シワのつかないスーツや、UVカット機能をもつアイテムなど、テキスタイルによる機能性アイテムに注目が集まる昨今。徐々に気温も上昇し、夏本番が近づいてきている今、脇や背中の汗染みに特化している「汗染み対策Tシャツ」の需要が高まっている。肌着などのインナーを着用せずとも、汗染み対策ができるイギリス発の「フレッシュマックスシャツ(FRESH MAX SHIRTS)」が日本に初上陸したのが2013年。以降、時代のライフスタイルの変化に合わせ、シャツだけではなく、オフィスカジュアルや、プライベートでも着用できるTシャツに注力するブランドが増えてきた。べイクルーズが展開する「エディフィス(ÉDIFICE)」では、2018年に「”撥水&汗染み防止機能” プロテック ポンチ Tシャツ」を発売。2023年度の売り上げは前年比120%の伸長を見せるなど、セールスも好調に推移している。
汗染み防止Tシャツとは、一般的に表地に撥水加工、裏地に吸水加工を施すことで汗が染み出すのを防ぐ衣類のこと。エディフィスの広報担当の桂大地氏は「撥水と吸水加工によって、生地を3層にし、生地の中間で汗を止めるイメージ」とそのメカニズムについて説明した。一般的に、撥水加工が施された生地にはシルケット加工※を施すことができないため、一定の品質を保つには生地本来のクオリティが求められる。かつ、汗染みを防止する加工は生地が薄ければ薄いほど難しいとされており、加工の程度や生地との相性の調整は必須だ。各社は、一定のクオリティと機能性を保ちながら、コストを抑える企業努力を重ねている。
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※シルケット加工:光沢や風合いを生みだし、生地の表面を美しく仕上げる加工。
国内の汗染み防止対策Tシャツ黎明期を支えたのは、「ナノ・ユニバース(NANO universe)」が、2013年に発売した「アンチソーキッド 汗染み防止 クルーネックTシャツ」だ。会社員から「通勤時の移動中に汗染みを気にせずに済む」と好評を博し、翌年2014年にウィメンズラインでも同名商品の販売を開始。ナノ・ユニバースでメンズ部門のPRを担当している古山直登氏は、「当時、汗染み防止機能を謳うTシャツは、国内市場にはほぼなかった」と回顧する。2019年から2022年までの3年間だけでも累計36万枚を売り上げており、販売開始から10年経った現在でも人気商品のひとつだという。
古山氏は「『吸水速乾』ではなく、『汗染み防止』を謳えるのは検査機関での試験をクリアしているから」と説明。同アイテムでは、アパレル・テキスタイル関連試験業務を担う一般財団法人カケンテストセンターで、「目視で汗じみが見えにくい」という判定を指す4〜5級の結果を出している。
ナノ・ユニバースと、エディフィスの他にも、ワークマンや無印良品が汗染み防止Tシャツを発売するなど、大手SPAを中心に供給を増やしている。今夏は全国的に平年より暑くなると予報されている状況を踏まえても、機能性Tシャツ需要はさらに高まりそうだ。
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