話題の企業のオフィスを紹介する人気連載企画「オフィス訪問レポ」。今回は「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(以下、ビュリー)」を日本で展開するビュリージャパンを取材しました。創業者ラムダンさんのクリエイティブスタジオがディレクションを担当したヴィヴィッドな配色が際立つオフィススペースは必見。EC商品の梱包をすべて手作業で行っているECチームの“ラボ風”ルームでは刻印やカリグラフィーの様子も見せてもらいました!
📝読む前に知っておきたい:ビュリーとは?
1803年にパリで創業した総合美容専門店。正式名称は「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」。2014年に美容専門家のヴィクトワール・ドゥ・タイヤック(Victoire de Taillac)とアートディレクターのラムダン・トゥアミ(Ramdane Touhami)夫妻がリブランディングして再始動。創業当初から伝わる自然な製法を受け継ぎながら独自の製品を開発し、香水からルームフレグランス、自然派化粧品、植物オイル、美容アクセサリーまで幅広く展開している。2021年には約4年にわたり出資してきたLVMHグループが買収。ラムダンは経営から退き、現在はヴィクトワールが運営に携わっている。日本ではビュリージャパン(Buly Japan)が展開。
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目次
ロケーション:治安よし、自然たっぷりの元赤坂
昨年、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン グループ入りしたビュリーですが、グループ入りしたあとも独立してオフィスを構えています。立地は元赤坂1丁目。赤坂離宮に近接しているため治安もグッド。かなり閑静なエリアです。
ビルは昭和44年5月竣工。レトロな雰囲気が漂います。オフィスは4、5階にあるということで、まずは4階へ。
エレベーターを出ると右手に真っ白なドアと、ビュリーのロゴを発見。
コンコン、とノックしてドアを開けてもらうと......
原色ドーン!の鮮やかな世界。良い意味でオフィスらしくない、デザインの凝った内装です。
右手側に執務スペース、左手側にはミーティングスペースがあります。まずは執務スペースからご紹介。
執務スペース:オフィスっぽくない映え空間と癒しの福利厚生
まさに青!なカーペットが敷かれた執務スペース。基本的に室内ではスリッパで活動。
デスクは壁や窓沿いに配置。空間の中央にデスクを置く企業が多かった中、今まで見たことがない配置だったので新鮮です。ちなみに座席はフリーアドレスではなく個々に用意されています。窓際の席は外の眺めも楽しめてラッキーですね。
目と鼻の先には赤坂離宮。窓を開けると、さわやかな緑の香りをのせた風がやさしく吹き込みます。癒し。
椅子は「ハーマンミラー(Herman Miller)」のイームズチェアや「ヘイ(HAY)」などを採用。
天井には「ハモサ(HERMOSA)」のコンプトンランプ。ヴィンテージ感のある無骨なデザインがカッコいいですね。
左側に置かれたコートスタンドは、Roger Feraudによるデザイン。グリーンの椅子は「シボネ(CIBONE)」で購入したそう。
オフィスインテリアのクリエイティブディレクションは、ビュリーの創業者ラムダンさんが率いるクリエイティブエージェンシー「ARI」が担当。ラムダンさんはLVMHにビュリーを売却後、経営からは離れていますが、 今でも時折このオフィスに顔を見せに来るそうで良好な関係が続いているとのこと。施工はスマイルデザインに依頼しています。なお、現オフィスに入居したのは2021年2月。それまでは原宿・神宮前のマンションの一室をオフィスとして借りていました。現オフィスの面積は135平方メートルで、旧オフィスから約2倍に拡大と勢いを感じさせますね。
「ビュリーならではの特別な福利厚生があるんですよ」とPR担当者さん。なんと、オフィススタッフ用に毎週フレッシュなフルーツが届くんです。ジュースやコーヒー、お菓子(ボワシエも!)も自由に食べたり飲んだりできます。
おしゃれなお皿×フルーツ×スイーツ缶でトリプル映え。
コーヒーマシンは「デロンギ(De'Longhi)」の「プリマドンナXS 全自動コーヒーマシン」。
......まさかのフルスペックモデル。これはラムダンさんのこだわりなのだとか。コーヒー豆はノルウェー発のカフェ「フグレン(FUGLEN)」などから調達。
ミーティングスペース:ラムダンさんの感性光るカラフル配色
ガラス扉から隣のミーティングスペースへ。こちらはイエローを基調としながら多色をまとめているのが特徴。
中央のテーブルはデンマークのヴィンテージアイテム。イームズチェアとの相性も◎ですね。空間をさらに鮮やかに彩るラグは、スイスのブランド「マックス・ビル(Max Bill)」のもの。
窓際のソファには、ラフ・シモンズなど著名デザイナーともタッグを組むデンマークのテキスタイルメーカー「クヴァドラ(Kvadrat)」の生地を使用。ラムダンさん自らカラーコーディネートをしています。センスが光る配色、流石です。
ヘイのクッションも。
同じく窓際に2ヶ所置かれたこちらのキャビネットは「ビスレー(BISLEY)」。執務スペースにあった照明もですが、ナチュラル×無骨の組み合わせが絶妙です。
真っ赤なコンテナは「マジス(MAGIS)」の360°コンテナ。
ミーティングスペースを違う角度から見るとこんな感じ。
壁面に飾られた写真は、香港店、新宿店、パリ・ボナパルト店の店内を写したもの。ちなみにビュリーは近年、国内の店舗数を急拡大中。現時点で15店舗を展開しています。コロナ禍でも売り上げは大幅に伸びたのだとか。
丸い箱は、大阪梅田店オープン時に限定販売したボディ・スキンケア製品3点セットのギフトボックス。パッケージも飾ればインテリアになるのがビュリーの魅力ですね。
文房具入れは「ヴィトラ(Vitra)」のツールボックス。中に入っていた文房具も可愛いデザインが多かったです。
実はラムダンさん、パリではなんとガソリンスタンドを出店していて、物販コーナーではオリジナルデザインの文房具も販売しているのだとか。文房具入れの隣にあるカレンダーはMoMAグッズ。
そして隅っこにおしゃれな書籍を発見。
ビュリーが出版している「アトラス・オブ・ナチュラルビューティ」では、植物オイルなどに使われているさまざまな自然由来の原料を、おしゃれなイラストや先祖代々から伝わる美容レシピ付きで紹介。全編英語ですが、眺めるだけでもうっとり。年内には日本語版が発売されるそうです。
ビュリーはこの他にも本を発行しています。
左側の書籍はラムダンさんによる初のマガジン「WAM」。ラムダンさんが愛する日本とスイスの共通点を探ったフォトページ、「グッチ(GUCCI)」や「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」の広告を模したページなど、ラムダンさんのならではの視点やクリエイティビティがぎゅっと詰まった一冊。親交のある人々を迎えた対談ページでは野村訓市さんも登場しています。
広告ページは実在するような本格的な作り。
右側の書籍は、ビュリーの歴史を紐解く一冊「ザ・ビューティ・オブ・タイムトラベル」。昨年11月に日本でも英語版が発売されましたが、「アトラス・オブ・ナチュラルビューティ」と同様に今年、日本語版が刊行される予定です。
EC事業部のスペース:全員白衣着用、真っ白なラボ風空間
5階へ上がり、ECチームのお部屋にお邪魔します!
こちらのお部屋ではCS対応や梱包など、EC周りの業務にすべて対応しています。全員白衣を着用するルールとのことで、ラボさながらの雰囲気。下のオフィスフロアとは真逆の、ホワイトで統一したクリーンな空間に仕上げることで敢えてコントラストを作ったのだそう。ちなみにマスクも、ラムダンさんご指定の医療用マスクを着用することが義務付けられているのだとか。
デスクの椅子はヘイをチョイス。
ハモサのランプはここにもありました。
......さて皆さん、お気づきでしょうか? 下のオフィスフロアもそうでしたが、こちらのフロアも蛍光灯を使っていません。蛍光灯はオフィスあるあるですが、「蛍光灯は肌を美しく見せない」というラムダンさんの考えを反映しているそう。照明まで抜かりがないですね。
ECチームのフロアとあって、ビュリーの商品がずらり! 代表商品のボディオイルから、ギフトにも人気のリップバーム、ルーヴル美術館とのコラボ商品まで全商品が揃っています。
梱包用品の収納棚。脚立は、「シュプリーム(Supreme)」とのコラボも発売した長谷川工業の「ルカーノ(Lucano)」を愛用中。(なお、FASHIONSNAP編集部ではシュプリームコラボを愛用しています!)
商品の梱包はすべて手作業。手書きのカリグラフィーのメッセージだけではなく、ささやかな香り付けをしてから発送しているそうで、まさにビュリー流「おもてなし」ですね。
カリグラフィーは店頭やECチームのスタッフだけではなく、社員全員がトレーニング必須(!)。パリのトップカリグラファーのノウハウを修得するため、スタッフは講習を通じて修行を積んでいるとのこと。
ちょっとしたコンテナもカリグラフィーを入れたシールで貼るとオシャレ度がUPしますね。
せっかくなのでカリグラフィーの様子を見せてもらいました。美しいペンさばき! これぞ職人技ですね。
リップやレザーペーパーへの刻印もこのECチームの部屋で行っています。
アルファベット以外にマークも選べるんですね。
刻印は人気のリップバームだけではなく、櫛も文字入れに対応しています。見ていたら欲しくなりました。
刻印の様子も見せていただきました!こうやって1つずつ丁寧に刻印を入れているんですね。
旧オフィス時代から使っているというこちらの作業机はアンティークのもの。椅子は「ダルトン(DULTON)」。ちなみにゴミ箱やロッカーもダルトンでした。ラムダンさん、ダルトンがお好きなんですね。
作業は「バング&オルフセン(Bang & Olufsen)」のBeosound 2 GVAから流れるBGMとともに。選曲はECチームの“DJ”が担当しています。取材日の選曲は「お客さんがいらっしゃるということで、ジャズにしてみました」と担当者さん。あざすです。
休憩時は自席のほかにこちらのスペースも使えます。テーブルはイサム・ノグチがデザインしたサイクロンテーブル、椅子は「ノル(Knoll)」のサーリネン コレクションからセレクト。このフロアにもデロンギのコーヒーメーカーやフルーツの差し入れがありました。
ECチームのスタッフさんに話を伺うと「オフィスは明るくて開放的。朝から夜まで音楽がかかっていて雰囲気がいいし、気持ち良く仕事ができる」とご満悦の様子。リフレッシュ時の過ごし方は赤坂離宮近辺での散歩とのこと。たしかにオンオフの切り替えがしやすい環境で仕事も捗りそうです。「コロナ禍では実現できなかったランチパーティーが楽しみです」と同スタッフさん。皆さん、FASHIONSNAPのオフィス取材をとても温かく迎え入れてくださり、チームの雰囲気にもとても癒やされました!
ルーフトップ:赤坂離宮の眺望でリフレッシュ
最後にビル入居者共用のルーフトップをご案内。階段を登ると......
こんな感じで広大な空が広がる眺望を楽しめるのですが、取材日はあいにくの天気だったため(涙)、後日PR担当者さんから晴れた日のルーフトップの写真を送っていただきました。
どん!
どどん!
天気の良い日はルーフトップで休憩をとることもあるそう。これは気持ちよさそうです。ラムダンさんがこの立地を選んだ理由もなんだかうなずけます。
都心にありながらも都会の喧騒を感じさせない、まったりとした時間が流れる癒しオフィスでした!
>>「オフィスを紹介してほしい!」という企業の皆さま、ぜひこちら(press@fashionsnap.com)までご連絡ください。お待ちしています!
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