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濱口竜介監督が手掛けた「ドライブ・マイ・カー」が日本映画として36年ぶりに作品賞にノミネートされ、注目を集めている第94回アカデミー賞。日本時間の2022年3月28日に発表される最優秀賞受賞作品の発表に先駆けて、FASHIONSNAPではネットフリックスとアマゾンプライムビデオで現在配信中のノミネート作品にフォーカス!今すぐ観ることができる各賞のノミネート作品を、見どころと共にお届けします。マイリストに入れるも良し、今すぐ観るも良し。話題作をいち早くチェックしてみて。
目次
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作品賞
笑えないけど笑えて困る!?「ドント・ルック・アップ」
あらすじ
地球に衝突する可能性がある巨大彗星を発見した天文学者(レオナルド・ディカプリオ)とその教え子(ジェニファー・ローレンス)。地球滅亡の危機を世の中の伝えようと奔走するが世の中の誰も信じてくれず……。
レオナルド・ディカプリオや、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデなど超豪華キャストで送るNetflixオリジナル作品「ドント・ルック・アップ」は配信と同時に大きな話題となり4部門でノミネート。あくまでフィクションとわかりつつもどこか現実世界でも見覚えのある「立ち行かなさ」や「理不尽さ」がブラックユーモアを交えて描かれています。ちなみに、本作はエンドロールを観終わるまでが「本編」です!
第94回アカデミー賞でノミネートされた部門
・作品賞
・脚本賞
・作曲賞
・編集賞
2020年代を代表するSF超大作「DUNE/デューン 砂の惑星」
あらすじ
主人公 ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)には、未来を視る能力があったーー。時は10191年、人間の居住地が銀河系に広がった時代。宇宙帝国の皇帝が世の中を支配し、「メランジ」と呼ばれるスパイスが最も重要な資源となっていた。皇帝からの命令でスパイスが採取することができる、砂に覆われ巨大な虫が支配する荒涼の惑星「アラキス」通称デューンへと移住するポールとアトレイデス一族。ところがその移住計画は、今まで"砂の惑星"を治めてきた凶暴なハルコンネン家と皇帝が仕掛けた罠だった。
昨年大きな注目を集めたSF超大作がいよいよアマプラ配信開始!「SFエンタメ超大作を観た!」という気持ちにさせてくれる「DUNE/デューン 砂の惑星」は11部門でノミネートされました。とにかく情報量や設定、固有名詞が多いので、軽く予備知識を蓄えてからの鑑賞がおすすめです。
第94回アカデミー賞でノミネートされた部門
・作品賞
・脚色賞
・撮影賞
・編集賞
・美術賞
・衣装デザイン賞
・メイクアップ&ヘアスタイリング賞
・音響賞
・視覚効果賞
2回観たくなる!今年度の最有力候補「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
あらすじ
1920年代のモンタナ州。聡明ながら高圧的なフィル(ベネディクト・カンバーバッチ)は、地味で繊細な弟ジョージ(ジェシー・プレモンス)と2人で牧場を経営していた。ジョージは未亡人のローズ(キルスティン・ダンスト)と結婚。夏休みにローズの息子ピーター(コディ・スミット=マクフィー)が牧場に訪れることで様々な人間関係に歪みが生じていく。
今年のオスカーで最多11部門12ノミネートされた「パワー・オブ・ザ・ドッグ」は、海外メディアや下馬評では最有力候補との声も。良い意味で派手さがなく最初の1時間は静かに物語が進んでいくため「これが最多ノミネート作品ってなんだかパッとしないな」と思う人もいるかも?しかし、そこはオスカー最有力候補。後半は怒涛の伏線回収撃でグッと引き込まれること間違いなし!人間ドラマとミステリー要素が相まった本作は一見の価値ありです。主演を努めたベネディクト・カンバーバッチはフィルを演じるにあたって、本当に数週間入浴をせずに過ごしたとか。
第94回アカデミー賞でノミネートされた部門
・作品賞
・監督賞
・主演男優賞(ベネディクト・カンバーバッチ)
・助演男優賞(ジェシー・プレモンス)
・助演男優賞(コディ・スミット=マクフィー)
・助演女優賞(キルスティン・ダンスト)
・脚色賞
・美術賞
・撮影賞
・編集賞
・音響賞
・作曲賞
主演男優賞
実在した夫婦の"恐ろしい1週間"「愛すべき夫妻の秘密」
あらすじ
1950年代の超人気シチュエーションコメディドラマ「アイ・ラブ・ルーシー」の制作現場を舞台にした実話を基にした本作。主人公のリカード夫妻を演じたルシル・ボール(ニコール・キッドマン)とデジ・アーナズ(ハビエル・バルデム)は実生活でも仲睦まじい夫婦の関係で、視聴者からの好感度も抜群。しかし、ルシルに思わぬスキャンダルが発覚し夫婦の関係が変化。関係者が「恐ろしい1週間」と振り返る日々がはじまる。
主演の2人がオスカーの主演男優賞と女優賞に揃ってノミネートされたアマゾンオリジナル作品。プライム会員なら無料で視聴することができます。劇中のドラマシーンはコメディの体ではあるものの登場人物の心情を吐露する装置にもなっており、夫婦関係を細やかに表現する構成力は圧巻の一言。ニコール・キッドマンの特殊メイクは必見です。
第94回アカデミー賞でノミネートされた部門
・主演男優賞(ハビエル・バルデム)
・主演女優賞(ニコール・キッドマン)
・助演男優賞(J・K・シモンズ)
ミュージカル映画が苦手な人にこそ観て欲しい「チック、チック...ブーン!」
あらすじ
ブロードウェイで大ヒットを記録した「レント(RENT)」を生み出した作家ジョナサン・ラーソンの自伝的作品を映像化。ブロードウェイ作家を目指すジョナサン(アンドリュー・ガーフィールド)は30歳の誕生日を目前に、人生の時間を無駄にしているのではないかという焦燥感にかられながらも夢を諦められないでいた。友人や恋人が少しずつ変化している中で夢を追いかける彼の半生を描く。
年齢を重ねれば重ねるほど時間の進みが早く感じられ、何者にもなれていない自分への焦燥感故に余裕がなくなってしまった経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか?「ミュージカル映画は苦手だな」と思っている人にこそ観て欲しい1本で、「29歳になる 気持ちは22歳のまま どうする」など、ジョナサンの紡ぐ歌詞が魅力の一つでもあるため字幕での視聴がおすすめ。
第94回アカデミー賞でノミネートされた部門
・主演男優賞(アンドリュー・ガーフィールド)
・編集賞
主演女優賞
"良い母親"を問う「ロスト・ドーター」
あらすじ
ひとりで海辺のバカンスに訪れたレイダ(オリヴィア・コールマン)は、たまたまその場に居合わせた娘と母親にかつての自分と娘を投影し、次第に自分が"未熟な母親"だった時の記憶を思い出す。
ジェイク・ギレンホールの姉で俳優のマギー・ギレンホールの長編監督デビュー作品。エレナ・フェッランテの小説が原作の本作は、原作者から「監督が女性なのであれば映像化しても良い」という指示があったとか。主人公を演じたオリヴィア・コールマンの熱演も相まって、観賞後「良い母親とは何か?」について考えさせられる骨太なヒューマンドラマ作品です。
第94回アカデミー賞でノミネートされた部門
・主演女優賞(オリヴィア・コールマン)
・助演女優賞(ジェシー・バックリー)
・脚色賞
国際長編映画賞
新鋭の若手俳優が熱演「The Hand of God」
あらすじ
主人公ファビエット・スキーザ(フィリッポ・スコッティ)が暮らす1980年代のナポリにサッカー選手であるディエゴ・マラドーナがやって来るという噂が舞い込んでくる。喜ぶファビエットだったが、予想外の悲劇が彼を襲う。ファビエットが数奇な運命の中、人々との交流を通して成長していく物語。
イタリア映画として国際長編賞(外国語映画賞)にノミネートされた本作は、メガホンを取ったパオロ・ソレンティーノ監督の半自伝作品だとか。劇中の全編を通してほとんど音楽がなく、聞こえてくるのは自然音と台詞のみ。第三者視点で計算されたカメラワークと観客に感情移入をさせない構成が魅力的な作品です。主人公を演じた新鋭の若手俳優フィリッポ・スコッティは、今後注目の俳優の一人かも?
ブータン映画史上初のノミネート「ブータン 山の教室」
あらすじ
教職を職業にしながらも、ミュージシャンになる夢を捨てきれない主人公のウゲン(シェラップ・ドルジ)はある日ブータンの僻地であるルナナへの赴任を命じられる。意欲的でまっすぐな子どもたちや村の人々に囲まれて暮らす中で、次第に自分の居場所を見つけていく。
ブータン映画史上初のアカデミー賞国際長編映画賞ノミネートされた本作は、ドライブ・マイ・カーと並ぶ受賞有力候補。「ドキュメンタリー映画だったけ?」と思ってしまうような映像美やプロットと共に「世界一幸せな国」と形容されるブータンの実情を主人公を通して静かに描く良作です。
衣装デザイン賞
ファッション好き必見「クルエラ」
あらすじ
アニメーション映画「101匹わんちゃん」に登場するヴィラン クルエラ・ド・ヴィル(エマ・ストーン)の若き日を描く。デザイナーを夢見る少女エステラは、なぜ悪女クルエラになったのか。
ディズニー映画とは思えないほどのスタイリッシュなファッション性が評価され、衣装デザイン賞にノミネートされた「クルエラ」。衣装を手掛けたジェニー・ビーヴァンは映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」でも衣装デザイン賞を受賞しており、今作でも受賞の期待が高まっています。
約30年ぶりに王道コメディが復活「星の王子ニューヨークへ行く 2」
あらすじ
アメリカ人女性の愛を手に入れたアフリカ某国の王(エディ・マーフィ)が、自分の認知しない婚外子がアメリカにいることを知りニューヨークに赴いたことから巻き起こる騒動を描く。
クレイグ・ブリュワー監督を迎えたアマゾンオリジナルが、エディ・マーフィ主演の大ヒットコメディ作「星の王子ニューヨークへ行く」の約33年ぶりとなる続編を製作。エディ・マーフィをはじめ、前作のキャストが再集結しており、旧作ファンにとっては胸アツな作品となっています。ファッションの視点からみてもアイコニックな本作の衣装デザインを手掛けたのは、ルース・E・カーター。映画「ブラックパンサー」で2018年に衣裳デザイン賞を受賞しています。
長編アニメ映画賞
アニメだからといって侮るなかれ「ミッチェル家とマシンの反乱」
あらすじ
人類に反乱を起こしたロボット軍団から世界を救うべく奔走する一家の戦いを描く。
本作は声を出して笑ってしまうようなコメディ要素と観客に訴えかけるもののバランスが良く、子どもから大人まで誰が観ても楽しめること間違いなし。上映時間も113分とライトなので「なにも考えずにさっくりと鑑賞できる良作が観たい」という人にもおすすめ。
短編アニメ映画賞
30分とは思えないほどの満足感「ことりのロビン」
あらすじ
ネズミの家族に育てられたコマドリのロビン。やがて成長するにつれて家族との見た目の違いが明らかになっていき、ロビンは自分が優れたネズミであることを証明するために人間の家に忍び込もうとする。
フェルト人形を用いたストップモーションアニメ。30分で見れる映画というのは忙しい現代人にとって魅力的であるはず。全体的に完成度が高く、とても30分とは思えない満足感のあるアニメーションショートフィルムです。
短編ドキュメンタリー賞
ろう者のアメフト選手を描く「オーディブル:鼓動を響かせて」
あらすじ
メリーランドのろう学校に通うアメフト選手アマレ・マッキンストリーとその友人たちの姿を追う青春ドキュメンタリー。
ろう学校に通うアメフト選手のアマレ・マッキンストリーは、最終学年というプレッシャーと共に、間もなく訪れる健聴者が多数を占める社会への旅立ちという現実に直面します。"感動ポルノ"のようないやらしさはなく、ドキュメンタリーらしからぬ映像が彼らの状況や心情を細やかに映し出します。ちなみに、本年度のアカデミー賞は「ドライブ・マイ・カー」をはじめ、作品賞など3部門でノミネートされた「コーダ あいのうた」など、ろう者が登場する映画が数多く選出されています。
ホームレスたちの事情に迫る「私の帰る場所」
あらすじ
監督のペドロ・コスとジョン・シェンクが3年以上にわたって20人を超えるホームレスの日常生活を撮影した映像作品。
アメリカでは、毎晩50万人がホームレスとして過ごしているそう。それぞれの不遇な事情がなければ、ほんの数ブロック先の建物の中で心地よく寝ている人と何ら変わりのない生活を送っていたかもしれな人々。時代遅れの政策に対して異議を唱える最初の一歩として、ホームレスたちの実際の物語が描かれています。
難民キャンプが舞台「ベナジルに捧げる3つの歌」
あらすじ
アフガニスタンの難民キャンプで暮らす青年は、アヘンの原料であるケシの花を収穫して生計を立てているが、国防軍に入隊して国を守りたいと考えるようになる。
20分の短編ドキュメンタリーということもあり、無駄な情報がごっそりと削ぎ落とされている本作。「この国は終わっている」「外国人に爆撃されるかタリバンに殺されるかだ」という切実な言葉は、2021年にアメリカ軍がアフガニスタンから撤退し、タリバン政権が復権したことを知っている観客にとってはあまりにも重く辛い言葉。この作品がアカデミー賞にノミネートされることで多くの人がこの作品と向き合う機会になるのではないでしょうか。
バスケ好き必見「The Queen of Basketball」
あらすじ
1970年代後半に全米バスケットボール協会でプレーした最初で最後の女性ルシア・ハリスに迫る。
通常、短編ドキュメンタリー賞にノミネートされる多くの作品は日本国内で観る機会が限られているのですが、本年度は5作品中4作品を視聴することができます。本作は、ニューヨーク・タイムズの公式YouTubeで公開中。YouTubeの字幕機能と自動翻訳機能を使用すれば、英語が苦手な人でも大枠は理解することが出来るはずなので、バスケットボールやNBAが好きな人は一見の価値ありです。
視覚効果賞
初のアジア系ヒーロー「シャン・チー/テン・リングスの伝説」
あらすじ
主人公シャン・チーは、ホテルの駐車係として働き、夜は友人と過ごす平凡な生活を送っていた。しかし、“ある出来事”をきっかけに世界を脅かす計画に巻き込まれていく。
マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)の第25作品目となる本作は、MCU史上初めてのアジア系ヒーローが主人公。CG技術を駆使したド派手な映像はもちろん、わかりやすいヒーローの覚醒や合間に挟まれる笑いが心地よく、エンタメ映画としておすすめしたい1本です。
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