同じ志を持つ人と一緒に作る「みんなのすながわプロジェクト」
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ーそんな思いから、創業地である北海道・砂川市で、みんなのすながわプロジェクトを始めたのでしょうか?
そうですね。砂川で間伐材を活用するなど市全体の活性化もひとつの目標です。シロを育てていただいた砂川の皆さまに集い愛していただける場所に育てていきたい。またこの場所だけでなく、砂川の街が今以上により良くなるための試みにも挑戦します。ものづくり・教育・観光をテーマにした施設や環境を市民と一緒に作る。2023年春の施設開業に向け、「子どもたちが未来に希望をもてる砂川」や「市民の皆さんが誇りをもてる砂川」を目指し、同じ志をもつ市民の方々と一緒に、みんなのすながわプロジェクトをスタートすることにしました。
プロジェクトの信念
・誰も何も排除しないまちづくり。
・みんなで作るまちづくり。
・誰もが見てわかるまちづくり。
・地産地消のまちづくり。
・育てて地元に渡すまちづくり。
・思いや考えを言ってみたくなるまちづくり。
・誰でもできるまちづくり。
・持続可能なまちづくり。
ーそもそもなのですが、なぜプロジェクトを砂川で立ち上げたのですか?
私はシロの前身であるローレルへの就職を機に砂川市に移り、約20年間暮らしました。先代から会社を引き継ぎ、東京に進出、その後東京に移住して初めて、高齢化で人口減少が著しい砂川市の現状を考えるようになりました。砂川にいた20年間は職場と家の往復が当たり前で、それが普通と思っていました。東京に来て、カフェで一人になれる時間やショッピングで気晴らしができることに、選択肢のない砂川市とありあまる違いを目の当たりにし、「知らない」ことは幸せであり不幸せでもあると実感しました。砂川市は素敵な街ではありますが、一方で若年層にとっては「何もない街」「やりたいことができない街」として離れていく人も多い。だったら、「気付きを得られることができ、住んでいる人も誇りを持てる街」を創りたい。プロジェクトで街作りを進めることで砂川市への理解を深めてもらえたらと思います。
ー2023年春の全面開業を前に、まずは砂川市内の御社が保有する旧江陽小学校跡地に工場を増床移転し、今年中には稼働します。
シロの工場や当社初のアウトレットショップなどに関しては社長の福永に任せていますが、ガラス張りで工場見学ができたり、ブランド初のフレグランスをカスタマイズすることが出来る「フレグランスバー」(名称仮)、道産素材のおいしさを料理で伝えるカフェやアスレチックや職業体験ができるホール、そして市民の居場所となる空間を工場に併設する形でオープンします。これがみんなのすながわプロジェクトの一環となります。
旧江陽小学校跡地に工場を増床移転、今年中に稼働へ
旧江陽小学校跡地に工場を増床移転、今年中に稼働へ(内観)
Image by: シロ
ー工場を囲む、みんなのすながわプロジェクトは育てた先、最終的には地元に渡し地元の人が育む事業です。
砂川をどんな街にしていきたいか、どんなところが良い点か、何が必要か、何が課題かなどを考えるために、地元の人に集まってもらってワークショップやオンライン座談会を開催して、今の課題やニーズの掘り起こしを行っています。私がそうだったように、住んでいる人は気づいていないことも多いので、地元の人、またこのプロジェクトに興味を持ってくれている人を集めて会話することでより良い街づくりにつなげたいと考えています。行政も巻き込みたいのですが、なかなか難しいところもあります。いまは街の中でシロが考えている構想が大きすぎたり、まだ漠然としていることでイメージが伝わりにくいかもしれない。しかし工場の増床移転を実際に目にすることでシロの本気が伝わるはずです。そういった目に見える結果を出すことで街の約1万6000人と、ゆくゆくは行政も巻き込んだプロジェクトにしていきたいですね。
ーただ“箱”を作るだけでなく、市民や環境に寄り添うことが大事ということですね。
創業から「社会が良くなるために」とビジネスを推進してきましたが、リブランド後の3年間は、「会社が大きくなっても社会が良くならない、ではどうするか?」ばかりを考えていました。ビジネスでは届かない領域、それは地球環境が乱れている領域でもあります。地球からいただいた素材でシロは大きくなりました。そこで得た利益を地球に還元するのは自然な流れだと思い、利益の多くをプロジェクトに投資するつもりです。自分が10億、20億円あったら社会のために何に使うか?と考えてきた結果ですね。
ーみんなのすながわプロジェクトの今後の課題は?
どうしたらその地域だけで完結できるかという、地産地消です。みんなのすながわプロジェクトで作る街は“シロの街”にしてはいけない。砂川市で生きている人たちが誇りを持って未来につなげていくために、有名な施設を作るのではなく、市民一人ひとりが主導となり広がっていくことを目指しています。そのための道のりはまだ長いと感じています。
砂川をシロのファンが集まる場所に
ーブランドとして、シロの今後の計画は?
シロは、グローバルブランドになって世界中にファンを作りたいですね。そうなれば“聖地”である砂川市の工場に、工場見学や製品を求めて人が集まるようになるのではないでしょうか。ただ、そこで思うのは、砂川に来てシロを見て終わりではダメだと思っていて。砂川の街を堪能して帰ってほしいのです。そのために、みんなのすながわプロジェクトはあるのです。一方で、そこに導くためのシロのグローバル化は、社長である福永のミッションです。シロはアジアを含め海外展開を積極的に行います。
「シロ」
・2021年売上高:対前年比49%増
・2022年(33期計画)売上高目標:対前年比33%増
2022年戦略
【製品戦略】フレグランスをキーアイテムに、新製品を一定数毎月発売することで新客とのタッチポイントを創造。リピート客に対するフレグランスの横展開とコミュニケーションの活性化で他カテゴリーへの導線を構築する。
【出店計画】製品と同じ発想のもと、「シロがあったらいい」と思える、国内の館や区画で30店舗を水準として検討。来期以降、若干の推進を計画しており、市場規模が大きい名古屋地区は現在出店が1店舗のため、来期中に新規オープン予定する。
【海外戦略】新規エリアへの進出と既存エリアへの販路拡大。薬事や法規制の影響を大きく受けるため、現実的に可能なエリアであるシンガポールやUAEなどの参入を目指す。路面店のオープンによる、ブランド認知の高める従来の戦略だけでなく、コスメセレクトショップへの卸や、有用なプラットフォームなどへの製品流通も意識した展開へ。
【EC】現状の売上比率(3.5割)を保ちつつ、自社ECでは製品送付までの日数の最短化や、店舗がないエリアで購入動機を活性化させるための返品交換対応など、利便性を高めていく予定。また自社ECのみならず、Amazonを筆頭にプラットフォームの活用を推進し、全社で最大売上比率4割までを目論む。
ー最後に、今井会長自身が取り組まれているサステナビリティについて教えてください。
山の循環が一番大きなサステナビリティですね。あとは、自宅に庭があるので家庭菜園をしたり、暖炉があるので薪で生活をしたりしています。ただ、家庭菜園だけでは全ての生活がまかなえないので、どうしても大きな循環を考えてしまいますね。仕事になってしまいますが、山や海など自然の循環について日々考え、行動しています。
(文 ライター・エディター中出若菜、聞き手 福崎明子)
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