二宮啓による「ノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya)」は10月4日、2022年春夏のフロアショーを東京・南青山のコム デ ギャルソン本社で開催した。キーワードは「陰影で表現する黒」。ブランド名にも冠しているノワール(=黒)を奥行きや影といった異なる概念で捉え、ベージュをメインに多彩でエレガントなクリエイションを見せた。
多彩なベージュ、チュチュのシルエット
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ファーストルックは、バレエ衣装のチュチュを連想させるドレス。ワイヤー状の骨組みにベージュのオーガンジーやビーズが編み込まれ、無機質と可憐さが同居する。持ち味である緻密な技巧は今季も健在で、素材の表情がさらに豊かに。チュールを絞りやスモッキング刺繍などで立体的にアレンジしたドレスや、ロープやリボン、金色の糸をファーのように刺繍した素材、麻を使った織物など、新たな素材と加工のテクニックが光る。
「ノワール ケイ ニノミヤ」2022年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP
ブランドロゴをテキスタイルに
中盤にはブランドとして初の試みだというロゴをプリントアイテムが登場。花を象ったり、フリルにしたりと立体的に装飾したほか、シャツやレギンス、オーガンジーのドレスなどにも応用した。
「ノワール ケイ ニノミヤ」2022年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP
前シーズンに引き続き、金属を使ったウエアやアクセサリーにも取り組んでいる。終盤には、極細の骨組みだけで仕立てられた究極にミニマルなドレスが登場。「そこに布がなくても、線だけで存在感やエネルギーを生むことができるものを作りたかった」と二宮が語る通り、圧倒的な存在感を放っていた。
靴にもアクセサリーを
足元は協業を続けてきた「チャーチ(Church's)」のシューズ。今回はコラボレーションアイテムではなく、ブランドオリジナルのシューハーネスを上から被せて、靴専用のアクセサリーとして提案している。
バレエとモノ作りの共通点
コレクションのラストを飾ったのは、ファーストルックとは打って変わって骨組みのみとなったチュチュ。二宮は「自分の体を律した上で限界まで美の表現を求めていくバレエは、深く強いものを求めていくモノ作りと通ずるものがあると感じる」という。儚く繊細な美しさの裏にあるストイックな精神性は、バレリーナとデザイナーの共通点とも言える。極限まで突き詰める二宮の変わらぬ姿勢と"黒ではないノワール"の表現が、服作りの新たな扉を開けた。
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