羽根田卓也
Image by: FASHIONSNAP
仏像と機械式時計、感じるロマン
長かった閉塞の日々が終わり、いよいよ日常が再び動きつつある今、カヌー競技者として、あるいは一個人として羽根田さんの目標について訊ねた。
「これからも自分の役目や使命を探してやっていきたいですね。もちろんカヌーには携わっていくし、それが役目ということは変わりません。いつか競技を終えたとしても、人生を通して自分にしかできないことに挑戦していきたい」
カヌーを通して世界が広がるとともに、自身の興味もより広がっていく。なかでも変わらず深い関心を持っているのが、大好きな歴史とも紐付く日本の伝統文化だ。
「純粋に好きなことに触れたり、没頭できることって本当に幸せですよね。僕は小さい頃から仏像を見たり、向き合っている時間が好きでした」と目を細める。
「仏像や建造物に、歴史的な時間が刻まれていることにロマンを感じます。千年前の人もこの仏像の前で手を合わせ、救われてきたんだろうなとか。世界が目まぐるしく変わって行く中で、静かに変わらずあり続けたかと思うと神秘性を感じますね。必ずしもそれは形ではなくて、精神とか心もそうでしょう。そういった姿や志というのを、少しでも残せるように生きていきたいですね」
そんな長大な時間に憧れる一方、カヌーで競うコンマ数秒の一瞬や、自分だけのリラックスタイムなど、羽根田さんは多彩な時間軸を生きる。その時を刻むのが、日本でのアンバサダーを務めるシャネル「J12」だ。
「傷や衝撃に強い素材が気に入っています。機能美を感じないものはあまり使いたくなくて。一緒に戦ったり、長く過ごしていけるものを身に付けたい。カヌーのパドルもそうですね。共鳴し合い、同じ道を進んでくれるような道具がとても好きです。この時計もそんな相棒のように思います」
ゼンマイと歯車で動く機械式時計、という点にもロマンを感じるという。
「なんだかニクいですよね。素材や技術はどんなに進歩しても、本来大切にしているもの、変えてはいけないものは持ち続けているのだから。どれだけ技術や世界のスピードが変わっても、やっぱり大切なのは志や精神。そういった意味ではJ12も、シャネルの失わない精神が詰まっている時計だと思います」
仏像みたいに? というと「まさにその通り」と笑う。その腕にホワイトカラーの時計がとても似合っている。
「もちろんカヌーで勝ちたいという気持ちはありますが、それを目指す生き方というバックボーンこそ大切にしていきたいと思います。何かを成し遂げようという自分の姿や生き方こそが無形のレガシーになっていくでしょうし、そうしていきたいと思っています」
シャネル
J12 パラドックス
ケース:高耐性ホワイト&ブラック セラミック、ステンレススティール
ムーブメント:自動巻き(キャリバー 12.1)
ケースサイズ:38 mm
防水性:50 m
価格:108万9000円(税込)
Stylist: Shinichi Mita(KiKi inc.)
Hair & Make: Masayoshi Okudaira
Art Direction: Officeroom
Interview & Text: Mitsuru Shibata
Photographer: Tanaka Suguru(FASHIONSNAP)
Editor: Chiemi Kominato(FASHIONSNAP)
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