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【連載ふくびと】第5話 演出家 若槻善雄——生のギャルソンの衝撃

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【連載ふくびと】第5話 演出家 若槻善雄——生のギャルソンの衝撃

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第4話からつづく——

 学生時代にローンを組んで買っていた「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」と、若槻善雄が初めて仕事で関わるようになったのは1989年。以来、30年以上にわたりショーを舞台裏で支えている。トップデザイナーだけではなく、高橋盾や丸山敬太、福薗英貴といった当時まだ駆け出しの若手デザイナーたちとも芝浦のクラブ「GOLD」などを通じて出会い、90年代の東京ファッションの一端を形成していく。——演出家 若槻善雄の半生を振り返る、連載「ふくびと」第5話。

・ギャルソンと関わって30年

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 演出家の四方義朗さんのアシスタントだった頃、初めて「コム デ ギャルソン」のショーを生で見ました。確か場所は代々木の特設テントで、なんとか手に入れたチケットを持って、観客として。それはもう感動しました。僕は、かの有名な1982年のギャルソンとヨウジヤマモトの「黒の衝撃」を学生の頃に雑誌などで見ていたし、「コム デ ギャルソン・オム」を頑張って分割払いで買っていた、いちファンだったので。

 ギャルソンのパリコレに仕事として初めて関わったのもアシスタント時代。1989年頃、「LOVE」がテーマのコレクションだったと思います。まず青山にあるギャルソンのオフィスで、デザイナーの川久保玲さん、四方さん、そして照明の方を含めて打ち合わせをするんですが、その場にいるだけでド緊張。初めてスタッフの一人として携わったギャルソンのランウェイは目に焼き付いていて、ランウェイに登場したフェルトのボンディングのジャケットやスカートなどを、今でも覚えています。

 それから毎シーズン関わるようになり、パリだけではなく1991年にコム デ ギャルソンとヨウジヤマモトが都内で開催したメンズの合同ショー「6.1 THE MEN」の時も裏方にいました。あの時は俳優のデニス・ホッパーをモデルに起用したり、かなり話題になったと思います。打ち上げではデニス・ホッパーをクラブ「GOLD」で案内したり。とても盛り上がりました。

 僕が四方さんの会社を離れた年、1994年3月の1シーズンだけは担当から抜けましたが、翌4月にギャルソンが羽田でメンズとウィメンズの合同ショーを開催する時に、舞台裏の仕切りを担当することになりました。その次のシーズンから、僕がパリコレの演出をさせてもらうようになり現在に至るので、アシスタント時代を含めるとギャルソンの仕事は30年以上。自分が担当するようになって25年と、長くお手伝いさせてもらっています。

 2001年に、川久保さんが招聘されたベルギー・アントワープでのショーも担当しました。アントワープ王立芸術アカデミーの学長だったリンダ・ロッパ(Linda Loppa)が中心となって開催された「Mode 2001 Landed-Geland」というイベントで、仕掛け人のウォルター ヴァン ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)のキュレートで"世界を作ったデザイナー"として選ばれたのが、ココ・シャネルと川久保さん。半年のイベント期間中に計6回、アントワープ市内でギャルソンのショーを開催することになったんです。

 コレクションルック自体は同じですが、ルーベンス美術館、植物園、公民館、教会、学校と、毎回場所を変えて演出も変える。1回目のショーのフロントローにはウォルターをはじめ、アン・ドゥムルメステール、ダーク・ヴァン・セーヌ、ダーク・ビッケンバーグ、ドリス・ヴァン・ノッテン、マリナ・イーのいわゆる「アントワープ6」当人達がずらり。今思うととんでもないメンツが揃っていました。それを月一で開催するので、毎月末に4泊6日で現地に通う過密スケジュール。

 ショーは毎回、アントワープ王立芸術アカデミーに通っていた日本人の学生たちに手伝ってもらっていたんですが、その中の一人が福薗英貴。そして、その同級生だったのが三木勘也。彼らがそれぞれ日本に帰ってきて、ショーをやりたいという時にはまだ新人デザイナーだったけど、二つ返事で演出をやりました。

福薗英貴——2002年にアントワープ王立芸術学院を卒業。帰国後メンズブランド「ウェアラバウツ(WHEREABOUTS)」を立ち上げ、その後「タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)」や「スミス アンド ハーディー(Smith & Hardy)」など複数のブランドのディレクターを手掛けた。2017年から「ウィーウィル(WEWILL)」を展開。

三木勘也——2002年にアントワープ王立芸術学院を卒業後、WALTER VAN BEIRENDONCKに師事。パリで「JOHN GALLIANO」のデザインアシスタントを経験後、メンズブランド「KOSMETIQUE LABEL」を立ち上げた。帰国後、レザーブランド「EKAM」を始動。2017年から「アール エー ビー ディー(RABD)」を展開。

ショー会場でモデルに指示をする若槻善雄

ISSEY MIYAKE メンズコレクションのパリコレ舞台裏でモデルに指示をする若槻善雄

・アンダーカバー高橋盾との出会い

 いつの間にか、会社の中で自分が一番の古株になっていました。バブルが弾けて会社の売り上げも落ちていた頃で、後輩たちの要求を社長に伝える立場が僕だけだったり、かなりうるさく言ったこともあったと思います。もうそろそろ独立していいじゃないの? と四方さんも背中を押してくれたので、10年働いたサル・インターナショナルを辞めました。

 フリーになったものの、仕事がない。仕事がないと食べていけない。喉から手が出るほどお金が欲しかった頃、芝浦のクラブ「ゴールド(GOLD)」の佐藤俊博社長に「暇しているんだったら、うちの企画を手伝わない?」と声を掛けてもらった時は、「やります!」と即答でした。頼まれたのはリニューアルイベントの企画で「ジャングルをテーマに面白いことをやってくれない?」と。それで、ジャングルといえばゾウでしょう! と考えて、本物のゾウをエントランスに入れたんです。

GOLDのエントランスに入れた象

 結構話題になって、東京の面白いヤツが集まるようになりました。GOLDのファッションイベントに学校を卒業したばかりの丸山敬太(現「ケイタマルヤマ」デザイナー)が参加していて、その繋がりでショーを手伝うようになったり。

GOLD——1989年に港区海岸の倉庫を改装してオープンした7階建ての大型ディスコクラブ。当時最先端のクラブシーンをリードしていた。1995年に閉店。

 「アンダーカバー(UNDERCOVER)」の高橋盾くんに初めて会ったのもGOLD。よく遊んでいた藤井フミヤから「彼が来週ショーをやるらしいんだけど、演出家がいないみたいだからやってくれない?」と紹介されたのが最初でした。その場で簡単な返事はしたんだけど、クラブの中でお酒も結構入っていたし、後で高橋くんに聞いたら僕のことを軽い人だと思って「本当にできるのか」って疑っていたらしい(笑)。でも週明けにはちゃんと連絡を取って、演出を手掛けることになりました。それが1995年、アンダーカバー3回目の東京コレクションの時。以来、東京もパリも一緒にやらせてもらっています。——第6話につづく

アンダーカバー1997-98年秋冬 東京コレクション Image by UNDERCOVER

第6話は3月5日に公開します。

文:小湊千恵美
企画・制作:FASHIONSNAP

【連載ふくびと】演出家 若槻善雄 全7話
第1話―寺に生まれ東京へ、道を開いた1本のビデオ
第2話―ブッ飛んだディスコ 金ツバ通い
第3話―憧れの師匠のもとで
第4話―来るはずの電車が...地下鉄のショー
第5話―生のギャルソンの衝撃
第6話―マルタン・マルジェラの素顔
第7話―ショーができなくなった時

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