(左から)ポンダラー、クリストフ ルンフ、クロエ・ナルダン、ヴィテッリ
新しいファッションの創造は、ランウェイだけで起こっているわけではない。2023年秋冬パリメンズコレクションウィーク期間中に出会った、次の時代を担うアップカミングなブランドを展示会の様子とあわせて紹介。第1弾となる今回は「クリストフルンフ(Christoph Rumph)」「ポンダラー(PONDER.ER)」「ヴィテッリ(Vitelli)」「クロエ・ナルダン(Chloé Nardin)」をフィーチャーする。
クリストフ ルンフ
ADVERTISING
2019年の第34回「イエール国際フェスティバル」でグランプリに輝いた、オーストリア出身のクリストフ・ルンフが、2021年に立ち上げたブランド。民族柄や金色のエンブロイダリー、色選びなど、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」にも通ずるロマンティシズムと色気を醸し出しながら、独創的なファンタジーを描き出す。クラシックな素材には、エッジの効いたカッティングパターンで、コンテンポラリーな遊び心をプラス。蚤の市で購入したカーペットやスカーフ、ファーコートを解体し、シャツやハットへと生まれ変わらせるアップサイクル意識も見逃せない。
公式インスタグラム
クロエ・ナルダン
デザインの勉強と並行して、ファッションモデルとしてのキャリアを歩んできたクロエ・ナルダン。セントラル・セントマーチンズを卒業し、2021年にロンドンを拠点とするブランドを立ち上げた。フランス郊外で生まれ育ったクロエは、「パリジャン シック」を独自のアプローチで解釈。ウサギのブランドロゴやクマの総柄パジャマセットアップ、デニムのチュニックやスカートなど、童心に返ったようなキュートなデザインと遊び心で繊細な男性像を表現する。軽い素材のトラックジャケットや身体のラインを拾わないボックスシルエットのシャツなど、ベーシックなアイテムにもブランドの美学が感じとれる。
公式インスタグラム
ポンダラー
アレックス・ポー(Alex Po)とデレク・チェン(Derek Cheng)のデュオによって2019年にスタート。2人はロンドンのセントラル・セントマーチンズで学び、現在は香港を拠点としている。繊細な素材使いや身体に沿ったタイトなフィッティングなど、ジェンダーのステレオタイプに挑戦。クラシックなアイテムはジェンダーフルイドなデザインで解体・再解釈し、性別にとらわれないソフトなエレガンスを提案する。鮮やかなピンクカラーが目を引く2023年秋冬コレクションでは、ブランドのシグネチャーであるスモッキングが多数採用。コレクションの中核をなすデニムは、ウォッシュやほつれ加が施され、リヨセル繊維やサステナビリティに注力する中国の工場など、環境に配慮して生産される。
公式インスタグラム
ヴィテッリ
「ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)」などで経験を詰んだマウロ・シミオナート(Mauro Simionato)によって、2016年にミラノで創業。新しい生地は使用せず、100%アップサイクルにこだわっている。主に北イタリアからデッドストックの生地や糸を集め、ニードルパンチや古い機械で加工するオリジナルのニットテキスタイルが特徴。染色は行わないため、糸そのものの色が製品にあらわれる。ヒッピー・トレイル(=1960~1970年代にヒッピーたちがヨーロッパから南アジアへ陸路で移動した旅やそのルート)や1970~1980年代のイタロ・ハウス(=ハウスとイタロ・ディスコを組み合わせたハウス・ミュージック)のバイブスを取り込んだユニークなデザインも魅力だ。今シーズンからはデニムのアップサイクルも手がけ、本来は廃棄されるはずだったカラーテスト用のマークがデザインとして活かされている。
公式インスタグラム
ADVERTISING
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境