Image by: Shun Komiyama
ファッションの世界でも活躍する若き写真家を紹介する連載「若き写真家の肖像」。2人目は合同展示会「ルームス(rooms)」で作品展示を行なった27歳の写真家・小見山峻。














−生まれは?
神奈川県横浜市生まれです。小さい頃はよく喋る子どもでしたが、高校くらいからものすごくおとなしくなりました。たぶん一生分喋りきったんだと思います(笑)。
−慶應義塾大学出身。
普通すぎてちょっと恥ずかしいんですが、大学時代はテニスサークルをずっとやってましたね。副代表をしたり、週6くらいで真面目に練習しつつ、遊ぶときは遊ぶという感じでした。
−写真はいつから?
3年前から始めました。もともと散歩とか出かけるのが好きで、1人で知らない駅に降りて2、3時間歩き回ったりするんですよ。それでカメラがあったらもうちょっと散歩が充実するかなと思い、安い型落ちのデジイチを買ったのが最初ですね。
−都内のオススメ散歩ルートは?
池尻から駒場東大前のルートがおすすめです。大井埠頭周辺もいいですね。
−散歩の何が楽しい?
なんでしょうね。まあ知らない場所を知るっていうのが単純に面白いのと、あとは自分が住んでいる街がここ20年くらいで開発された新興住宅街で趣きがなくて。都内でも下町とかに行くと、やっぱりその街の雰囲気とか空気があるじゃないですか。歩き回るとそれを感じ取れて楽しいんだと思います。
−風景を撮るように人を撮る
人を撮るときも"人のいる風景"を撮っているんだというイメージを強く持つようにしています。ポートレートになるとその人主体で考えて撮ることが多いと思うんですが、僕の写真は空間ありきで、そこにどういう風に人がいたら面白いかとか、どういう表情だったらその場所に馴染むだろうかと考えて撮影しています。ファッションで写真を撮るときも、そのシーズンのテーマを聞いて、人と場所と服とがマッチするようなヴィジュアルを撮ることを第一に考えています。
−場所の選定はどうやって?
抽象的なことを言われるときはいくつか候補を探してきて提案するようにしています。例えば「レンガがあるところがいい」と言われると、神田を散歩しているときに見つけたスポットをすすめてみたり。ある意味、ロケハンをしながらイメージ組み立てているときが一番楽しいですね。
−今年の頭から半年間プロのカメラマンのアシスタントになり、8月の終わりに独立。
ライブ等の撮影をメインにされているカメラマンさんのアシスタントを経験しました。ライブの撮影はもちろん、小学校の運動会からポートレートと、撮影の幅が非常に広い方だったので、色んな現場を見ることができました。自分自身の活動に本腰を入れたかったのでたった半年で辞めてしましましたが、とても濃い経験でした。やる前と後では、仕事に対する姿勢もかなり変わったと思います。
−アシスタント時代の給料はいくら?
0円です。でも昼食代だけは出してくれました。実家住まいだからよかったですが、一人暮らしではとてもじゃないですが生きていけないですね。今まで買った服を売ったりしながらやりくりしていました。
−独立してからの仕事について。
「パラドックス(PARADOX)」のルックや、ナタリーストアで展開された水曜日のカンパネラのグッズの撮影を担当しました。
−水曜日のカンパネラの撮影はどこからオファーが?
自分でナタリーに「最近独立したんですけど写真みてくれませんか」と電話して、データ送ってという営業活動からで(笑)。
−ウェブメディアからの仕事依頼が増えている?
FASHIONSNAPは社内にカメラマンがいるので関係ないかもしれませんが、ウェブメディアは基本カメラマンを抱えていないところも多いので、若手カメラマンに依頼する割合も比較的多いのかと思います。インタビューの撮影とか、単発ですし、もちろん単価はも安いですかもしれませんが、そのぶん数をこなせて勉強にはなります。先輩のカメラマンが「最初はウェブメディアの仕事がいいんじゃない?」と教えてもらったこともありますし、結構若手のカメラマンはウェブを狙っていると思います。
−紙(雑誌)の仕事は?
「warp magazine japan」に掲載させてもらったりとか。まだまだなので、今後増やしていきたいと思っています。女性誌もどんどんやっていきたいですね。
−手応えがあった撮影はどういうとき?
撮りながらその場で画面を全く確認せずに、ロケーションと撮影の空気感を見て、「最高だな」って思えたときはだいたい良い写真撮れてる気がします。
−良い写真の定義とは?
視覚的な要素以外のものが見えるような写真が良いと思いますね。例えばライブの写真だと、写真から音が伝わってくるということがあって。バンドの人たちのテンションに合った撮り方があって、そこがうまく噛みあうと、なんとなくこういう音楽なんだろうなというのがわかる。ポートレートやファッションでも、聴覚や嗅覚といった視覚以外の五感を刺激するような写真を撮っていきたいですね。
−被写体とのコミュニケーションはとるほう?
あんまりとらないです。というかとれないです。下手くそで(笑)。
基本的には自分が設定した場面の上で、イメージとか温度を伝えて、あとはモデルの子に勝手に動いてもらって撮影するというスタイルが多いですね。もともとそんなにハッピーな写真が好きじゃなかったりして。ポートレートだと被写体と距離感つめることこそが正義という風潮があると思うんですが、僕の場合は被写体と距離感を持って、冷たく扱ってつき離し、その空気感を写真に収めることが多いですね。
−撮影するときにテーマ曲を決める。
曲をヘアメイクさんやスタイリストさん、モデルさんに聞いてもらって、こういうテンションでやりたいということを共有してもらうようにしています。いい作品を作ろうと思うとどうしてもヘアメイクやスタイリングに関して思うところがでてきます。でもそれを僕がしてしまうとその人達にお願いする意味がなくなってしまうじゃないですか。だから音楽を聴いてもらって、大枠のイメージとテンションだけを共有してそれぞれが思ういいものを作り上げるという方法を採用しています。
−フィルム、デジタル両方撮る。
デジタルでしかできないことはたくさんありますし、フィルムでしかできないこともたくさんあるので、「どちらがいい?」といった議論にはあまり関心を持てなくて。自分が生み出したいものに合わせて使い分けることができるのが良い写真家の条件だと思っています。
−カメラは何を使っている?
Nikon D750、Nikon new FM2、現場監督、RICOH Auto Haif EF等ですね。
−近々の仕事について
よくライブの撮影をさせてもらっている「サチモス(suchmos)」や、ヒップホップチーム「サナバガン(SANABAGUN)」のライブ撮影があります。あと1月のにグループ展と個展の準備ですね。
−業界に対する不満は?
今はしっかりしたファッション写真のページがある媒体ってかなり限られていると思っていて。アイテムの紹介や一週間着まわしコーデといった企画が多い印象なのですが、そういったところも写真で一工夫すればもっと面白いページができると思っています。
−今後の目標について
まず認知されることですね。でも知名度を高めるために、SNSを頑張ったりとか、よく分からない写真以外の方法で努力するのは馬鹿馬鹿しいので。
まずしっかりと自分の写真を確立して色々な人に直接見てもらい、その結果仕事が生まれるというのが理想です。だからこのインタビューがも一つのきっかけになってくれればいいなと思っています。あと、文章を書くにも好きだったりするので、うまく写真と組み合わせて一つ、自分にしか作れないものを作りたいな、とかも考えています。















■Shun Komiyama(小見山峻)
1988年 神奈川県横浜市生まれ
2012年 慶應義塾大学経済学部卒業
2013年 文芸思潮エッセイ賞 社会批評賞佳作 受賞
2014年H>FRACTALにて、"Shun Komiyama" photo exhibition 開催
2015年 合同展示会roomsにて、「ART部」として招待展示
HP
■展示会
グループ展
・Art photograph group show フォトグラファーの視点:光と瞬 vol.26〜気鋭の写真表現者たち〜
日程:2016年1月12日〜2016年1月16日
時間13:00〜19:00 (最終日のみ 13:00〜16:30)
場所:RECTO VERSO GALLERY 東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2イノウエビル401
出展者:黒田敏之/菊池一彦/小見山峻/奥村恵子
個展
・Letter From República(個展)
日程:2016年1月23日〜2016年2月23日(予定)
場所:LIGHT UP COFFEE 東京都武蔵野市吉祥寺本町4-13-15
時間:10:00〜20:00(火曜のみ 12:00〜18:00)
= Self-Portrait For FASHIONSNAP =

■VOL.1 若き写真家の肖像 -草野庸子-
■VOL.2 若き写真家の肖像 -小見山峻-
■VOL.3 若き写真家の肖像 -小林健太-
■VOL.4 若き写真家の肖像 -高木美佑-
■VOL.5 若き写真家の肖像 -嶌村吉祥丸-
■VOL.6 若き写真家の肖像 -松永つぐみ-
■VOL.7 若き写真家の肖像 -トヤマタクロウ-
■VOL.8 若き写真家の肖像 -Takako Noel-
■VOL.9 若き写真家の肖像 -Yusaku Aoki-
■VOL.10 若き写真家の肖像 - Tseng Yen Lan -
■VOL.11 若き写真家の肖像 - 八木 咲 -
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