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【ネタバレ注意!】もっと、「ハウス・オブ・グッチ」の話
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ここからは、同い年編集部員である「フルカティ」と「マサミーヌ」による、ネタバレありきのゆるい座談会をお届け。「ハウス・オブ・グッチ」観劇後の余韻に浸りながらゆる〜くどうぞ。(本当にゆるいです!)
普段はアートやカルチャー関連のほか、東京のデザイナーズブランドなどを担当。海外ドラマ「ガールズ(GIRLS)」でアダム・ドライバーにガチ恋した大学1年生の冬。ガチ恋は継続中です。
マサミーヌ:フルカティは、パトリツィアが最初から権力と財産目当てでマウリツィオに近づいたと思った?それとも「そこには愛があった」と思った?
フルカティ:難しい問いだね……。パトリツィアとマウリツィオが初めて会うパーティーのシーン。バーテンダーと間違えてマウリツィオにお酒をオーダーしてしまった後の雑談は、相手に興味がないと続かないたわいもない会話で「恋だな」と思った。ただその後、マウリツィオのフルネームを聞いた時の顔色の変わり方は恋ではなかったね(笑)。
マサミーヌ:たしかに「マウリツィオ・"グッチ”」と聞いた時のパトリツィアは、獲物を狙う目だった(笑)。
フルカティ:そうそう。でもパトリツィアが魅力的なのは、ずっと「獲物を狙う目」ではないところだと思う。パーティーでマウリツィオと出会った数分間で生じた「恋と財力の間で揺れ動くパトリツィア」というのは全編を通して感じたんだよね。「レディー・ガガの演技力すごー!」と思った理由でもある。
マサミーヌ:なるほど。私は「財産と恋の間で揺れ動くパトリツィア」を2時間半見続けていたら、途中で何が真実なのかがわからなくなったんだよね。「あの恋をしているような目すらも、マウリツィオという自分の上昇志向を実現する道具を手放さないための演技なのかな?」と疑ってしまう自分もいて。
フルカティ:その見方をすると急に怖いね(笑)。
マサミーヌ:でも冷静に考えてみると、再会を装って待ち伏せしたり、押しが強いパトリツィアにたじたじしているマウリツィオに「私をデートに誘わないの?」と聞いたり、バイクのフロント窓に口紅で自分の電話番号を書いたり……。ちょっと怖くない?
フルカティ:そうだね。マウリツィオが少しでも「恋愛」みたいなものに慣れていたら「この子、俺に惚れて待ち伏せしていたんだな」と思うんだろうけど、マウリツィオは「また会えた!」って本当に嬉しくなったんだろうね。
マサミーヌ:マウリツィオが抱くパトリツィアへの印象が「随分と強引でぐいぐい来る女性だな」から「彼女といるとすごく楽しい!」に変化していく過程が手にとるようにわかるのが面白かったよね。
フルカティ:実在するパトリツィア・レッジアーニはどうかわからないけど、少なくとも劇中のパトリツィアは魅力的だよね。自分に自信が持てない時にそばにいて欲しい人というか……。マウリツィオも「自分の弱い部分を補ってくれる心強いお姉さん」と思っていたんじゃないかな。
マサミーヌ:それは夫婦の関係性が悪くなった時、グッチの経営に携わるようになったマウリツィオに「あんたが出来なかったことは、全部私が教えてやったのよ」というパトリツィアのセリフにも繋がる。
フルカティ:実際に劇中でマウリツィオはパトリツィアと別居した後に「経営者としての才覚はない」とブランドの経営陣からは外されるわけだし。
マサミーヌ:ジャック・ヒューストン(Jack Huston)演じる、グッチの法律顧問で、その後サザビーズの会長になるドミニコ・デ・ソーレがトム・フォードとグッチを”乗っ取る”とわかった時、マウリツィオは「彼女は(あなたが裏切ると)見抜いていた」と言ったのも印象的だった。
フルカティ:その一言も、マウリツィオとパトリツィアの関係性を振り返ってみると、いかにマウリツィオがパトリツィアの多少強引なところに助けられ、魅力を感じていたのかがわかる良いシーンだった。
マサミーヌ:意外と「様々な種類の愛」を描いている作品なのかも。パトリツィアは、マウリツィオを愛していたし、「グッチの商品を守りたい」というブランドへの愛もあったのかな、と。
フルカティ:アルドに市場でパチモンが出回っていることを教えるシーンがあったね。あそこは確かに「ブランドへの愛」を感じたかも。
マサミーヌ:一方でグッチの製品、ひいてはグッチ家の権威が脅かされることを嫌がった、という見方ができるから難しいよね(笑)。「愛する夫の名声や家紋が汚れるし、侮辱的に感じるから廉価版の販売には反対した」というか。
フルカティ:鑑賞者によって「この台詞は愛ゆえなのか、権力を欲するが故なのか」が変わりそうだよね。
マサミーヌ:「パトリツィアは"権力への愛"に忠実だった」という言い方もできそうだけど……。
フルカティ:あなたがパトリツィアの純粋な愛否定派なのはよくわかった(笑)!
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