東京の街を舞台に、どこか既視感がある日常ながらも物憂げで時には思わずクスッと笑ってしまうスナップ写真を撮るオカダキサラ。そんなオカダによる連載「歳時キサラ」。独自の観察眼で切り取られたその季節ならではの4枚の写真を、それぞれに付随するタイトル&テキストと共にお届け。約1年間続いた連載も今回で最終回。オカダがついついシャッターを切りたくなったのはどんな瞬間?
さいじ‐き【歳時記】
1,一年12ヵ月、または季節に分かち折々の自然・人事などを記した書物。
2,俳句の季語を集めて分類・整理し、解説や例句を載せた書物
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回り道が、本当に回り道
「海に行ったの?」と、聞かれてしまうくらい、今年も肌が焼けてしまった。
焼けた原因は主に仕事だ。
時計やTシャツで隠れた部分は白いので、少し恥ずかしい。
公園で肌を晒すおじさんたちのように、私も夏の日差しを楽しんでしまえたら、と思う。
しかしそうなると気になるのがボディライン。
仕方ない、今日からトレーニングをしてみるか、とユーチューブで参考動画を検索する。
私は形から入る、めんどいヤツなのだ。
そんな私を置いて、夏は終わろうとしている。
打ち上げ花火、どこから見るか?
花火大会のシーズン到来だ。
毎週どこかしらで開催されているが、どこも同じく混雑しているようだ。
カップルがレジャーシートを広げているこの場所は、花火の打ち上げ会場より少し離れていた。
ここはどうやら穴場らしい。
他にも何組か待機していた。
見える花火は本会場より小さいだろうけど、きっと綺麗だろう。
夏の日没は遅い。
彼らの手には缶酒。
花火が上がる前に、まずは杯をあげていた。
きっと、来る
去年訪れたひまわり畑に、今年も足を運んだ。
ひまわりは見頃で、眩しいくらい鮮やかだった。
この景色をずっと見ていたかったけど、あまりに暑くて長居できない。
何枚か写真を撮ってその場を後にした。
写真の中のひまわり畑は綺麗だけど、フレームの中の景色は狭く感じた。
枠に収めきれなかったひまわり畑と青空の広さを思い出す。
来年も暑いに違いない。
でもきっと、私はまた、ひまわり畑を見に行きたくなるだろう。
知らない間に包まれていた
知らない間に愛に包まれていたなぁ、と感じる瞬間がある。
ふと見た情景がきっかけで、頭の中で散らばっていた記憶が一つに繋がる。
「あのとき言われた言葉はこういうことだったんだ」とか「あのときあの人はこういう気持ちだったのではないだろうか」と、いろいろなことが腑に落ちてパッと目の前が明るくなる。
何故そのときに気づかなかったのか、と悔やむ気持ちもある。
もう伝えられない感謝を、何度も何度も心の中で呟く。
1988年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。大学在学中に東京をテーマにストリートスナップを撮り始める。忘れられてしまうばかりの瞬間には、毎日の見方を変える不思議な仕掛けが隠されているのではないか。そんな思いで街にレンズを向け続けている。第4回1_WALLファイナリスト、2015年度ユーナ21入選、2016年度コニカミノルタフォトプレミオ入選。
公式オンラインストア
■再録ZINE「歳時キサラ」
発売日:9月23日
価格:1500円
公式オンラインサイト
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