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【連載】若き写真家の肖像 -佐藤麻優子-

佐藤麻優子

Mottonamete (2019)

Image by: Mayuko Sato

佐藤麻優子

Mottonamete (2019)

Image by: Mayuko Sato

【連載】若き写真家の肖像 -佐藤麻優子-

佐藤麻優子

Mottonamete (2019)

Image by: Mayuko Sato

ー人物写真が多い理由は?

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 人間はいびつで、掴みきれないから興味があるんだと思います。大人数の中で即座に関係性をつくることはあまり得意ではないですが、お互いの価値観や考え、好きなものについて話したり、人を知るということはとても好きです。パーソナルな関係性を写したほうが良い場合のときは、できるだけ少人数、もしくは可能であれば1対1の環境をつくってもらうようにしています。

ーセルフポートレートを撮る理由は?

 自分の男女観はねじれてしまっているところがあるので、人に消費されるくらいなら自分のことは自分で好きなように消費してやる、というような感覚があるからです。本当は別に消費ではないのですが(笑)。撮り始めたきっかけは、はじめての個展のときに撮りたかった写真に、パンツ一丁になるシチュエーションがあったんですが(「まだ若い身体です」2017年)、それを頼める友人がいなかったのと、テーマ的に自分を被写体にしたほうが良いと思ったからで。最初はセルフポートレートを撮ることで「"女性写真家"はセルフポートレートを撮る」という風に、女性性として括られるのが怖くて抵抗がありました。でも最近は自分が女性性であることをやっと受け入れられるようになってきて、「セルフポートレートを撮りたいときは撮るしそれは自分にとって必要なこと、わたしは女だ、まだぎりぎり若い、だからなんだ」というような気持ちになって、抵抗なく撮れるようになりました。

ーセルフポートレートには自虐的な意味合いも?

 これまでの社会の男女観で育ってきた家庭環境の影響もあって、価値観がねじれてしまっているところはあると思います。でも自虐という感覚は全く無いです。私は個人的な感情や感覚をそのまま切り撮った写真を人に観てもらうのは抵抗があって、自分から感情は切り離しています。演劇をつくるように、デフォルメやフェイクも含む演出とカメラというフィルターを通して表現したいんです。自分からも人からも少し距離があり、笑えるのか怖いのか、なにがしかの鑑賞物にすることを試みているというか。いずれにしても自己承認欲求はすごくあると思います(笑)。

まだ若い身体です (2016)

無題 (2017)



ー良い写真の定義とは?

 自分の場合は、どれだけ正直に嘘をつかず撮れているか、のような気がします。何かしらの誠実さがあるときの写真は、そうでないときに撮った写真に比べて、確実にエネルギーを感じますし、それが人にも伝わる。美術館に行って、作家のことを何も知らなかったとしても作品に対面しただけでなにか圧倒されてしまうことがあるように、自分の写真にも自分なりのやり方でそういった念のようなものを写すことができれば、と思っています。

ー人生のモットーは?

 人生なるべく何事も1回は経験してみたいと思っています。楽しめないかもという予感があっても、好奇心が勝つ場合は可能な限り食わず嫌いをしないようにしています。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという言葉がありますが、それでいうと完全に愚者。 触れたことがないものを知った気になるのは怖いですし、つまらなくて耐えられないです。

ー写真で生計を立てる難しさはあると思いますが。

 そうですね。作家として活動するにも写真集を売るか、プリントを売るかしないのが現状ですが、日本では作品を買うという文化はあまり無いので、近い将来は海外でも活動したいと考えています。

ー昨今は動画の需要が高まっています。

 実は少しですがやっています。動画を撮り、画面内で再撮影をする感覚でスクリーンショットを撮り紙面にし、その動画で告知動画をつくったり。実際に撮るかはわからないですけれど、いつか映画も撮ってみたいです。

 あと最近は高額なカメラだと撮影した動画を大広告としても使えるサイズの解像度で出せるようになってきているので、写真の定義の議論はあると思いますが、個人的には写真表現の幅が広くなりとても面白いなと思っています。そう遠くない将来、商業写真は一部のキャンペーンなど以外は、ロボット(AI)が撮って、必要とされる撮影者は減るのではないか。だからこそ商業写真でもエネルギーのある写真を撮れるかどうかがより重要になってくるのではないかと考えています。

ー今年の予定は?

 写真集を出す予定はあるんですが、全然進められていないので集中して取り組みたいです。撮影の仕事もどんどん増やして成長していきたい。やりたいことは他にもたくさんあります。2021年の6月後半から3人で展示会をやる予定なので、その準備もしています。

ー将来の目標は?

 木村伊兵衛写真賞が欲しいです。海外でも仕事ができるようになりたい、いつかはプリント売って暮らせるようになりたい、と言葉にすると逃げられない感じがして、いいですね(笑)。

夜用 (2016年)

生きる女 (2018)

Mayuko Sato(佐藤 麻優子)
1993年3月7日 東京生まれ、埼玉県育ち。専門学校 桑沢デザイン研究所中退。
第14回写真「1_WALL」グランプリ
個展「ようかいよくまみれ」開催
代官山フォトフェア2017に参加
個展「生きる女」開催
QUIET NOISE arts and break、flotsam booksによるグループ展dix vol.3に参加
個展「繋がってください」開催
個展「私達1」開催
オフィシャルサイト

= Self-Portrait For FASHIONSNAP =

佐藤麻優子

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