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アークテリクス成功の秘訣は?ゴアテックスとの関係性を副社長が語る

アークテリクスの副社長兼マーケティング

カール・アーカー氏

Image by: FASHIONSNAP

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アークテリクス成功の秘訣は?ゴアテックスとの関係性を副社長が語る

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カール・アーカー氏

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 ファッションアイテムとしても高い人気を誇るカナダ発のアウトドアブランド「アークテリクス(ARC'TERYX)」。全世界に175店舗を展開しており、10月には国内13店舗目となる直営店「東京 丸の内ブランドストア」をオープンした。ガレージブランドからスタートした同ブランドがアウトドア市場を代表するブランドの一つにまで成長した理由は?開店にあわせて本国のカナダから来日した副社長でブランドマーケティングも担当するカール・アーカー(KARL AAKER)氏にインタビュー。開発ヒストリーやゴアテックス(GORE-TEX)の関係性、今後のアウトドア市場についても話を聞いた。

コロナはアウトドア市場にどのような影響がありましたか?

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 コロナ禍で多くの人が人生を考え直す機会になったと思います。その中で、山をはじめアウトドアで過ごす時間が増えるなど変化がありました。例えば、登山やトレイルランニングをはじめ、ウインタースポーツをする人はかなり増えています。

北米、アジア、ヨーロッパといったエリアごとの違いは?

 文化的な小さな違いが色々とありますが、今大きく感じているポイントはコロナに対する捉え方で、コロナ前のような生活に戻るペースに違いがあります。北米はもう既にかなり自由に動ける状態で、ヨーロッパも今年の夏頃から旅行に行った人が多かった。アジアは今、戻り始めている状態ですよね。戻るペースによってグループアクティビティや旅行への影響が顕著に表れていると感じています。

エリアごとに人気のアクティビティはありますか?

 キャンプなどグループアクティビティは特にアジアでの人気が高く、日本でも支持されていますよね。ヨーロッパはトレイルランニングやスキーをしている人が多いです。北米はどれかというよりは色々と満遍なくというイメージですね。

 また、これまでは週末にアウトドアの何かをするという人が多かったんですが、日常の中で時間を見つけてアウトドアで過ごす時間を増やしている人が多くなったように思います。その影響もあって、境界線が曖昧になっていて、登山をするために麓までは自転車で行ってサイクリングとトレイルランニングの両方を楽しむといった人も目立ってきています。

今年に入ってから、二子玉川ライズS.C.店、京都店原宿店など日本では直営店出店を加速していますが、他に力を入れている国はありますか?

 日本だけでなく、他のエリアでも同じくらいのペースで店舗出店を進めています。各国でコミュニティを育てるという目的もありますし、お店を増やすことでブランドについてもっと知っていただき、手に取ってもらえる機会を増やしたいと考えています。

現在一部モデルは買い占めが起き、転売による価格高騰も起きています。

 ブランドとして解決すべき問題の一つです。我々が求めるサービスモデルとして、お店に行っても物が買えないという状況は理想的ではないので、まだ詳細はお話できませんが出来るだけ早く解決できるよう様々な取り組みを始めています。

コロナが落ち着き始めた状況ですが、アウトドア人気はこれからも続いていくと考えていますか?

 何が起きるか分からない不透明な時代ではありますが、アウトドア人気はこれからも続いていくでしょう。アウトドアでのアクティビティに文化的な価値やメリットを本当に多くの人が感じていますし、その中で我々が業界を牽引していく必要があると考えています。

新しくアウトドア市場に参入する企業も増えてきましたが、他社とどのように差別化していく?

 約33年のブランドの歴史で取り組んできたことは、登山をする人たちが実際に直面している問題を技術的にどうやって解決するかです。その精神でモノづくりを続けてきて結果も出ているので、これまでと変わらず新たに出てくる問題を解決していくという姿勢を崩さなければ、今後もこの業界で確立したポジションを保っていけると考えています。作り得る製品の中でベストクオリティのものを作り続ける、これに尽きますね。

アークテリクスはアウトドアブランドの中でも特にファッションシーンでの人気が高いですが、デザインで意識していることは?

 「一番過酷な状況で使えること」です。一番過酷な状況で使える仕様でモノづくりを行うと、どんなシーンでも着用することができます。そして、アウトドアブランドでは珍しいことだと思いますが、ポケットの位置や縫い目の見え方について何年もかけて微調整を繰り返すなど、デザイナーは細部へのこだわりがとても強いんです。

アウトドアブランドでは珍しくデザインチームに新しいカラーを開発するための色彩デザイン部門“カラーチーム”を設けていることも特徴だと思います。

 登山用のウェアには、安全のために視認性を上げる大胆な色合いの明るいカラーを使用するというのが一般的でした。しかし、今は色の使い方に安全性以外の需要も増えていて、季節の色などコンセプトのあるカラー使いが求められるようになりました。カラーチームのオフィスには、特別なライトを備えた大きなスペースを用意していて、様々な環境での色の見え方を検証することができます。色に対する拘りはアウトドアブランドの中では秀でたものがあると自負しています。

他のアウトドアブランドは防水素材において独自素材など、ゴアテックス以外の素材を用いるブランドが増えてきていますが、アークテリクスは変わらずゴアテックスを使用していますね。

 アークテリクスは登山用のハーネスから始まったブランドですが、創業者が登山用のアパレルを作り始めた段階で最初に見つけた主要なパートナーがゴアテックスで、今も一緒に開発に取り組んでいます。登山一つをとっても、全ての環境で快適に過ごせる素材というのは存在しません。故に研究開発に終わりがくることはありませんが、人々が直面する課題を解決するためにゴアテックスとはこれからも一緒に歩んでいきたいと考えています。

近年はガレージブランドも増えてきていますが、ガレージブランドが成功する秘訣は何ですか?

 成功の秘訣と言えるかはわかりませんが、アークテリクスは元々市場にあるものではなく、何か問題を解決できるもっと良い物を作りたいという精神でスタートしました。最初に作ったものがハーネスで、ハーネスの技術を応用してウエストベルトを製作しました。そして、ウエストベルトから試行錯誤を重ねてバックパックが生まれ、その後スキージャケットを開発して、ジャケット作りで学んだことからフットウェアや手袋など様々なものを作れるようになったわけです。最初から上手くいくわけないので、着心地が悪いだとか、使い勝手が悪いという箇所を見つけたら、理由を考えて問題を解決する。その積み重ねにより、アークテリクスは信用されるブランドになれたんだと思います。

アークテリクスの開発の歴史。1992年にハーネスを開発し、1998年にゴアテックス素材を使用したジャケット「ALPHA SV JACKET」を発売している。

最後にブランドの今後の目標を教えてください。

 山で過ごす時間は価値観を変え得る変革的な体験だと思っているので、自社のプロダクトやイベント、培ったナレッジを通じて、そういった体験を何世代にもわたり、提供していきたいですし、それが我々がビジネスをする理由だと思っています。また、高品質の製品を作り続けるだけでなく、環境やそれに関わる人たちも守っていく必要があるとも考えています。つまり、やるべきこは本当に多岐にわたるということです(笑)。

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