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アーティスト・チョーヒカル エイリアンな私たちを繋げる世界【連載:BODY MAGIC】

アーティストのチョーヒカルとボディペイント作品

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Image by: FASHIOSNAP

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 「BODY MAGIC」は身体表現のプロフェッショナルに、「身体と装い」について語ってもらう連載企画。今回登場してくれたのは、アーティストのチョーヒカルだ。身体やモノにリアルなペイントを施した作品で注目され、テレビや広告など幅広い分野で活躍している。現在はニューヨークを拠点に活躍する彼女が見つめる身体、そして装いの意味とは?

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インテリ一家に生まれ、絵でしか勝てなかった

 台風のような女——と周囲からは評されているらしい。29歳のチョーヒカルは、そのチャーミングな外見からは想像できないほどバイタリティに溢れ、同時に冷静で繊細な面も持ち合わせている。それは彼女のユニークな作品性とも重なり合う部分だ。

 東京生まれのチョーは、幼い頃から絵を描くことが好きな子どもだったという。「少しでも放っておくと木に登っちゃうような子どもで、絵を描かせる時だけ大人しく座ったので、母が絵画教室に放り込んだそうです」と語る。「私以外の家族が全員、頭いいんですよ。みんな東大の院とかまで行っているインテリ一家で。自分が唯一、抜きん出ていたのが絵。いつの間にかそれしか選択肢は残っていなかった」。

カサカサの作品なんて面白くない

 チョーの家族はアートにまったく興味がなかった。「まだ実家に住んでいた大学生の頃、家族共有のパソコンにボディペイントの作品を保存していたんです。私がデスクトップにぐちゃぐちゃに配置していたのを、ある日父がまとめてくれていて。そのフォルダ名が『グロテスクな絵』——そういう感じです、うちの家族の反応って」と笑う。

 とはいえ、グロテスクな要素はチョーの作品にとって大切な要素でもある。「ちょっとグロい感じの生々しさがあるヴィジュアルが好きですね。ツブツブしているとか、内臓っぽいとか。カサカサの作品を見ても別に面白くないから(笑)やっぱりシズル感が大切」。

物覚えが悪いから、いつも手にメモしていた

 ボディペイントを始めたのは、日常の延長線上だった。「私、ものすごく物覚えが悪いんです。メモしてもその紙をなくしちゃうから、ずっと手にメモしていて。だから身体に絵を描き始めるのも自然な流れでした。絵の具を使って描いたのは19歳の時。一番最初に描いたのは目でした」。

 あまりにもリアルなクオリティに、CGや特殊メイクと見間違う人も多い。「私は絵を描く行為が好きなので、シンプルな技術で作った方が意味がある気がしています。CGはかっこいい技術だと思うんですけど、何でもできちゃうじゃないですか。私は、絵の技術だけで質感や立体感などを表現するのもいいかなと思っています」。

思いがけずSNS上でバズってしまう

 武蔵野美術大学では視覚伝達デザインを専攻した。「グラフィックや広告といったデザイン分野の、視覚を使ったコミュニケーション全てを学ぶんですけど、絵を描く生徒はいませんでした」。ボディペイントが注目されたのは、本人がSNSに投稿した写真がバズったのがきっかけだった。「現役美大生のボディアートがすごい」「メイクが創造的すぎる女子大生」とあらゆるメディアで取り上げられ、一躍時の人となる。「知らないうちに人気が出ちゃって、どうしたらいいか分からない。いっそのこと全部やめてしまおうかな、と悩んだ時期はありましたね」。

 それでも続けたのは、身近な人からのアドバイスだった。「教授に『やめるのはいつでもできるから、世間が求めるものを学ぶためにも続けた方がいいよ』って言われて『じゃあ、できる限り続けようか』と思ったんです」。

「君の作ったものはゴミ」と言われて奮起

 その後、展覧会が開催され、作品集も出版。多くの仕事が舞い込んだ。しかし、求められることに応えるのに必死で、チョーはだんだん閉塞感を覚えるようになっていく。「同じようなクオリティで作品を作り続けることはできる状態だったけれど、それ以上に“仕事”になってしまっていて。自分が『これはいいじゃん』と思える作品なんて二度と生まれないかもって悩んでいました」。

 そんなある時、作品制作のために滞在したニューヨークで、ある美術評論家に酷評されてしまう。「君の作ったものはゴミだから、辞めたほうがいい」——その言葉に一度は憤慨したチョーだったが、それを転機にニューヨーク留学を決意した。もう一度、芸術を学び直そうと思ったのだ。「自分を批判してくれない所では成長できないじゃないですか。当時、どこかでレベルアップのきっかけを掴まなきゃいけなきゃいけなかったんです。周りからは『今じゃない』と言われましたけど」。

 翌年渡米し、ニューヨークのプラット・インスティテュート(Pratt Institute)で専攻したのはコミュニケーションデザインだ。「伝えたいことをちゃんと伝えられて、人を動かせるような作品を作りたいという気持ちがあって。メッセージ性の強いものを作れるようになりたいって思ったんです」とその理由を説明する。

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