銀座の街にH&Mが戻ってきた。日本初上陸店舗として2008年にオープンした「H&M銀座店」は、2018年に閉店。閉店の理由として、ギンザシックス(GINZA SIX)の開業で人の流れが変わったことや高額な家賃などを挙げていたが、5月11日の今日、銀座2丁目に「H&M 銀座並木通り店」を再オープンした。5年ぶりに銀座の街にカムバックしたH&M銀座並木通り店をはじめ、同社は今春、7店舗連続で国内に新店舗を出店している。2022年6月にH&Mジャパンの代表取締役社長に着任したアネタ・ポクシンスカ(Aneta Pokucinska)は、「銀座は東京の中でも特に、ファッション感度が高い人にとって重要な場所」とした上で「長い間、銀座はどちらかというとラグジュアリーなイメージがあった。しかし、私たちは誰もがオシャレを楽しむことができる『ファッションの民主化』を目指している」と話し、銀座再出店への想いを語った。
アネタ氏は「購買以外の付加価値を与える銀座並木通り店は、世界的に見ても特別なセットアップとなっている」と話す。銀座に改めて出店した理由についても「確かに銀座は家賃が高い」と断った上で「閉店してから常に再出店を模索していた」と明かし「コロナ禍があり、客足の減少した銀座でいつ再出店をするかとタイミングを伺っていた。徐々に客足が戻りつつある今が、再出店に最適なタイミングだと考えた」と語った。
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「2018年に閉店した銀座店と、今回のオープンした銀座並木通り店との繋がりについて、『以前のお店がどうだったか』は考えませんでした。現在の銀座という街を分析し『どのようなニーズがあるのか』にのみ注力しました。なぜなら、2018年の閉店から様々なことが変わりましたし、あくまでメインテーマは『ファッションの民主化』だからです」(H&Mジャパンの代表取締役社長に着任したアネタ・ポクシンスカ)。
アネタ氏は、コロナ禍において注目されたファッションのデジタル化や、オンライン購入についても言及。「実店舗の重要性が改めてクローズアップされている」と分析し「これまでの”ただ買う”という購買体験だけではなく、付加価値での体験が重要になる」とファッションの民主化に向けて、H&M銀座並木通り店のコンテンツを精査していったという。
全世界に3店舗しかないコーヒショップ併設店
購入だけには留まらない特別な体験の一環として、銀座並木通り店にはコーヒーショップを併設。コーヒーショップが併設している店舗は、ドイツ、スウェーデンに次いで全世界3店舗目だという。コーヒーショップでは、京都に本社を構える「小川珈琲」が厳選したオーガニックコーヒー(280円)のほか、ピスタチオやヘーゼルナッツなど、7種類のフレーバーを楽しめるビートシュガーフレーバーラテ(300円)、フレーバーティー(250円)、チョコレートチップクッキー(400円)などをラインナップ。5月14日まで、店内にイートインスペースを用意し、ショッピングの合間にカフェタイムを楽しむことができる。※5月14日以降はテイクアウトのみ対応。
コーヒーショップの横には、2016年から展開している同社のインテリアライン「H&M HOME」を用意。これまではオンラインストアのみの取り扱いだったが、今回、日本の実店舗で初めて取り扱われる。ランチョンマットやカップなどのキッチンダイニングのほか、フラワーベースなど、銀座店のためだけにバイヤーがセレクトした約40型をラインナップする。
店外には、「H&M HOME」のアイテムや、「ミュグレー(Mugler)」のコラボレーションコレクションを目当てに13時のオープン前から約60人が列を作り、中にはオープン3時間前から並んでいる人の姿も見られた。
銀座並木通り店の内装
銀座並木通り店は、内装も特別な仕様となっている。売り場面積は約1300平方メートル。1階から3階までの3フロアで構成されており、各階にはテーマカラーが設けられている。キッズセクションは用意せず、メンズとウィメンズのみを展開し、1階はウィメンズセクションのほか、コラボアイテムを展開する特別スペース、H&M HOME、コーヒーショップを用意。H&MジャパンPRコミュニケーションマネージャの室井真希氏は「銀座並木通り店は『ラボ』のようなもの」と形容。「様々なお客様により良いショッピングをしてもらうために、新しいことを柔軟に取り入れる店舗、グローバルの視点ではブランディングを担う役割がある」と話した。
広々としたフィッティングルーム
原宿への再出店にも意欲
アネタ氏は今春、国内に7店舗連続で新店をオープンしていることにも言及し「日本で実店舗を増やしていく考えに変わりはない」と強調した。今後も出店に向けて、オンラインストアの購入履歴からカスタマープロファイルを分析。東京、大阪、福岡の主要都市以外のエリアに展開の余地があり、顧客の需要をもとに出店を加速させる意向を示した。
2022年に閉店した原宿店についても「原宿も銀座と同じくらい重要なエリアだと考えている。原宿に関しても再出展ができないかと模索している」と前向きな考えを明かした。H&Mが目指す、日本国内を中心としたファッションの民主化に注目が集まる。
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