FASHIONSNAPの新春恒例企画、経営展望を聞く「トップに聞く 2023」。本年は、アフターコロナにシフトする中で各企業に求められている「イノベーション」をテーマにお送りする。
第17回は、東レの三木憲一郎 繊維事業本部長兼常務執行役員。同社はコロナやウクライナ侵攻などさまざま影響から、繊維商品において1年間で4度の価格改定を実施。繊維産業全体で見ても地方の工場では倒産や廃業が相次ぐなど暗いニュースが続いているが、同氏は「日本の繊維業はまだ伸びていく」と言葉に力を込める。その言葉の裏には職人が持つ技術力への信頼と、日本の繊維メーカー最大手としての矜持があった。
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■三木憲一郎(東レ繊維事業本部長兼常務執行役員)
1959年兵庫県神戸市生まれ。1982年に慶應義塾大学法学部を卒業後、東レに入社。東レの中国拠点の一つである東麗(中国)投資有限公司董事兼東麗合成繊維(南通)有限公司 董事や、短繊維事業部長、長繊維事業部長、産業資材・衣料素材事業部門長、テキスタイル事業部門長を経て、2016年6月に取締役に昇格。2018年6月に東レインターナショナル代表取締役社長に着任。2020年6月から現職。
2022年は「激」の一年 4度の価格改定も
―昨年を振り返ってみてどんな一言で表せますか?
漢字一文字で表すなら「激」だと思っています。コロナは多少落ち着いて、ウィズコロナではあったけれども元の状態に戻っていこうとするという中でいろいろな事象が起きて、普通であればもう少し揺れ幅が狭かったのではないかということが大きく動いた。一つの例で言えば、ロシアのウクライナ侵攻によって欧州でのガス価格が1、2年前と比較すると10倍ほどになった。今までであれば2、3倍ということはあったけれども、10〜15倍という変化が瞬時に起きるようなことはありえなかった。物流コストも3倍の幅で揺れましたから。原料価格にしても上がり方がかなり激しい。今頃になってやっと落ち着き出した動きが見えてきたけれども。
―三木さんが40年にわたり東レに在籍してきた中でも、特に激しい変化だった。
そうですね。一番動きの激しい年でした。
―繊維の値上げも度々実施されました。
一昨年の12月から数えると、繊維だけで4回発表しています。自助努力はするけれども、それを超えるような激しい動きでした。顧客に丁寧に説明しながらお願いしていくしかない。そうしないと今度は我々が供給できないということになってくるので。
■主な価格改定発表の動き(年月は発表時期)
<2021年12月>
対象:ナイロン6(長繊維)、ナイロン66(長繊維)、ナイロンBCF糸(長繊維)、ポリエステル糸(長繊維)・綿(短繊維)、ポリエステル長繊維不織布
値上げ幅:1kgあたり20~50円
<2022年3月>
対象:ナイロン6糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロン66糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロンBCF糸(長繊維)、ポリエステル糸(長繊維)・綿(短繊維)、アクリル綿(短繊維)、ポリエステル長繊維不織布
値上げ幅:1kgあたり40~100円
<2022年7月>
対象:ナイロン6糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロン66糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロンBCF糸(長繊維)、ポリエステル糸(長繊維)・綿(短繊維)、アクリル綿(短繊維)、ポリエステル長繊維不織布
値上げ幅:1kgあたり20〜80円
<2022年10月>
対象:ナイロン6糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロン66糸(長繊維)・綿(短繊維)、ナイロンBCF糸(長繊維)、ポリエステル糸(長繊維)・綿(短繊維)、アクリル綿(短繊維)、ポリエステル長繊維不織布
値上げ幅:1kgあたり30〜50円
【備考1】テキスタイルに関しても値上げを行っている。
2022年1月出荷分〜 従来比7~15%の値上げ(アパレル入り価格)
2022年5月出荷分〜 従来比10~20%の値上げ(アパレル入り価格)
【備考2】自動車エアバッグ用ナイロン66原糸および基布に関しても、2022年9月に最大35%の値上げを実施した。
―厳しい一年だったことがうかがえます。
正直言ってまだ続いていますよ。新しい話だと、今年の秋冬の最終の値決めがありますけど、ここでもあらゆるコストを織り込んでいかなくてはならない。我々の商品は北陸で作っているものが多いのですが、北陸電力が電気代を値上げすることが報道されました。電気代が上がることで、各工場や機屋さん、ニッターさんにどのような影響があるのかを分析した上で値決めをして、取引先に丁寧に説明をしていきます。
「日本の繊維業はまだ伸びていく」
―値上げは品質を担保するためにも必要な判断だった。
当然ながら原油価格や用役費の影響で値上げを余儀なくされていますが、それはもう東レだけではなく業界全体で同じ状況。コストがかかった分、価格転嫁していくものだが、それは最終的に自分たちの将来の商売にも影響してきます。繊維業というのは産地のみなさんとよく話をしながら差別化をしていって、それが世界で戦える、他には開発できない商品になっていくのでね。産地に発想力や技術力がある間は、日本の繊維業はまだ伸びていくと思っている。そういう点をしっかりご説明している。価格転嫁だけが強調されてしまうと自分たちの利益だけ積み上げているのではと思われるが、実際の気持ちとしては、将来の日本の繊維産業をきちんと継続して、世界での確固たる地位を継続していかなくてはいけないという発想のもとで動いている。そこは伝えたいですね。厳しく言うと、それをしないと将来がないということです。
―メイドインジャパンはやはり強みだと感じますか?
はい。「ミラノ・ウニカ(Milano Unica」や「プルミエール・ヴィジョン・パリ(Premier Vision Paris)」などの欧州の展示会に参加したときに見た「新しいもの」は、日本発というのが結構ある。機械で作れるものは誰にでも作れるが、経験や知識、技術は機械では作れない。将来的にAIがもっと発展して学習するようになったらそういった開発もできるようになるかもしれないけれども、メイドインジャパンの商品には今まで考えられないような技術がある、そういう面で重要性がすごくあると思っていますよ。
―中国、台湾などがテキスタイル市場で力をつけていますが、技術力は今も日本が他の国よりも頭一つ抜けている?
そう思います。中国、台湾、韓国のメーカーは似たようなものを安く大量に作ることができても、新しいものは出てこない。新しいものというのは過去の経験から積み上げられた独自の技術力があるからこそ生まれるものであって。そういう部分を僕らは評価しているし、大切にしないといけないと思っている。簡単に作れる新しいものは、コピーも簡単ですから。そういうものには価値がない。綺麗事を言うなと思う人もいるかもしれないが、取引先のお客様も日本の技術力をベースにして世界に打って出ることができているとも思うのでね。
―北陸の産地の技術力が重要になりますね。
北陸の産地の重要性は皆さんよくわかっていると思う。どのお客様も今は世界を見ているので、世界に対抗しようと思うと、そういったところで他ではできないことをきちんと表現して差別化していかないといけない。作るところがなくなったらどうしようもないし、競争力が落ちることなりますから。
変化の時が一番のチャンス
―近年は環境配慮型素材などの素材開発に注力しています。
欧州を中心にサステナビリティの重要性が高まっていますから、それに対して具体的に動いていけるように準備を進めています。だいぶ花が咲いて広がり、次への体制が整ってきたというのが2022年だった気がしますね。「アンドプラス(&+®)※」という商品で言えば、2020年に商売が始まっていますが、アンドプラスの思想に共感できるメンバーで商流を一歩ずつ作っていって、2022年である程度の売り上げを出すことができたので、2023年は加速させていきたいです。
※アンドプラス:使用済みペットボトルを原料としたリサイクル繊維。
―サステナ系の素材はやはり需要がありますか?
あります。ただしサステナだから、というだけではなく、東レならではの価値を加えることが必要です。例えば「ペットボトル」という一つの切り口だけでも世界中に素材はあります。その中で、東レのペットボトルリサイクルはどういう思想で取り組んでいるのかを商品に落とし込み、しっかり訴求することが重要と考えています。
―ナノサイズで繊維をデザインする「ナノデザイン(NANODESIGN®)※」も注目を集めています。
ナノデザインも今までは開発が中心でしたが、昨年の1年間で供給を安定させる生産体制が整いましたし、取引先との新しい取り組みも始まりました。量産として実際に市場に出るものも増えてきましたし、片側ではもっと高度なものの開発が進んできている、というのが今のナノデザインの立ち位置です。
※ナノデザイン:東レが開発した複合紡糸技術。繊維の細さや形をナノレベルでコントロールすることで今まで不可能だった機能や質感を備えることを可能にした。
ナノデザインで和紙のような風合いと機能性を実現したテキスタイル「カミフ(Camifu)」
繊維の断面の一例。
Image by: 東レ
―コロナを経て繊維業界全体の変化についてどのようなことを感じていますか?
「持続性」への意識は、コロナ禍で強まった部分があると感じています。環境の持続性に関しては、先行して動いていた「パタゴニア(Patagonia)」といった欧米のカジュアル系企業もさらに取り組みを加速させていますし、日本企業も「これが繊維メーカーとしての自分たちの使命だ」と意識が変わってきたのではないかと思います。
―東レは環境配慮型素材の開発に数年前から取り組んでいます。まさにやりがいを感じる領域では?
変化している時が僕らにとって一番のチャンスです。我々の持っている技術力をその変化に対していかに対応させていくかを考え、お客様に提案していく。それがお客様のカスタマーサクセスに繋がっていきますし、それを目指していきます。
―コロナは悪い側面だけではなかった?
そうですね。繊維業界にとっても一つの大きな時代の変化になったのではないかと。コロナで物流が止まったことで、サプライチェーンの今後をどう進化させていけばいいかという議論にもなりました。我々は地産地消をずっと進めてきましたから、今後はそれをさらに進化させていきます。
もう一つは、デジタル化ですよね。今までであれば年間10回は海外に行っていたのが、オンライン上でのやり取りが世界的にも浸透し、時間軸を縮めながらやっていきましょうという雰囲気がお客さんとの間でも生まれています。衣料の世界はシーズン毎が勝負なので時間をかけたら乗り遅れてしまいますから、コロナによって良い意味で効率化につながったと思います。今後は重要な案件だけは会って話しましょうという動きがベースになってくるのではないでしょうか。
―コロナ禍で需要が伸びた素材は? たとえば、キュプラの供給困難でポリエステルの需要が高まっているという話も耳にします。
フォーマル衣料が落ち込み、裏地を使わないものが増えているので、トータル量で考えるとキュプラの供給量がポリエステルの方に流れたことはありますが、これも一時的じゃないでしょうか。
―今伸びているのはアウトドア向けの機能性素材ですか?
そうですね。グローバルで伸びていますし、これからも需要は高まると思います。フォーマル衣料が落ち込み、カジュアル衣料が伸びた。それは事実ですが、この先も無条件にそういくのかというのは、市場をよく見ておかないといけない。世界の需要動向を見ていると、欧米はインフレになりすぎていて需要の不透明性が色濃くなっています。需要動向は右肩上がりに伸びていくけれども、伸び率の傾斜がなだらかになるのではないかというのが2023年の僕らの見通しです。
ユニクロとの「進化」とその先
―「ユニクロ(UNIQLO)」とは2000年から20年以上協業しています。
ユニクロさんとは機能性の優れたユニークな価値のある物づくり、グローバルな生産拠点の構築、ENDtoENDの合理的・有機的なサプライチェーンの深化、ライフウェアとしての商品価値の高度化、グローバルなブランド訴求を一緒にやってきた歴史があります。ヒートテックだけでなく、ウルトラライトダウンや感動パンツといった新しい取り組みも進めていますし、ナノデザインなどの技術力も駆使してライフウェアとして何が作れるのかといった検討も進めています。商品を進化させることによって、ライフウェアとしてのユニクロさんの商品価値向上に貢献できているのではないかと思っています。
コラボでもヒートテックを使った商品も
「UNIQLO and MARNI」2022年ウィンターコレクション
Image by: FASHIONSNAP
「Uniqlo and Mame Kurogouchi」2022年秋冬コレクション
Image by: FASHIONSNAP
―いま現在はどのようなフェーズにいると考えていますか?
繊維本部は、繊維製品を通じて新たな価値を提供し、世界の人を豊かにすることを事業方針としていきます。サステナブルな領域における協業のウエイトは高まってきていると思います。
―両社のこれからの「進化」に期待する声も多いと思います。
ユニクロさんがもっと強くなれるよう、僕らもこれからもしっかりと協働体制を整えていきます。強靭なサプライチェーンが重要であることは、コロナでみな実感したはずです。ロックダウンなどは完全に想定外でしたが、コロナ禍でユニクロの供給が足りないということは起きていないと思います。これは情報共有と意思疎通を徹底していたからこそで、問題を起こさずにやって来れたのも一つの進化だったと思います。外の話では、中国でモノが作れなくなったから急遽ベトナムで作ったり、それに付随する納期や物流、品質の問題などがいろいろ起きたと聞いています。そういうことが全くなかったというのが、デジタルを活用しながらしっかりと連携ができているという進化じゃないかなと思います。トップ同士の信頼関係がないとなかなか難しいですよね。
―ユニクロ側が求めるレベルもかなり高いのでは。
そうですね(笑)。我々もきちんとしたパートナーシップの中で、自分たちの明確な考え方をユニクロさんにはお伝えしてます。そういった意味ではトップ同士の信頼関係を持って、昨年より今年、今年より来年ということを、あらゆることを世の中の動きや変化とともに進化させていく。それによって更なる需要拡大に向けていく。量を拡大することも一つありますが、世の中の人に新しい価値を提供していくというのが一つのポイントになると思います。
AIが職人の技術を上回ることは「ない」
―2023年はどんな一年になりそうですか?
行動制限がなくなり人々が動き出すということで、出かける機会が増えると衣料関係も動いてくるだろうし、アウトドア以外にカジュアル衣料も動いてくると思います。そういった需要にしっかり応えていくことが僕らの使命だと思っていて。自動車業界なんかもとても動きが悪かったけれども、復活してくるだろうし。世の中の流れはEV化が進んでいますよね。EV化が進んでいる強いメーカーとの関係を強化していくなど、いろいろチャンスはあると考えています。
中国もゼロコロナ政策を止めて感染者が急増しているけれど、ある程度の集団免疫ができれば経済活動もまた大きくなっていくだろうし。それを見て世界の人も刺激されると思うので、全体的には景気としては動いてくるんじゃないかと期待したい。4月以降、どう動いていくのか楽しみです。
―サステナビリティに関してはいかがでしょうか。
理想としては、様々なニーズに対応できるように、あらゆるメニューを用意していきたいですね。サステナブルな素材のために世界中が動いている中で、いかに東レならではの商品をきちんと提供できるか。縦横で様々な連携をとりながらソリューションを提案できるようにしていきたいですし、困ったら相談される存在になりたい。新しいチャンスを活かすためには技術や体制が必要ですし、適切な判断も必要。それをやっていける土壌が東レにはあると僕は認識しているので、価値も発揮できるんじゃないかと考えています。
―大規模な組織なので人材育成や管理も大変ではないでしょうか。
我々は教育システムをしっかり構築していますし、海外の研修制度も用意しています。マネジメントでは一人ひとりを育てるためのキャリアシートを作り、個々の能力に応じてローテーションさせたりと、いろいろな業務を担当させることで育てていますし、社員一人ひとり個人管理を徹底してやっています。そうしていかないと、同じところでずっとやっていても人はなかなか育たない。一つの道で何十年もやるのも選択肢としてはあってもいいのかもしれませんが、その分野でのプロであっても、繊維全体から見た時どうなんだということがあってね。ただし中途半端な状態ではローテーションさせませんよ。
―若い人材が育ちにくいというのも業界内外で課題としてあると思います。
重要なのは、ここで今働いていてどうしたいのか、どんな夢があるのか、きちんとヒアリングすることだと思います。みんな、自分の将来の姿が描けないといって辞めていきますから。世代によって考え方は違いますし、それを聞いた上で、自己実現につながるようローテーションを組むこともあります。例えば、原糸・原綿を担当していた人がテキスタイルにいき、原糸・原綿の知識を活かしてそこで作った生地がどこかのブランドに使われたとなると大きなやりがいになる、ということもありますから。これは自己満足に近いかもしれませんが、嬉しいものです。僕なんかは若い頃はずっと自動車のシートに使われる生地を担当していましたが、いつも無意識に人の車の中をのぞいているんですね。泥棒じゃないですよ(笑)。それで自分が作った生地が使われた車を見つけるとなんだか嬉しくなる。自己満足なのかもしれないけれど自己実現をしている、世の中に対して価値提供ができている気持ちになるんですよね。
―日本の繊維業界の未来についてはどのように考えていますか。
規模や流通量が拡大するというよりも、付加価値が上がることによって収益が拡大していくということはあると思います。
―国内では繊維関連の工場の倒産や廃業が相次いでいます。
どこでもあるでしょうけど、継承問題は僕らも常に状況を見ながら、極力そうならないような流れを作っていきたいと考えています。そうしないともったいないです、今まで頑張ってくださった工場がなくなっていくのは。
具体的な取り組みで言うと「東レ合繊クラスター※」があります。産地の人との連携をしっかりやっていこうという目的で2004年にスタートして以降、産地の持っている課題に対してできる限りのサポートを行っています。三大合繊全てを国内で生産しているのは我々だけ。国内に立脚したものづくりを中心に考えているので、逆を言えば、それをきちんと具現化してもらうのは産地のみなさん。そういうことを踏まえながら、産地と連動していきたいというのが僕らの考え方です。
※東レ合繊クラスター:日本の繊維産業を守りつつより技術高度化を目指す組織として、2004年に創設。産地の川中企業が下請や委託といった既存の枠組みを超え、それぞれが持つ経営力や技術力を結集し、東レの原糸・原綿、高次加工、テキスタイルの技術部とともに革新的な新商品開発や新用途開拓に取り組んでいる。2023年2月時点で現在約90社が所属。
―冒頭でAIの話がありましたが、AIが発達すると産地の技術が軽視されるという懸念は?
日本の産地が持つ技術力は絶対にAIが実現できるレベルじゃないと思います。何月何日何時何分に何が起きて、どういう処理をしたか。記録に残ればいいですが、それを無意識に対応してアクションをしているというのが職人です。「経験は勉強させたらいい」と言いますが、そういった感覚の部分はなかなか教育できないですよね。
―AIが職人の技術を上回ることは当面ない?
ないと思います。僕らはそういう技術者や職人のノウハウをやはり信頼していますし、プライドもありますよね。こういうものを作りたい、 作って欲しい。そのための工程を徹底的にやります、と。こんな工程を踏んだらべらぼうに高くなると言って海外の工場なら合理的に考えるところを、日本の職人さんはまず物を作って、そこから効率化を図る。海外のようにまず効率化を考えてしまうと、絶対ここまで辿り着けないですよね。そういった発想の違いやものづくりに対する執着心が日本人の強いところではないかなと思っています。そういうところをしっかりと継承することによって、日本の繊維産業がまだまだこれから可能性が大いにある、そう信じています。
(聞き手:伊藤真帆)
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