「NOSE」
Image by: FASHIONSNAP
香水大国のフランス。パリ市内にはラグジュアリーなメゾンブランドからファッションブランドの“フレグランス特化型ショップ”、ニッチブランドまで、数多くのフレグランスショップが並んでいます。一度は訪れたい旗艦店なども多数ありますが、まだ出合ったことのないブランドからお気に入りを探したい「フレグランス好き」や、香り選びに自信のない「フレグランス初心者」のどちらにもおすすめしたいのが、香りのコンサルテーションサービスを提供するショップ「NOSE(以下、ノーズ)」。フレグランス好きのパリジェンヌにも人気だというお店に、実際に行って来ました!そのほか、「おまけ」でパリで気になったフレグランスショップも紹介します。
目次
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約50ブランドから500以上の香りがずらり、フレグランスショップ「NOSE」とは?
パリ2区にあるノーズは、Nicolas Cloutier氏が6人の共同創立者とともに2012年にオープン。1番の特徴はiPadを使ったデジタルコンサルテーションと“ブラインドで”香りを試していく点。デジタル上で好みの香りを導き出す仕組みは香りのプロフェッショナルたちと共同で開発し、2〜3年かけて完成したそう。
■NOSE
20, Rue Bachaumont 75002 Paris
営業時間:11:00~19:30
休業日:日・祭日など
公式サイト
店内には、「ペンハリガン(Penhaligon's)」や「ラルチザン パフューム(L'ARTISAN PARFUMEUR)」、「フレデリック マル(FREDERIC MALLE)」、「サンタ・マリア・ノヴェッラ(Santa Maria Novella)」など日本でも展開しているブランドもあれば、まったく聞いたことのないブランドも多数取り揃えられています。約50ブランドから500以上のフレグランスをラインナップし、キャンドルなどのホームコレクションのほか、一部ブランドからボディ・スキンケアアイテムも販売。基本的にはセミセルフで、ずらりと並んでいる香りから、直感で自由に試していくこともできます。
店頭でのコンサルテーションサービスは予約なし・無料で体験できます。土曜日の夕方お店に行ったところ、前に1組待っていて、20分ほど店内をぶらついていたら順番が回って来ました。
iPadで好みの香りをレコメンド!好みの香りをデータとリアルの掛け合わせで絞り込み
カフェのカウンター席のようなオープンスペースで、スタッフと話しながらiPadを操作していきます(実際にウェルカムドリンクのコーヒーを飲みながらサービスを受けます)。個室などではなく開放的な状態が、むしろリラックスして香りを試せる雰囲気です。若いスタッフも多く、香りに対する説明や接客はとてもていねいですが、いい意味でフランク。そして基本的にiPadでの操作で、フランス語や英語が堪能ではなくても、それほど難しくありませんでした。ただ、iPadは日本語に対応していなかったので、英語を選択するのがおすすめです。困ったらGoogle翻訳先生に頼りましょう。
1. まずは「使ったことがある」フレグランスを記入
最初にこれまで使ったことがあるフレグランスを3つ記入し、使っていた時期を「今(現在愛用中)」「1年前」「2年前」「3年前」「4年前」「5年前」から選択します。ブランド名検索から商品を絞り込めるので、商品名をうろ覚えでも大丈夫。使っていたフレグランスがない場合は「なし」をチェック。
香りを選択すると、女性用・男性用・ユニセックスの区分が出てくる
それぞれのフレグランスを使っていた時期を現在〜5年前から選択。5年分ほど入れることで、好みの振り幅をまずは広めに把握するのだとか
2. 3つの香りの使用遍歴から好みの「香りのファミリー」を絞り込み
3つの使用遍歴から、ファーストステップとして香りの好みの傾向が導き出されます。フローラルやシプレ、ウッド、フレッシュなどの「香りのファミリー」の中から「あなたが好きそうな香りのファミリー」が2、3個出てくるので、それぞれの香りのファミリーが好き(like)か嫌い(dislike)かを−5〜+5の11段階の中から選択。ページの下には、過去の使用歴を基に、どんな香りのピラミッドが好みなのかが表示されています。
3. 導き出されたおすすめの香りを「ブラインド」でトライ
この段階でようやくフレグランスの実物が登場します。使用遍歴と香りのファミリーの好みの結果から、5種類のフレグランスがレコメンド。iPad上では商品が表示されますが、ムエットで香りを試す時は商品名は教えてもらわず、「ブラインド(商品がわからない状態)」です。ブランド名やデザインといった嗅覚以外の情報をシャットダウンし、純粋に香りが好きかどうかを考えます。先ほどの香りのファミリーの時と同様に、それぞれのムエットの香りの好き・嫌いを−5〜+5の11段階で伝えます。
過去の使用歴から導き出された5つのレコメンド。「カーナー バルセロナ(Carner Barcelona)」と「セルヨッフ(Xerjoff)」は日本でなかなかお目にかかれない
「香りの好みの数値化」が終わったら、ムエットをめくって商品名と照らし合わせます。タブレットにも各商品の好き嫌いの度合いを記入。さらに今試した香りの好みの傾向を踏まえて、再度「あなたが好きそうな香りのファミリー」がレコメンとされます。
ファーストステップでレコメンドされた香りの好き嫌いを記入
再度「あなたが好きそうな香りのファミリー」がレコメンドされる。前回と同様にイメージで構わないので好き嫌いを記入する。1回目と同じフローラルとシプレに加えて、Woody(ウッディ)が登場
5. 2回目のレコメンド&香りのタッチアップ
使用遍歴、香りのファミリーの好み、レコメンドされた香りの好みを踏まえて、再度5つのフレグランスが提案されます。先ほどと同様に、まずは商品名を見ずにムエットで香りを試し、それぞれの香りの好き嫌いを数値化。より好みに近づいてきた香りが5種類集まるので、1回目よりも好き嫌いの差をつけるのが難しくなってきます。適宜コーヒー豆で鼻をリセットしながら、焦らずゆっくり選びましょう。スタッフも急かすことなく、「あなたの感性でいいの、好きなものは好き、それがすべて」と背中を押してくれました。
2回目の香りのレコメンド。「イニシオ(Initio)」と「フガッチ(FUGAZZI)」は日本未上陸
6. 最終的なお気に入りの香りをセレクト
好き嫌いの数字を記入し終わると、次のページではこれまでのデータを踏まえた、「あなたが好きそうな香りのファミリー」と、それぞれの好みの度合いが表示。その下には、香りのピラミッドで好みの傾向を表してくれるので、今後の香り選びのヒントにもなりそうです。
最終段階では、このデータを参照しながら試した香りの中で「好きの数字」が高かった商品をピックアップ。導き出されたおすすめの香りトップ○(人によって商品数が異なる)の中から、最終的にいちばん好きな香りを選びます。
好き嫌いの数字記入が終わると、これまでの結果を踏まえて「あなたが好きそうな香りのファミリー」と、好きの度合いが表示される
私はフレデリック マル「ポートレイト オブ ア レディー」、カーナー パルセロナ「マルベリャ」、ペンハリガン「ハルフェティ」がレコメンドされました
今回私は「カーナー バルセロナ(Carner Barcelona)」の「マルベリャ」を購入(160ユーロ、約2万4900円)。このブランドはスペインで代々革職人を受け継ぐ家系のサラとホワキムのカーナー姉弟が2010年にバルセロナで設立。バルセロナが持つ芸術や建築のカルチャー、地中海の活気あふれるムードをフレグランスに落とし込んでいます。商品開発・製造もバルセロナで実施。ヨーロッパを中心に30ヶ国以上で展開し、アジアでは韓国に進出しています。
マルベリャは「地中海での夢」をテーマにした三部作「DREAM COLLECTION」の中のひとつで、アンダルシア地方のリゾート地が商品名になっています。マルベリャの快活でプレイフルなムードを表し、ピンクペッパーやブラックカラント、ジャスミン、ピオニー、グリーンティー、ムスクなどが組み合わされたアロマティックフルーティな香りに。
スタッフに聞いてみたところ、私の好みのトップに上がっていた「シプレ」は、ベルガモット系の柑橘系の爽やかな香りとオークモスなどの深みを掛け合わせたものが多いため、柑橘ではないものの爽やかさとムスク系の深みが混ざり合ったマルベリャには似ている要素があるとのこと。自力ではなかなかたどり着けない商品と出合えるのは新鮮でした。
使用遍歴や好みの香りのファミリー、レコメンドされた商品、購入した商品のコンサルテーションデータはオンラインに保存されているので、後から自宅で確認することが可能。別のタイミングにフレグランスを選ぶ時にも参考として使えます。パリを訪れる機会があれば、自分の好みに向き合えるノーズにぜひ足を運んでみて。
おまけ:王道には飽きた人に贈る、パリの注目フレグランスショップ!
シャンゼリゼ通りやサントノレ通り、カンボン通りといったパリが誇る中心街には、名だたるメゾンのフレグランスショップが店を構えています。日本とは異なる趣向でラグジュアリーを尽くした店舗ももちろんここでしかできない貴重なものですが、ここでは王道のフレグランスブランドに少し飽きた人におすすめしたい2つのショップをピックアップ。
■ファッションフリークが集結!ドーバーのビューティ専門店「DOVER STREET PERFUMS MARKET」
「DOVER STREET PERFUMS MARKET」は、「ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)」が2019年にフレグランスやコスメに特化した新業態としてマレ地区にオープン。他店舗と同様に「ビューティフルカオス(美しき混沌)」をコンセプトに掲げ、川久保玲がディレクションしています。
1階と地下の2フロアで構成し、店内のいたるところにアートを展示。柱を覆ったファブリックはテキスタイルアーティストのマグダ・セイエグ(Magda Sayeg)が手掛け、マネキン作品は「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」のショーで長年ヘアを担当しているジュリアン・ディス(Julien D'ys)によるもの。店内BGMは、他店舗と同じくアーティストのカルクス・ヴィーヴ(Calx Vive)が担当しています。
なかなか日本でお目にかかれないブランドや、ファッションブランドのフレグランスやボディケアなどのビューティ製品がずらり。メイクアップアーティスト イサマヤ・フレンチ(Isamaya Ffrench)による「ISAMAYA BEAUTY」や「クレージュ(Courrèges)」のフレグランスも取り扱っているほか、「グッチ(GUCCI)」や「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™)」のビューティコーナーがありました(2023年11月時点)。
■DOVER STREET PERFUMS MARKET
所在地:11 Bis rue Elzévir 75003 Paris
営業時間:11:00〜19:00
定休日:不定休
公式サイト
■あの韓国アイドルともコラボ ライフスタイルブランド「LOLA JAMES HARPER」初の旗艦店
パリ発のライフスタイルブランド「ローラ・ジェームス・ハーパー(LOLA JAMES HARPER)」は、写真家や映画監督、ミュージシャンと多岐にわたって活動するラミ・メックダチ(Rami Mekdachi)が2013年にローンチ。数多くのフレグランスブランドでアートディレクションを手掛けてきたこともブランドの立ち上げにつながったといいます。フレグランスやキャンドル、ルームスプレーなどをラインナップし、各商品名は「213 RUE SAINT-HONORÉ(サントノレ通り213にあったコレットに着想)」や「THE COFFEE SHOP OF JP(パリのコーヒーショップ)」など、リアルライフの舞台となる「場所」の名前が付けられています。デビュー時は、今はなきパリの名店「コレット(colette)」で発売し、記録的なセールスを打ち立てたそう。
海外ではコレットをはじめ、パリを代表する百貨店「ル・ボン・マルシェ(Le Bon Marché)」やマレ地区のセレクトショップ「メルシー(Merci)」、韓国・ソンスのセレクトショップ「LCDCソウル」などともコラボ。日本では一部の商品を「ロンハーマン(Ron Herman)」や「ビームス(BEAMS)」などのセレクトショップで展開し、「グレイト(GR8)」とはコラボアイテムを発売したことも。とはいえ、日本で実際に試せる場は少なく、商品数も限られています。
最近では、K-POPグループ「SEVENTEEN」のジョシュア(JOSHUA)が愛用品のひとつにルームスプレー「9 THE COMICS STORE OF GEORGE(ニューヨーク8番街でのコミックストアでの思い出に着想)」を紹介したことで一気に韓国・日本からの注文が増えたとのこと。それがきっかけとなり、11月にはジョシュアとのコラボアイテムとしてキャンドルを発売。
そして今年11月、2区のルーヴル通りからほど近くにブランド初の直営店の旗艦店をオープン。店内にはラミが撮影した世界各地の写真や、フレグランスの香りのインスピレーションになった場所・モノの写真なども展示されています。店舗のオープニングはジョシュアとのコラボキャンドル発売とも時期が近く、彼もオープン記念に駆けつけてくれたそうです。
■LOLA JAMES HARPER
所在地:78 Rue Jean-Jacques Rousseau, 75001 Paris
営業時間:12:00〜19:00
定休日:月曜
公式サイト
(企画・編集:平原麻菜実)
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