シープ ディレクター兼バイヤー 益子杏子
Image by: FASHIONSNAP
9月18日ラフォーレ原宿の入り口に新たなセレクトショップ「シープ(SHEEP)」が誕生した。ディレクター兼バイヤーを務めるのは、原宿のファッションカルチャーを牽引し続けている、益子杏子。新店オープンの経緯や小売店としての新たな取り組みについて聞いた。
益子杏子
アッシュ・ぺー・フランス(株)に20年間勤務し、数店舗のバイイングを担当。元WALLのディレクター。2021年同社を退社後、SHEEPのディレクター兼バイヤーを務める。日本と世界のエマージングブランドの発掘と発信をし、原宿のファッションカルチャーを牽引し続けている。
ーシープをオープンするまでの経緯を教えて下さい。
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新しいお店にチャレンジしようと思い、ブランド様や色々な方の協力を得て新しいコンセプトのシープをオープンさせることになりました。それは、コロナのパンデミックによって日常生活が大きく変化してきた中でも、シープのような新しいクリエイションのセレクトは、わたしの経験の中でも、これまで以上に強く求められている感覚があり、これからより一層ニーズが増えていくなと感じたからです。実際に、オープンしてからも実績として表れています。
ー新店舗の名前「シープ」の由来は?
羊の毛の感じが服を着飾っているようで、レイヤードしている感じも原宿っぽいなって。裏の意味として、原宿の若い人たちって可愛いだけじゃなくちょっと意地悪っぽい感じもある。シープ(羊)っていう響きは可愛いけど、実は黒い部分もあるなと思い、この名前にしました。そういった人たちのコードネームがシープです。
ーオープンしてのお客様の反応は?
「パワフルな楽しい店を作ってくれてありがとうございます!」という声を沢山頂いて。本当に涙が出るほど嬉しかったですね。「新しい挑戦は正解なのか」とずっと不安だったんですが、顧客様の声を聞いて挑戦してよかったと改めて感じました。シープの出店はお客様とブランドのために動いたというのが全てだったので、みなさまの喜んでいる顔を見られて心の底から嬉しかったです。
ーブランドラインナップは?
「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」や「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」などをお取り扱いさせて頂いてます。あと、新しく「ヘヴン・タヌディレージャ(Heaven Tanudiredja)」を扱い始めました。「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」や「キディル(KIDILL)」は、2021年秋冬はないんですけど、次のシーズンから始める予定です。ちなみにコトハヨコザワとは、どちらかというと一点物メインだったり、シープでないと取り組めないことをやっていこうと思っています。また、今後はヘヴン・タヌディレージャのように、海外のエマージングブランドも取り入れて、お店をもっとより濃く、面白くして、よりグローバルな店にしたいなって。
ーショップコンセプトは?
シープのコンセプトは、日本と世界のエマージングデザイナーの発掘と発信です。私はずっと日本のファッション界を背負ったつもりでやってきて、東京ファッションの中心である原宿のラフォーレの入り口という場所から発信していきたいという気持ちがあります。それが自分の中の全てで、それこそファッションで生きていくと決めたので。今まで以上に日本のブランドの発信をしていきたいと思っています。
ーシープの空間テーマは「森の中に入る」ということですが。
緑の要素や木の要素を取り入れて、気持ちのよい空間をラフォーレ原宿の入り口に作ろうということになりました。店内には木の小屋があるんですけど、そこにニューヨークなどからセレクトしたZINEやアート・カルチャーよりのものを展開しています。ほかにも、フラワーベースや陶器などインテリアも充実させたり、定期的にお花屋さんのPOPUPも企画したりしていきたいです。加えて、お店でないと体験できないことをやっていこうと思っていて、様々なワークショップを実施するなど、実店舗ならではの価値を作りたいと考えています。
ー人気のグラウンズは?
幅約5メートルの壁を作り、そこに商品を陳列しています。売れ筋もコラボ商品もあるフルラインナップで揃う、グラウンズのミュージアムのような売り場にしたかったんです。ここで新規顧客を獲得していければと考えています。
ーデジタル施策について他に考えていることは?
自社ECの開設を予定していて、ゆくゆくはライブコマースなどを使って越境ECにも取り組みたいと思っています。特に、今は海外の人が来れない状況なので。需要はありますから、そこはしっかり日本国内だけじゃなくて世界に向けても展開していきたいです。
ーバイイングの基準はありますか?
基準としてはオリジナリティがあるかどうかですが、ただシープでは自分も成長しなきゃなと思っているんで、ブランドの良いところをピックアップすることに加えて、その部分を伸ばしていけるようにならなければと考えています。
あとビジネス的なところで言うと、国内小売の凝り固まった考え方を取っ払っていきたいなと。クリエイションの付加価値を正しく世の中に伝えていきたくて、シープでしかできない別注やコラボ商品でクリエイターさんたちの価値をもっとわかってもらうことに加えて、価値そのものを高めていくような提案をしていきたく、商品にシープの価値を載せて価格を設定できないかと思っています。お店によって販売価格が違うっていうのは、海外のものではOKだけど、国内は歴史的な慣例があってまずないですからね。ブランドと話しながらにはなりますけど、ちょっとずつでも変えていけるところはあるように思います。実際、肯定的なデザイナーもいますね。
ー最後に、シープを通じて発信していきたいことは?
ファッションを楽しむことをみなさんとやっていきたいというのがあります。コロナによるモヤモヤはありますが、ファッションってやっぱり心を動かしてくれるものだと思うんです。それこそシープをオープンするとなってお客様やデザイナーの方々が喜んでくれたこともそうですし。あと今回感じたのは、結局全ては人と人との繋がりだということ。この場所を通じて、「この商品良いよね」って共感してくれるファッションのコミュニティを増やしていきたいと考えています。
■SHEEP
住所:東京都渋谷区神宮前1-11-6 ラフォーレ原宿 1階
営業時間:11:00〜20:00
Instagram
■ブランドラインナップ
AKIKOAOKI、BODYSONG.、grounds、guernika、Heaven Tanudiredja、Jenny Fax、MIKIOSAKABE、NON TOKYO、 osakentaro、o.watery、PERMINUTE、pillings、SIIILON、YEAH RIGHT!!、YURIKOETO、yushokobayashi など
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