るという名目でずっと街にいりびたるだけであって、5時になれば始発が動くのではなく、タクシーの割増が終わって、お得な気持ちになるだけである。そして、気づくとスマートフォンの中には500枚以上にのぼる膨大な写真があり、この画像たちと自分の1週間を振り返るなんて、どうすればいいんだと途方に暮れる。色んなお店に行くつもりが結局、同じ店に、でも違う人と飲むことの連続で、何か定点観測のような飲み方になってしまった。
この機会だから、ゴールデン街はなんぞやと考えてみるが答えは出ない。ただ、なんとなくとこの街の「らしさ」というのは分かってきた気がする。
だからこそ、多様性とかダイバーシティとか言ってSDGsのピンバッジを付けている、いかにもなサラリーマンの首根っこをつかまえて、しかと聞きたい。ゴールデン街で飲んでいて、横のおじさんが「日本には核武装しかない!」と言われたときに、どう答えるのが、この社会の多様性たる答えなのか。答えはないのだけれど、そこで正面から議論も良し、よしなに酒を飲み交わすもよし、ゴールデン街ひいては歌舞伎町にあるのは、その変わらない許容のスタンスだ。
この街の「らしさ」と「酉の市」の”粋”
例えば、ここは歌舞伎町のニューハーフバー。
女性か男性か分からない中で、お互いに男と女を演じている空間(僕たちもあくまで男を演じているだけかもしれない!)。ニューハーフのキャストに混じって生物学的女性(本物の女性とか言うと語弊を産む)もいる。
ジェンダーや性差について学ぶことは誰でもできる。でも、そういうのが座学だとすると、こちらは実践かもしれない。残念なことに、座学はあまり役に立たなくて、結局、彼女たちにシャンパンが何本開けられるかというお財布のほうが大事だったりする。非番の子が、ノーギャラなんだけどと言いながら私服で踊っていたり、もう全く踊りが揃ってないショータイムに、僕は不思議と勇気をもらいました。
新宿、花園神社の酉の市。ゴールデン街の脇にある花園神社のお祭り。今年になって、ようやく酉の市が戻ってきたように思える。でも、屋台だけで、飲み食いできるお店がまだ無いし、11時でお終いということで、少し寂しい。前は、お店の営業終わりに朝まで飲むのが楽しかったんだけど。みんな大きい熊手を買うけれど、個人的には、神社の売店で売っている1000円の小さな熊手で済ませるのが粋、と信じている。歌舞伎町にあるセレクトショップ「THE FOUR-EYED」の藤田くんもいた。
今週もよく遊びました。
さて、ゴールデン街のお店をいくつか巡ってみようと思う。
<オープンブック>
オープン当初から通ってくれてる坂田。この人のお会計全部足すと軽自動車くらいは買えそう。
弊店舗。一応、事あるごとにお店に足を運ぶのが、せめてものオーナーの仕事。ちなみに、こんな感じで本がたくさんあるお店です(安直)。
僕がこのお店に立つことはあまりなく、専らカウンター外からの賑やかし。
■オープンブック
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-1-6 ゴールデン街五番街
営業時間:午後8:00〜午前0:00
定休日:不定休
<しの>
オープンブックで働く前に1年間、ここで働いていた。この1週間も5日行きました。
この日はスタッフのユキトモとキャメロンとお店の営業あとに。。「しの」は18時から5時まで、年中無休という素晴らしい営業スタイルで、いつも遅い時間まで飲んでしまい、もう人気の無い通りを帰るのが常だ。
■しの
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-1-9 花園一番街
営業時間:午後6:00~午前5:00
定休日:無休
<ロケット>/<disico devil>
5時になれば、近隣のスタッフたちが集うお店。ゴールデン街のアフターファイブはAMなのです。
この日は、アリスという後輩に誘われて。飲みいきましょうと屈託のない笑顔で言われると断れない性格です。
そのまま、新宿三丁目のdisico devilへ。ゴールデン街の逸材・ハンナちゃんへ会いに。ここまで酒を飲む美女は後にも先にも見たことがない、ゴールデン街の鑑。
■ロケット
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-1-10
営業時間:午後9:00~午前6:00
定休日:毎週日曜日
■disico devil
住所:東京都新宿区新宿3-7-5 第2シグマビル 4階
営業時間:午後9:00〜午前5:00
<ゴールデンダスト>
ゴールデンダスト、日本語に略せば金の屑。新宿ゴールデン街3番街の中心に位置するお店。
24時間営業のお店。ご飯が出るわけでもコーヒーが出るわけでもなく、ずっと酒を飲むお店。お隣には、山本さん。山本さんは、ゴールデン街のファミリーマートで働いている。都心にありがちな外国人がバイトの大方を占めるお店で、ほぼ唯一の日本人。ゴールデン街のファミリーマートは、一晩中肉まんをはじめとしたホットスナックが途切れない、まさに夜が訪れないお店なのだが、そこでいつも忙しなく働いている。
山本さんは土日月の深夜は、このしんちゃんという彼が働いているところに、ずっといる。カウンターにドラムのばちと謎のハートの容れ物を置きながら飲むのが彼女のスタイル。習っているというドラムをカウンターで、叩き始めて、いつもしんちゃんに怒られている。
歌舞伎町に住みながら、どうしてもゴールデン街のコンビニで働きたいと、ずっと応募のチャンスを伺って、その念願が叶ったのが3年前。「ずっと変だと言われていたけれど、この街では誰もそんなこと言わないで受け入れてくれる、ここが好き」と言いながら、バチを叩いて、「うるさいよ!」としんちゃんは怒鳴っているが、誰も怒っていなくて、また気にすることでもない。
気づけば、日曜の朝5時。週の頭のこんな時間に、もう街は閑散としていた。また次の週末を待って。
■ゴールデンダスト
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-1-8 新宿ゴールデン街3番街
営業時間:24時間営業
定休日:無休
OPENBOOKスタッフの真実ちゃん、女優。
(文・写真:田中開、編集:長岡史織)
LEITZ PHONE 2
ライカ社のカメラ「ライカM8 ホワイト」を想起させる「ライカ ホワイト」
Image by: ライカカメラ
■進化したオリジナル撮影モード「Leitz Looks」
オリジナルモード「Leitz Looks」では「Summilux 28」「Summilux 35」「Noctilux 50」を採用し、ライカレンズの特徴的なボケの表現と高い画質を実現。印象的なコントラストの「Monochrome」をはじめ、35mmシネマフィルムのようなクラシックなアナログ感を表現する「Cinema Classic」や「Cinema Contemporary」といった3種類の色調が楽しめるフィルターと組み合わせることで、深みのある色調、独特のナチュラルな表現など、他に類を見ない写真の撮影が可能となっている。また、「Leitz Phone 2」専用の機能として「Golden Hour Widget(ゴールデンアワーウィジェット)」を新たに開発。“ゴールデンアワー”と呼ばれる暖かい光が生まれる日の出後と日没前に美しい写真を撮るのに最適な時間を表示させる。
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