自社ECのオフラインストアでオリジナルコスメ参入
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―2021年11月から自社ECサイト「ベイクルーズストア(BAYCREW'S STORE)」のオフラインストアの出店を開始しました。1号店が仙台にオープンしましたが、進捗はいかがでしょうか?
そもそも組んでいた目標が低いんですけど、進捗は良いですね。
ベイクルーズストア 仙台
Image by: ベイクルーズ
―保守的に設定した理由は?
コロナの見通しがつかなかったこともありますが、オープンした時点で同じエリアに「ジャーナル スタンダード(JOURNAL STANDARD)」など出店ブランドの既存店があり、すでにある程度の商品を販売していたので、損益分岐点ギリギリの売上予算を立てていました。地元の方にも興味深く見ていただけたと感じていますし、数字の結果を見てもまあ好評だったのかなと。課題は新規のお客さまを獲得していくことですね。
―新規顧客獲得のためには話題作りが必要ですよね。
ベイクルーズストアの一番の強みは、一晩で売り場を変えられるフレキシブルさがあることなので、出店ブランドを積極的に入れ替えていきたいですね。あとはポップアップスペースも設けてありますので、そこで話題性を作っていく。ブランドを横断したスタイリングの提案も未着手ですし、できることはまだたくさんあると思っています。
―3月には2号店が名古屋に、3号店が福岡にオープンします。
名古屋店では「イエナ(IÉNA)」で新たに立ち上げるコスメラインを販売し、一部フロアにコスメのセレクトコーナーも設けるなど、新しい取り組みをスタートします。
―イエナでオリジナルコスメの開発に参入。狙いは何でしょう?
コスメはセレクトで取り扱ってきていますが、期限が切れたものを破棄することがあり、「責任ない処理をするなら二度と仕入れるな」と叱ったんです。それを機に、ちゃんと先を見据えて何年もかけてコスメブランドを育てていった方が良いのではないかという判断から始めることにしました。ビューティへの関心が高まっていますし、コスメの商品を充実させることで提案の幅も広がると思っています。
―カラーメイクとスキンケア、どちらを展開していくんですか?
スキンケアですね。外部企業の協力を得ながら商品を開発していきます。
―コスメラインではどのようなことを構想していますか?
まずはベイクルーズストアの中でコスメを販売します。ECのほかに名古屋店でも取り扱い、再来年頃に都心部の店舗でも販売を開始できたらいいなと。うまく軌道に乗せることができたら単独出店も検討していきたいですね。
データに頼りすぎないものづくりを
―2022年は「ウィズコロナ」「アフターコロナ」どちらの想定で事業を進めていく方針ですか?
まだアフターではないですから、当然「ウィズコロナ」です。でもコロナ以外でも、例えばアメリカでは竜巻で多くの被害があったり、異常気象も驚異じゃないですか。なので、コロナをはじめ、この先何が起こっても耐えられる企業体を作っていかなくてはならないという危機感は常に持っています。
―今期の出店計画は?
積極出店の方針ですが、あくまでも新しくトライできるところであったり、ターゲットとマッチする場所で出店の余地があるところはどこなのか都度検証していく考えです。
―昨年のインタビューでは「都心より地方都市」という方針を掲げていました。都心に人が戻ってきていますが方針変わらずでしょうか。
正直、都心ではブランドもエリアもある程度出し切ったという感覚です。移転やリニューアルはあっても新規出店はかなり厳選していく必要がありますね。
―都心でのシェアを拡大するために、新ブランドの立ち上げも選択肢の一つになりえそうですが。
これまではそういう戦略があったんですけど、取り巻く環境的にも今出店しても赤字になるとわかりきっていますから。会社としては耐えようと思えば耐えられますが、売れない状況が続くと事業チームのメンタルが耐えられないかなと。
―経営とサステナビリティの両立について。ベイクルーズではどのような方針を目指していきますか?
優先順位が最も高いのはやはり在庫問題ですね。商品を楽しみに待ってくださっているお客さまがいますから、まずは余計なものを作らずに、できるだけ地球に負担をかけないものづくりを進めていきます。
―「効率的なものづくり」という点で何か施策はありますか? AIやビッグデータを活用する企業も増えていますが。
データの活用は一つの方法ではありますよね。ただ、僕たちの商品は“感動”で買うものですから、勘みたいなものも大事だと考えています。数字やデータだけでものづくりをすると、全社同じものになってしまう。AIで作った商品なんてきっと、つまらないものしか出てこないと思うんですよ。科学的な検証もしながら、これまでの経験や感性を昇華して精度を高め、ものづくりに落とし込んでいく必要はあるのかなと感じています。
―サステナブルな素材の使用も業界として前提となりつつあります。
土に還るような再生可能素材も選択肢としてはもちろんありますし、実際に一部の商品で使っていますが、コスト度外視で全面的にサステナ素材に切り替えるのは難しいのが現実です。作った服を全部売る、材料を残さない。まずはそういうところから始めていきたいと思っています。
―アパレル業界は依然厳しい状況が続いていますが、杉村CEOにとっていま必要な人材とは?
一番は、ゼロをイチにできる人。ファッションもビジネスもすごいスピードで変化している中で、常に時代を感じ取り、新しいことを取り入れていくことができないと、生き残っていくには厳しいんじゃないでしょうか。逆に必然的にそれができる人は、大概のことができる人だと思っています。
(聞き手:福崎明子、伊藤真帆)
■「トップに聞く 2022」バックナンバー
・三陽商会 大江伸治社長 「美しい価値あるものに対する需要は絶対になくならない」
・ザボディショップジャパン 倉田浩美社長 創業から貫くサステナビリティ精神に共感
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