ヨウヘイオオノ 2023年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP
「ヨウヘイオオノ(YOHEI OHNO)」の2017年10月以来約5年ぶりとなるフィジカルショーの会場となったのは、上野にある国立科学博物館。恐竜の骨格標本などが展示される空間で、ブランド最大の特徴であり、大野陽平の研究対象でもあるフォルムの追求は"切れ味"を見せた。
関係者に送付されたインビテーションに記載されたキーワード「空間と時間」は、場所や時間に限定されず造形のヒントとなる多種多様なものを着想源とした今シーズンのヨウヘイオオノを象徴する言葉。タコウインナーから宇宙まで、着想源となったものは様々だ。
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「場所や時間に関係なく、色々な要素を寄せ集め、それが最終的にどんなフォルムになるのかを追求した。その集めるものの振れ幅が大きければ大きいほど、クリエイションは面白くなる」(大野陽平)
ヨウヘイオオノ 2023年春夏コレクション
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西洋服装史を想起させる大ぶりな襟を採用したコートをはじめ、タコウィンナーから着想したという角が裾にあしらわれたシースルートップス、宇宙をイメージした十字のカッティングディテール、椎骨を意味する英単語「vertebra」と骨のイラストがプリントされたカットソー、スカートの裾をドレープさせてタスキのように肩から背負う僧侶をイメージしたスーツスタイル、甲冑のように連なったディテールが特徴的なパンツなど、多種多様なものから造形のヒントを得たアイテムが披露された。タコウインナーから着想を得たディテールについては、反り具合にこだわり何度も試行錯誤したという。「素材や繊維を探求するデザイナーもいれば、僕にように裾の反り具合1つに固執するデザイナーもいる。それがファッションのおもしろさだと思う」と述べている。
点在する着想源から生まれたデザインにまとまりを与えたくなるのはファッションブランドの性であろうが、大野はフォルムの追求のため、そして前に進むために放棄する。それは「明白なアイデアやコンセプトを作ることよりも、今まで地道に積み上げてきた造形に対する美学やフェティッシュをいかにして創作の中に投影させるか、自分自身がどこまでそれに熱狂できるか、といったことが自分にとっては1番正直な創作に感じた」という同氏の言葉にあるように、表現というものは創作者の感動体験からしか生まれないという純粋かつ本質的な考えからなのだろう。「クリエイションとは何か」「人はどうして誰かに何かを伝えたいと思うのか」といった思考の先に出した答えが、表現とは創作者の熱狂、感動の積み上げが何より大事で、それをファッションデザインでうまく表現できさえすれば熱狂は伝播すると。まとめ上げることで生まれる”分かりやすさ”など必要ないと言わんばかりに。
ヨウヘイオオノ 2023年春夏コレクション
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ショーを終えて大野は、「5年ぶりにショーをやってその魅力を再認識した。すでにまたやりたいと思っている」とコメント。また、以前から構想しているという蝶のホログラムを大量に飛ばした演出にも挑戦したいと意欲を見せた。
ヨウヘイオオノ 2023年春夏コレクション
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