ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)が手掛ける「ミュウミュウ(MIU MIU)」は、「IN TRANSLATION」と題した2023年春夏コレクションをパリファッションウィークで発表した。タイトルは日本語で、"変換中"や"翻訳中"を意味する言葉。「ファッションは、現実に対する反応を物質的な形に変換する手段」とし、ファッションの装飾性や実用性をミュウミュウ流に再解釈して見せた。
未知のリアリティを表現した空間
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「未知のリアリティを表現した」というショー会場は近未来的な空間。演出はミウッチャと協業を続ける、建築家のレム・コールハース(Rem Koolhaas)率いるOMAの研究機関AMOが担当し、パリ16区のイエナ宮をダークルームに変えた。中国出身アーティストのシュアン・リー(Shuang Li)にフィーチャーし、月や風力発電機、サメといったデジタルアートを会場のスクリーンに投影。電線をイメージしたという太い管が椅子の代わりとなった。
ぴったりとしたカットソーの重ね着
ショーの序盤は、ぴったりとしたシルエットのカットソーのレイヤードスタイル。ライトグレーやライトベージュなどのニュアンスカラーのトップスが弛みが出るように重ねられ、首元のブランドタグがポイントに。アウトドアウェアやスポーツウェアを彷彿とさせる軽やかなナイロンジャケットやコート、ドレスなどがキーアイテムとなった。前シーズンに引き続き性別を問わないモデルのキャスティングで、自然にジェンダーを超越していく。
機能と装飾の境界を越えるポケット
ショーが中盤に差し掛かると、大きなポケットのディテールが多出。実用的な機能と装飾の境界を越える象徴的なディテールとして、アウターやスカートに大胆にあしらった。2022年春夏と2022年秋冬の過去2シーズンにわたり提案してきたシャツやセーター、テーラードジャケットなどのベーシックスタイルを踏襲しながら、ハードレザーやむら染めのデニムが加わった。
シルエットについても、ミュウミュウが打ち出してきたトレンドスタイルを継続。ローライズのボトムスやマクロミニスカートからショーツを覗かせるコーディネート、またお腹を大胆に見せるクロップドトップなどが、新たなアレンジで提案された。
後半のキーアイテムは、クリスタルをあしらった透け感のあるドレスや、胸にバックルを施したブラトップ。終盤はミュウミュウ流のドレッシーなスタイルをモノトーンで表現した。
フレッシュで個性豊かなモデルたち
ショーでは、フレッシュで個性豊かな顔ぶれのモデルたちにも注目が集まった。ファーストルックを飾ったのは、俳優ユアン・マクレガー(Ewan McGregor)の次女の娘であるエスター・マクレガー(Esther McGregor)で、ラストルックは、英国の人気歌手のFKAツイッグス(FKA TWIGS)。他にもビョーク(Björk)とマシュー・バーニー(Matthew Barney)の愛娘であるイザドラ・バーニー(Isadora Barney)、そしてリンジー・ウィクソン(Lindsey Wixson)やエミリー・ラタコウスキー(Emily Ratajkowski)、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)といった人気モデルらも着こなした。
また24歳のアメリカのシンガーソングライターであるエセル・ ケイン(Ethel Cain)もいれば、50歳の歌手シビル・バック(Sibyl Buck)や、48歳の映画監督、俳優としても知られるミランダ・ジュライ(Miranda July)など、幅広い年齢層のモデルたちがランウェイを歩いた。
オープントゥブーツとポケットバッグがポイントに
シューズは、オープントゥのトングブーツがスタイリングのポイントになった。ショートとロング丈で、カラーはブラックやホワイト、ブラウン、ネオンピンク、イエロー、グリーンなど種類豊富。アッパーにコインを装飾したローファーもクラシカルでエレガントだ。
バッグは2つの大きなポケットが付いたウェストポーチをはじめ、スクールバッグのような横長のハンドバッグも、カラーバリエーション豊富に登場。ヘアアクセサリーでは、ブランドロゴ入りのスポーティーなヘアバンドも新鮮だった。
ミュウミュウは、2022年春夏にローライズのミニスカートや、クロップドのシャツなどのY2Kスタイルを打ち出してから、2022年秋冬、そして今季の2023年春夏とシルエットやアイテムを踏襲し、三部作とも言えるようなコレクションを見せている。人気スタイリストでコンサルタントのロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova)によるヘルシーな肌見せと、フェティッシュを感じさせるスタイリングも奏功。ベーシックなスタイルを軸にしながらも、ミウッチャがミュウミュウで得意とするガーリーな若々しいデザインも際立ち、ラフ・シモンズ(Raf Simons)と一緒に手掛ける「プラダ(PRADA)」との差別化もしっかり図れている。今季もアイコニックなアイテムに溢れ、オンシーズンにはたくさんファッションニスタたちの着用が見られるに違いない。
会場には、少女時代のユナやIVEのウォニョンをはじめ、ミラ・ジョヴォヴィッチの愛娘エヴァー・アンダーソン、モデルのアジョワ・アボアーやカミーユ・ロウ、アレクサ・チャンらが来場。日本からは紗栄子やAMIAYAの姿もあった。
IVEのウォニョン
Image by: MIU MIU
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