Image by: Kisara Okada
東京の街を舞台に、どこか既視感がありながらも思わずクスッと笑ってしまうスナップ写真を撮るオカダキサラ。「忘れられてしまうばかりの瞬間には、毎日の見方を変える不思議な仕掛けが隠されているのではないか」というステイトメントの通り、オカダ独自の観察眼で切り取られた日常はある種のつっこみどころがある。そんなオカダによる、ある夏の日を切り取った写真日記。
1988年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。大学在学中に東京をテーマにストリートスナップを撮り始める。忘れられてしまうばかりの瞬間には、毎日の見方を変える不思議な仕掛けが隠されているのではないか。そんな思いで街にレンズを向け続けている。第4回1_WALLファイナリスト、2015年度ユーナ21入選、2016年度コニカミノルタフォトプレミオ入選。
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2022年6月某日の写真日記
2022年6月某日。
歴代最短の梅雨明け宣言。
このまま涼しい夏が過ごせるかと思ったが、甘かった。
やっぱり今年も暑い。
日差しの強さも道行く人の服装も湿気の不快感も真夏そのものなのに物足りない。
蝉の声がないのだ。
そう思っていたら雑踏の中に、蝉の鳴き声が。それも一匹だけらしい。
孤独のなか、それでも命の限り体を震わせるしかない蝉を思うと切なくなった。
2022年7月上旬某日の写真日記
2022年7月上旬某日。
気温が上がると肌を晒すオジサンが増える。
いずれ小麦色のオジサンがもっと増えることだろう。
対して私は紫外線に対してできる限りの万全な対策を講じてきた、つもりだった。
髪を切りに美容室に行ったら、担当してくれたイケオジ美容師さんに「オカダさん、焼けてるねぇ〜」と関心された。
鏡越しの彼は、とても白く見えた。
2022年7月中旬某日の写真日記
2022年7月中旬某日。
修学旅行中の学生さんたちをよく見かけるようになった。
はしゃぐ彼らを見て、自分はどうだったろうかと記憶を掘り返す。
修学旅行の後はすぐ夏休みが控えていた。
間に期末テストがあったけれど、長期休みを思うと試験勉強も乗り越えられた。
社会人となった今、盆休みは3日しかなく「夏休み」という甘美さは薄れてしまった。
代わりに「人生」という名の修学旅行はずっと続いている。
2022年7月下旬某日の写真日記
2022年7月下旬某日。
海開き直前、海が見たくて千葉県へ。
いすみ市に立ち寄り、北海道の叔母夫婦にお中元のメロンを買った。
「北海道だって上等なメロンがあるだろうに」と店員さんが首をかしげたので、高級すぎて地元民は却って買わないらしいと事情を説明。
「なるほど、私も地元名産の伊勢エビ、食べたことないわ」と店員さんも納得。
たしかに私も東京ばななを食べたことがない。
後日、叔母夫婦から行き違いで富良野メロンが届けられた。
■オカダキサラ個展「トーキョーオーヴァー(TOKY∞VER)」
会期:2022年8月1日(月)〜2022年8月14日(日)
場所:ROOMCRIM NAGOYA
住所:愛知県名古屋市中区大須3-1-35 HASE-BLDG.3 2F
詳細はこちら
(企画・編集:古堅明日香)
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