Image by: FASHIONSNAP
コロナ禍の学生生活を経て、歴史的円安や物価高など大きな壁が立ちはだかる新社会人生活──シビアな社会情勢下でファッション業界に飛び込んだ新卒社員はいま何を思う? FASHIONSNAPでは、ファッション業界の今年度の新社会人291人にアンケート調査を実施。初任給の使用用途からファッション観、将来の目標まで、リアルな一面を深掘りします。
◾️ご協力いただいた企業
オンワードグループ、ビームス、ベイクルーズ、マッシュグループ、ワールド、ユナイテッドアローズ、三陽商会、TSIグループ
◾️回答者の属性
性別:女性(74.2%)、男性(24.1%)、無回答(1.7%)
出身地:関東(45.7%)、近畿(19.7%)、中部(16.6%)、北海道・東北(6.9%)、九州・沖縄(6.9%)、中国・四国(4.2%)
◾️集計期間
2024年5月13〜20日
目次
ADVERTISING
基本情報:24卒の平均初任給は?
23万5900円*
人口減少に伴う人手不足や、物価上昇に起因した賃上げの動きなどを受けて、初任給引き上げに動く企業のニュースが多く聞かれる昨今。労務行政研究所は、東証プライム上場企業152社の四年制大学卒者の平均初任給は昨年度比5.4%上昇し、23万9078円だと発表しています。ファッション業界でも賃上げに取り組む企業が多いことから、全産業の中でも平均的な数値となりました。
*7社平均(1社非回答)。一部企業は四大卒初任給を参照。これに加えて別途各種手当が支給される会社も。
Q1. 初任給で何買った? or 何買う?
※複数回答可
第1位:自分へのご褒美に服や靴、財布などを購入
第2位:家族に食事をご馳走する
第3位:家族に服や服飾雑貨をプレゼント
「自分へのご褒美」と「家族へのプレゼント」の回答はほぼ同数で、「自分には服を、家族には食事や服をプレゼントする」という回答が多数。服や食事に次いで多かったのは「家族旅行のプレゼント」や「友人との旅行」といった旅行関連でした。そのほか、「卒業旅行費のクレカ支払い」「家賃」といった現実的な回答も。初任給で「新しい習い事を始めた」という人や「美容医療」「ダンベル」など自身の美容や健康に投資するという人も見られました。
Q2. 好きなファッションブランドは?
※複数回答可、自社オリジナルブランドを除く
第1位:メゾン マルジェラ、コム デ ギャルソン
第3位:オーラリー、シスタージェーン、ラルフローレン
複数回答可という条件の中で、ラグジュアリーから気鋭の若手まで、幅広い269ブランドに票が分かれた好きなブランドランキングでは、昨年1月に慶應大学生を対象に実施したアンケートでも高い人気を見せた「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」と「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」が1位を獲得しました。3位は、ロンドン発のウィメンズブランド「シスタージェーン(SISTER JANE)」、岩井良太が手掛ける「オーラリー(AURALEE)」、「ラルフ ローレン(Ralph Lauren)」がランクイン。
◾️その他の回答
<ラグジュアリーブランド>
「サンローラン(SAINT LAURENT)」
「ディオール(DIOR)」
「ジル サンダー(JIL SANDER)」
「プラダ(PRADA)」
「ドリス ヴァン ノッテン(Dries Van Noten)」など
<デザイナーズブランド>
「ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)」
「トゥデイフル(TODAYFUL)」
「シモーン ロシャ(Simone Rocha)」
「フェティコ(FETICO)」
「マーティンキム(Matin Kim)」など
Q3. 好きなファッションデザイナーは?
※複数回答可
第1位:川久保玲(6票)
第2位:シモーン・ロシャ、田中大資(5票)
好きなファッションデザイナーで1位に輝いたのは、好きなデザイナーズブランドランキングで最も高い人気を見せたコム デ ギャルソンの創設者である川久保玲。2位には、好きなブランドランキングでも票が入っていたシモーン・ロシャ(Simone Rocha)と、2024年秋冬コレクションで初のランウェイショーを開催した「タナカ ダイスケ(tanakadaisuke)」のデザイナー 田中大資に票が集まりました。
◾️その他の回答
ミウッチャ・プラダ、ラフ・シモンズ、山本耀司、マシュー・M・ウィリアムズ、故三宅一生、ガブリエル・シャネル(いずれも4票)
Q4. お気に入りのショップや街はどこ?
※複数回答可、自社運営は除く
【ショップ部門】
第1位:古着屋・ヴィンテージショップ
第2位:ルミネ系(ルミネ、ルミネエスト、ニューマンなど)
第3位:ユナイテッドアローズ
古着ブームも後押しし、古着屋が首位を獲得。ビームスやスナイデルなど、回答者から人気の高いブランドが多く入居するルミネも高順位に。自社運営店舗以外という条件ながら、他社の回答者からの票が集まり、3位にはユナイテッドアローズがランクイン。
惜しくもトップ3は逃しましたが、「ヌビアン(NUBIAN)」「グレイト(GR8)」「リトマス(LITMUS)」といった、独自色の強いセレクトショップにも根強いファンが多く、合計すると2位に相当する票数に。高感度ショップで気になるブランドをリサーチする一方で、メルカリなどのフリマサービスやハードオフ、「セカンドストリート(2nd STREET)」といったセカンドハンドショップで古着の掘り出しを探すなど、懐事情を考慮してこだわりのアイテムを手に入れる傾向も見られました。中には、店舗を持たないブランドをポップアップを巡って探したり、Instagramで見つけたブランドをDMで購入するといった探究者も。
【街部門】
第1位:原宿
第2位:新宿
第3位:渋谷
1位、3位は、ブランドの旗艦店やセレクトショップが立ち並ぶ原宿・渋谷エリア。中でも、古着屋がある人が多いようです。オフィスからのアクセスもよくファッションビルが多い新宿エリアは2位にランクイン。
Q5. 1ヶ月の被服費は?出勤服のこだわり
約半数が1ヶ月の被服費を1万〜3万円と回答。5万円以上かけているという人も約15%と高く、ファッションへの熱意を感じます。
◾️出勤スタイルのこだわりは?多かった意見をピックアップ!
・毎日違うスタイリングをすること
・その日のテーマやテーマカラーを決める
・店頭に立った際に、お客様に新しい提案ができるような、意外性のある組み合わせに
・動きやすさを重視
・担当ブランドのアイテム、世界観にあったスタイリング
・色使い(差し色を必ず取り入れる、全身の色は3色まで、黒で統一、など)
・ブランドのアイテムに古着などを組み合わせて独自性を出す
・メイクと服の雰囲気を合わせる
Q6. 3ヶ月以内に買った一番高いアイテムは?
最高額:歯列矯正 75万円
最高額は歯列矯正のための75万円、2番目は中古車(50万円)でした。初任給で自分へのご褒美としてファッションアイテムを購入した人が多かった通り、大半の回答を占めたのはファッション関連アイテム。その中では、「リック・オウエンス(Rick Owens)」のシューズ(19万円)が最高額でした。大学の卒業旅行や、電子機器の買い替え、自分へのご褒美に好きなブランドのアイテムを購入するなど、生活の変化に応じた高額な出費が多かったようです。
Q6. 将来の希望年収と5年後・10年後の目標
将来の希望年収:800万円(中央値)
希望年収の中央値は、800万円。最も多い回答は、38人が回答した1000万円となりました。「自分の働きに見合った金額」、「お金は特に気にしません」、などやりがいを主体にした謙虚な意見も。ちなみに国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、年収が1000万円を超えている人たちは全体の5.4%。平均給与は458万円だそうです。
◾️目標は?
<5年後>
「店長になる」「今のポジションのエキスパートになる」など、より周囲から頼りにされる存在になることを目指しているという人が多数。また、希望の職種へのキャリアチェンジできるように成果を上げたいという意見も多く見られました。
<10年後>
新しい事業を立ち上げる、部下を持ち責任のある立場にあること、私生活と両立した働き方、独立してブランドや企業を立ち上げる、有名店員としてブランドや会社の顔になる、など、自分のキャリアプランや人生の目標を10年かけて目指していきたいという感覚の人が多いようです。
おまけ:気になるコト
※複数回答可
好きなYouTubeチャンネルは?
第1位:東海オンエア
第2位:あさぎーにょ
第3位:レイクレ(Lazy Lie Crazy)
◾️番外編:ファッション・ライフスタイル系
第1位:シトウレイチャンネル、アオイの。(イハラアオイ)
第2位:Kのファッション部屋、ハルキの古着、STAY IN BED(菊乃)、peep inside head(柴田ひかり)
YouTubeの好みでは、エンタメ系に特に人気が集まっている模様。ファッションやライフスタイル紹介系のアカウントの中には、インフルエンサーに限らず、独自のスタイルを発信することでじわじわと人気を集めているアカウントもランクイン。
いま一番興味のあるニュース
第1位:円安・物価上昇
第2位:大谷翔平関連、スポーツニュース
第3位:高橋一生さんと飯豊まりえさんの結婚、ケンドリック・ラマーVSドレイク
光熱費や生活必需品の価格高騰もさることながら、様々なブランドのアイテムも日々値上がりを続けている現状、圧倒的に気になるのは終わらない円安問題の行末という結果に。次いでは大谷翔平選手や久保建英選手といった世界で活躍する選手たちの存在や、世間を騒がせた水原一平氏の事件など、話題の絶えないスポーツ関連のニュースでした。第3位は芸能人の結婚やアーティストの対立といった、アンケート集計時に話題になっていたエンタメ関連の内容。このほか、ウクライナ侵攻やアメリカ大統領選挙、SHEINの労働問題といった世界のニュースも票を集めました。TOKYO BASEの賃上げやいっちょさんのホストクラブのクリエイティブディレクター就任、ディオールと「ストーンアイランド(Stone Island)」の初コラボなど、ファッション業界のニュースに注目している人も多いようです。
ADVERTISING
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境