阿部潤一が手掛ける「カラー(kolor)」が、先シーズンに引き続き映像形式でパリ・メンズファッションウィークの公式スケジュールに参加。新作のメンズ・ウィメンズ2022-23年秋冬コレクションは「壊す」という手法により、アンバランスな美を探究した。ギミックが仕掛けられたコレクション映像の監督は田中裕介、音楽は山口一郎(サカナクション / NF)と青山翔太郎(NF / Hyōgu)が担当している。
■破壊と美、危ういバランス
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ブランドのシグネチャーカラーであるブルーのカーペットに映えるファーストルックは、鮮やかな赤のステンカラーコート。左側はベーシックなデザインだが、右側だけ表地の一部が剥ぎ取られて毛芯や裏地が露出し、袖からはファー、裾からはプリーツやフリルのスカートが垂れ下がる。その下にレイヤードしたジャケットも同様に片側だけ壊すアプローチで、表と裏の境を曖昧にしている。
続くルックも、クラシカルなテーラードなど典型的なスタイルを大胆に破壊しながら、危うくも美しいバランスを探究。ハードとソフト、マニッシュとフェミニンといった相反する要素を同居させたり、切り取られた部分から意外なパーツが飛び出していたりと、高度な技術によるギミックが満載。ニットのVネックの片側をマフラーに変えたり、アウターを裏返してスカートに仕立て直すといった、斬新なアイデアが随所に散りばめられている。
Image by: kolor
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ブランド初のオーバーオールも、ヴィンテージ加工だけではなく一部のパーツが二重になっていたりと、手の込んだ構造。メンズとウィメンズともにオーバーサイズのシルエットと相まって、パワフルなスタイルを印象付けた。
Image by: kolor
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■壊して作る、シューズやハット
「壊す」という手法はアクセサリーにも取り入れられ、切り刻まれたパーツを再構築したスニーカーとサンダルは、一点物のリメイクシューズのような雰囲気。「キジマ タカユキ(KIJIMA TAMKAYUKI)」とのコラボレーションによるハットは、プリムの一部が「kolor」のロゴで切り抜かれている。
2022-23年秋冬コレクションの新作シューズ
Image by: FASHIONSNAP
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■異空間を描いた斬新な映像
コレクション映像に映るのは、マジックミラーに囲まれたランウェイと、その外側に広がる異空間。ランウェイを歩くモデルたちとは対照的に、ミラーの外側にはベーシックなスーツを着た男女が行き交っている。撮影には約80人のエキストラを起用したという。照明によって現れたり消えたりを繰り返し、異質なパラレルワールドを作り出した。
映像を手掛けた田中裕介は、サカナクションの「新宝島」など数々のミュージックビデオをはじめ、オンラインライブやアリーナツアーの演出も手掛けている。今回はサカナクションのフロントマンである山口一郎と青山翔太郎が制作した音楽とともに、カラーのコレクションと連動する独創的な世界観を描いた。
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