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「モテるために何をすべきか」が綴られている当時の名著
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【タイトル】LOOKING GOOD
【著作】Charles Hix
【発行年】1977年
中村:その名の通り、「モテるために何をすべきか」ということが延々と綴られている一冊です。ここまで馬鹿馬鹿しく男性をモテさせようとしていた時代があったことを示すという意味で、歴史的な価値があるなーと思っています。装丁も絶妙にダサいですよね。
F:確かに。一周回ってカッコ良さすら感じます。
中村:当時の名著だったらしいですよ。
F:「モテたい」という気持ちはどの時代にも共通する気持ちなのかもしれませんね。
中村:当時は今よりもっと多様性のない時代であるはずなので、大変だったと思うんですよ。僕は「モテたい」というのはすごくファッション的だなと思っていて。
F:「モテ」のどの辺にファッション的要素を見出していますか?
中村:「モテたい」って大きな一歩だと思うんですよね。性別関係なく「モテたい」という気持ちは他者に対する自己主張。自己主張という観点で言えばファッションと近しいものを感じるな、と。結局、羞恥心とか自己主張とか、承認欲求がなければ誰もファッションをしないと思うんですよ。
F:ファッションをする。「ファッション」を動詞として捉えるのは興味深いです。
中村:手段として「何を着るか」「どういうスタイルをするか」というのは態度に表れるものだなと個人的には思うんです。だからそういう意味で、この本のタイトルのように「ルッキング・グッド」がファッションにとっての一歩になるんじゃないかなと思って選書しました。
F:ここまで洋書の選書が多いですが、お店としての入荷基準で何かポリシーはありますか?
中村:「ジャンルではない部分を見ること」かな。この本でいうと「モテ読本」ではあるけどもっと広義的に価値を見出しているというか。例えば、時間が経つことで本の意味が変わることも多々あるわけですよね。僕はそのシュールさも含めて面白いと思っているし、お客さんにもそういう風に思ってもらえるような本を選んでいるつもりです。
F:時間を経て変わる本。この本における、時間が経過して変化した部分はどんな部分でしょう?
中村:この本は「ステレオタイプ的な白人男性に成り切ることでモテるよ!」と説いていますが、今の時代は多様性も認められ始めていることもあり、しっかりとポリティカル・コレクトネスが機能する時代にもなってきましたよね。今同じような本を出版したら様々な方面から怒られてしまうだろうけど「かつてはこういう時代があったよね」と振り返ることのできる本だな、と思っています。
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