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FASHIONSNAPによる業界の職業図鑑。ファッション業界にはどんな職業があるのか? 名前は聞いたことあるけど実際どんな仕事をしているのか? という疑問を解消すべく立ち上がった連載企画です。業界の最前線で活躍する人を招き、リアルな職務内容や必要なスキルなどをファイリングしていきます。
第3弾はファッションバイヤー編。セレクトショップ「 アデライデ(ADELAIDE)」や「アディッションアデライデ(ADDITION ADELAIDE)」でバイヤーを務める長谷川左希子氏の協力を得て、この職業の魅力を探ります。
ファッションバイヤーってどんな仕事?
ADVERTISING
セレクトショップや百貨店などで取り扱う商品を買い付ける仕事です。まず、ブランドごとの売上分析、過去に売れたアイテムの傾向などを分析から。上期と下期(春夏と秋冬)に分けて店の売上と消化率を見ながら各ブランドに予算を振り分けます。必要な場合には、各ブランドの営業担当者と予算について話し合うことも。そうして、ブランドの展示会に伺い、商品のセレクトを行います。
商品を買い付けるというイメージが強いバイヤーですが、実は消費分析とそれに基づいた計画を考えることが重要な仕事です。
また常に、新しいブランドのリサーチを行っています。
ファッションバイヤーになるには?
販売員として経験を積み、売上など実績を残すことでバイヤーに昇格するというのが一般的な流れです。
従来は4、5年以上の販売員経験が必要になると思いますが、現在はバイヤーになる方法も多様化してきます。
そのお店が必要としている才能(センス、英会話能力、高いコミュニケーション能力)が備わっている人はヘッドハンティングされることもありますね。
必要な資格や勉強しておいた方が良いこと
ファッションバイヤーになるために必要な資格は特にありません。海外出張など英語を使ったコミュニケーションが必要になる場合が多いので、語学に長けていると仕事の幅は広がります。パソコンスキルがある、分析能力に長けている場合は、売上データの管理などで役立つでしょう。
他にも限られた時間内でいくつも展示会を回ったりしないといけないのでマルチタスクをこなせると尚良し。また、気がよく回り様々なことに興味を持てる人はバイヤーに向いていると思います。
ファッションバイヤーのある1日のスケジュール〜長谷川氏の場合〜
やりがいは?
自分の買い付けた商品の売れ行きが可視化されること。また常にファッションの最先端を知ることができるのでファッションが好きな人にとってはモチベーションに繋がります。
自分が買い付けた商品が、売れた時はやりがいを感じます。他のショップでは「売るのは難しそう」「尖りすぎている」と判断されたものでも、提案次第で多くのお客様にリーチすることができるのでそこも楽しい点ですね。
大変だなと感じる時は?
インポートブランドの買い付けの場合、海外出張が多く体力的に大変な場合もあります。また、バイイングはお店の売上に直結する仕事なのでやりがいがある反面、責任も重大です。
展示会シーズンは、1日に何件も展示会を回らなくてはならないので体力勝負です。
ファッションバイヤーの収入はいくら?
もちろん個人差はありますが、販売員を4〜5年経験した後、20代後半でバイヤーになったと想定すると300〜400万円ほどが平均的なようです。キャリアアップしていくことで高い場合は700万〜900万円に到達することもあります。
ショップの規模や個人の実績などによっても変動するのでピンキリです。
ファッションバイヤーからの発展性、転職などは?
社内でのキャリアアップはもちろん、一流のものに触れてきたバイヤーは感性が磨かれるので、その経験を活かした仕事で活躍する方も。マーケティングやファッションPR、ディレクターに転職することもできます。
バイイングはショップのイメージに直結するものなので間接的にショップをディレクションしていることになります。私の場合はディレクターも兼任しているので、内装やヴィジュアル関連の業務も手掛けることがあります。
ファッションバイヤーに向いている人や大切なこと
常に新しいものが出てくる業界なので興味の幅が広く、またその魅力を理解する感性を持っているかどうか。また顧客の声を聞くことも大事なので、販売員として接客のスキルを身につけることも必要不可欠です。展示会などで人と関わることが多い職業なので、コミュニケーション能力の高さも重要になります。
コミュニケーション能力や語学力はもちろん、時にはそのショップの個性を出すために攻めたバイイングをする勇気と決断力も大切なスキルです。
ファッションバイヤーを志す人に向けて
バイヤーは商品を買い付けるだけではなく、ショップの売上に貢献したり、雰囲気を作り上げたりと、そのショップの舵を取る存在です。責任が大きい分、やりがいのある仕事なので、興味のある人はぜひ目指してみて下さい。
ファッションバイヤーの年間スケジュールの一例
1月
・春夏商品の販売が開始
2月
・秋冬メンズコレクションの買い付け
・プレフォールコレクションの買い付け
3月
・ウィメンズコレクションの買い付け
・春夏コレクション(来季)の全体予算を算出する
4月
・各ブランドの買い付け予算を算出する
・秋冬受注会の準備
・秋冬受注会のためのスタッフトレーニング
5月
・秋冬受注会開催
・GWは比較的余裕がありゆっくりできる時期
6月
・顧客向けのセール開催
7月
・プレスプリングコレクションの展示会
・春夏メンズコレクションの買い付け
・秋冬商品の販売が開始
8月
・秋冬商品の販促
・夏休み
9月
・秋冬コレクションの全体予算を算出する
・各ブランドの買い付け予算を算出する
10月
・春夏ウィメンズコレクションの買い付け
・春夏受注会の準備
・春夏受注会のためのスタッフトレーニング
11月
・春夏受注会開催
12月
・顧客向けのセール開催
・ホリデーシーズンのイベント開催
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