AZ Factory デビューコレクション
Image by: AZ Factory
デジタルで開幕したパリのオートクチュールウィークで1月27日、 アルベール・エルバス(Alber Elbaz)による新ブランド「AZ Factory」がベールを脱ぎ、「THE SHOW FASHION」と題したムービーでファーストコレクションを発表した。
(文・辻 富由子)
「AZ Factory」は、エルバスの名前の最初(A)と最後の文字(Z)を組み合わせたネーミングだが、エルバス自身を冠デザイナーとするのではなく、ファクトリーまたはラボラトリーとして運営していくという。今回発表されたのも「コレクションでもカプセル(コレクション)でもない。一つのストーリーであり、プロジェクトだ」とエルバスは語る。
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ブランドが目指しているのは、伝統的なクラフトマンシップに先進的なプログラムやテクノロジーを取り入れ、最高のスタイルとサヴォアフェールを生み出していくこと。これはエルバスがファッション界を離れ、世界中を旅していた際にシリコンバレーを訪れ「伝統とテクノロジーは共存できるのではないか」と気づいたことが起点になっている。
今回公開された約25分のTV番組風のムービーでは、エルバス本人がストーリーテラーとなって新作コレクションを紹介する。モノクロ映画風の演出やニュース番組の形式なども取り入れ、遊び心あふれる構成に。中にはアナ・ウィンター(Anna Wintour)やマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)といったファッション業界の重鎮たちが、画面越しにカメオ出演するシーンも。
コレクションの核となったのは「MyBody」と名付けられたドレスのシリーズ。 伸縮性に優れたAnatoKnitというニット素材を取り入れ、XXSから4XLまで、どのようなボディタイプにもフィットするドレスを完成させた。自分で上げ下げできるようにと、バックのジッパーに長いチェーンをあしらったのもエルバスらしい粋なアイデア。
そのほか、なめらかなシルエットとポインテッドトウが、まるでパンプスのようなセクシーさを演出するハイブリッドスニーカー「Pointy Sneaks」も登場。これらのアイテムはブランドの公式サイトのほか、ECサイトのFarfetchやNet-a-porrterにて限定展開中だ。
エルバスは「あなたが自分らしくいられて、自分自身を愛せるように、我々はあなたのそばにいる」と語り、最後には「アイ・ラブ・ユー!!」と絶叫。デジタルというプラットフォームにおいて、 あえて「Like(いいね)」ではなく、「Love」の大切さを訴えた「AZ Factory」。新たな服作りのアプローチに注目を。
文・辻 富由子
セントラル・セント・マーティンズ出身。モード誌の編集者、通信社のニュース記者を経て、フリーランスのファッションエディター/ライターとして独立。ファッション以外では、現代アートやフィギュアスケートについての記事執筆もこなす。
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