Jin Doggの7ルーツ【Behind the Creations】

Jin Dogg
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Jin Doggの7ルーツ【Behind the Creations】

Jin Dogg

 FASHIONSNAPが注目するクリエイターが、7つのルーツを紹介する連載。第2回は、ラッパーJin Doggのバックボーンを深掘りする。

1.人生に影響を与えた言葉

やるならやる。やらないならやらない。

 子どもの頃に親によく言われていたんです。サッカーをやらせてくれたり、テコンドーをやらせてくれたりしたんですけど、三日坊主のことが多くて、途中で辞めたときとかに。それから、ラップをやるようになって、「もうアルバム出すよ」とか口を切ってしまった際は絶対にやりきる。特にヒップホップの人は、口に出したことへの責任を持つみたいな傾向が強いんで。大人になるにつれて、面倒くさがるのは良くないなって学んで、やるって言ったら最後までやるし、やらないなら最初からやらないっていう。

 名前がちょっと売れてきて、めちゃめちゃライブに呼ばれるようになったんです。出るって言ったライブに怠いから行かないとかありえないじゃないですか。でも、たまに疲れてしんどいなっていうときもあるんで、そういうときによく思い出します。

2.人生に影響を与えた人

アメリカンスクールの友達

 影響を受けた人はいっぱいいるんですけど、強いて言うならアメリカンスクールでできた友達ですね。彼がギャングだったり、スラングだったり僕が知りたかったアメリカの文化を教えてくれたんです。英語の喋り方もイケていたし、髪型も、服の着方も教えてもらって、ツルんでた友達みんなで同じ髪型にしたり。他にも、テレビ番組からストリートの話まで本当に色々な話をしてくれました。彼の話を聞いて初めて「ニューヨークに行きたい」って思いました。

 ニューヨーク出身で、やんちゃしてた子なんで彼の先輩がギャングやったりするんですよ。だから、ニューヨークに行った時に彼に聞いたギャングの名前を出したりすると、現地の人に「よく知ってるな」って言われます(笑)。

Jin Dogg
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3.人生に影響を与えたアーティスト

ヌンチャク

 これまでラッパーとしてGファンクだったりブーン・バップだったり、1990年代に近い音楽を中心にやっていたんです。そしたら、XXXテンタシオン(XXXTentacion)とかラップにロックやハードコアの要素を混ぜたような音楽を作るアーティストが出てきて、そうした音楽を作っているときに知り合いに聞かされたのがヌンチャクの「都部ふぶく」っていう曲です。フックが8小節あるんですけど、8小節全てのフックが刺さったんです。僕も「こういうフック作りてぇ」って思ったんですけど、絶対無理やと思って。カバー曲を作るぐらい影響を受けましたね。

意味無く 酒飲み 暴れてた、
強けりゃ良いと 思ってた、
むかつく奴らをまちぶせした、
外道に 目の色 変えていた、
おまわり 見つかり 逃げ回った、
あの時はそれで楽しかった
あの時の自分が好きだった
今の自分はもっと好き

ヌンチャク「都部ふぶく」 歌詞一部抜粋

 めっちゃ素直なんですよ。だけど、ちょっとしたバイオレンス要素もあって、めっちゃ格好良い。8小節に好きなものが全部入ってて、「言いたいことを全部言ってくれた」みたいな気持ちにさせてくれたんですよ。当時はほぼ毎日聞いてましたね。

 カバー曲を出して少ししたらヌンチャク本人がライブを見にきてくれたんです。面白いと思ってくれたみたいで、クニさん本人が「公式で使って良いからね」って言ってくれてめっちゃ嬉しかったですね。気持ちの良い人で、ライブの後そのまま飲みに行って、一緒に曲も作りましたから。

 カバー曲を作ってから、シャウトしながらライブをするみたいなスタイルが明確に固まった感じがしました。好きなものが詰まったものに触れて、自分の方向性が一つ決まった感じです。

4.人生に影響を与えたもの

音楽

 音楽がなかったら何をやってたんやろうって感じで。絵が上手なわけでもないし、動画の編集ができるわけでもない、運動が得意なわけでもない。中高生の頃に友達とカラオケに行って、自分が書いてきたリリックを歌ってみんなで盛り上がってて、初めてみんなに「やばいな」とか「上手やな」って言われたのがラップだったんです。

 結構シャイな性格で、人前で歌うのとかあまり好きじゃなくて。カラオケでも一曲目歌い出すまでは勇気がいる。最初にライブしたのも小さなバーで、歌詞を飛ばさないようにリリック帳を目の前に置いていたのに、最後には歌詞を飛ばしてしまってDJブースで頭を抱えながら終わったんです(笑)。

 ジャンルで言うと、衝撃だったのはパンクロックやハードコア。全部ぶち壊して、何も関係ないみたいな雰囲気があるじゃないですか。子どもの頃とかは押さえ込む性格だったんです。ちょっと我慢しがちというか。それがハードコアを聴いて、スパンと爽快になったのを覚えています。ヒップホップは単純に格好良い。喋り方だったり、立ち振る舞いとかが初めて見るジャンルで。それまでテレビで見てたミュージシャンと全然違う雰囲気が格好良さを感じましたね。

Jin Dogg
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5.人生に影響を与えた物

ピアス

 中学生の頃にホームステイで半年間オーストラリアに行ってたんですけど、髪型とか服装を何も気にしてなかったから目を覆うくらい伸び切った髪型になってたんです。それを見たオカンがホームステイ先にブチギレて、僕に「散髪に行って、ピアスも開けてこい」って言ったんです。結局は韓国に戻ってから開けたんですけど、それから服装にも気をつかうようになりましたね。服に興味がないから何処かに出かけたついでに親に服を買ってもらってたんですけど、ピアスも開けたしもうちょっと格好良い服を着てみようかなって、一人で服を買いに行くようになりました。

 中学生のときは耳が垂れるのが格好良いなと思って、坊主にしてガラスのデカいやつを着けて。高校生になってからは、ガラスがダサいかもなと気が変わってフープピアスを着けるようになりました。それからずっとフープピアスだったんですけど、友達でDJのfuji trillが今年の誕生日にダイヤのピアスを買ってくれて。ラッパーになったらいつかダイヤのピアスを着けたいなと思っていたので一つの夢が叶った感じです。まあ、そのダイヤのピアスは片方失くしちゃったんですけどね(笑)。

6.人生に影響を与えた映画

友へ チング

 チングは韓国で大ヒットした18禁の映画です。当時、観客動員記録を達成したり、テレビでもずっとチングの話をしていたり、歴史的にも大ヒットした作品なんです。でも18禁なので映画館には見に行けないし、人気でずっと映画館で上映しているからレンタルビデオ屋にも全然並ばなくて。しばらくしてから、やっとレンタルビデオ屋にも並ぶようになって、親と一緒に見たのを覚えています。

 最初に見たのは小学校高学年で、正直何が何だかわからず、喧嘩している理由もわからないけど、生々しいリアルな映画というイメージでした。それから、ある程度成長して、自分も友達とかができてから見るとめっちゃ面白くて。大人になってから見るともっと理解できることが増えて、さらに面白さがわかって、結果的に感情移入して涙を流しましたね。チングを見始めてからヤクザ映画にハマって、アンダーグラウンドな映画をめちゃめちゃ見ていた時期もありましたね。その頃は「大人になったら組長になりたい」って言ってました(笑)。

ポケットいっぱいのなみだ(Menace II Society)

 アメリカンスクールにロサンゼルスから来てる人がめっちゃ多かったんです。ニューヨーク出身の人もいましたけど、ほとんどがロサンゼルスの子たち。それで、「ポケットいっぱいのなみだ」はロサンゼルスの子たちは全員見る映画と教えてもらって、友達と一緒に見た映画です。ロサンゼルスのギャングの映画なんですが、ファッションスタイル的にも、掟を守る姿とかも凄く格好良い。

 アジアのアンダーグラウンドな映画って歌舞伎町にある組の事務所で起きる問題の話とかが多いですが、アメリカは街全体で活動していて、地元がそういう世界観の街みたいなこともある。それから日本に帰ってきて出身の生野区のことを調べたら、コミュニティで生活している感じだったり、リンクするものを感じて。街のみんなと仲良くなっていって、その街の人間だと認められていくみたいな。それから、プライドができてきて、地元を誇れるようになりました。

韓国料理を食べるJin Dogg
韓国料理を食べるJin Dogg

7.人生に影響を与えた場所

アメリカンスクール

 アメリカンスクールに通っていた経験が自分の中で凄く大きいですね。アメリカの帰国子女が多かったんですが、彼らはマインドがほとんどアメリカ人なので週末はクラブに踊りに行くみたいな感じなんですよ。僕も帰国子女コミュニティで遊ぶことが多かったので、そこで彼らの遊び方を学んで。他にもメキシコ料理の食べ方だったり、スペイン語だったり、本当に色々な文化を教えてもらいました。それからアメリカに行ってみたいと思うようになりましたし、実際に行って凄く色々な経験もできました。

plus 1.近々の活動について

 10月から11月にかけて身内のプロモーションツアーを行います。そして、12月と1月に東京と大阪でそれぞれ2Daysのワンマンをします。ワンマンは初めてですし、コロナで一回全部なくなっちゃたので待望のですね。チェックお願いします。

Jin Dogg
Jin Dogg

Photography:Suguru Tanaka
Creative Direction:Kohei Suda(Peeps)
Text&Edit:Shinya Hayashi
Sponsorship:atmos

■Jin Dogg
1990年生まれ、大阪府生野区出身。両親は韓国人の在日3世。幼少期〜学生時代を日本、韓国、オーストラリアで過ごし、日本語、韓国語、英語のトリリンガルである。
10代からヒップホップを聴き始め、2010年代前半から自身もラップを始める。2016年に大阪のヒップホップ・コレクティブ:Hibrid Entertainmentに加入し、精力的に楽曲制作、ライヴ活動を展開。ダーク且つアグレッシヴなTRAPスタイルからエモーショナルに歌い上げる繊細な楽曲までそのスタイルの振れ幅は大きく、国内外から高い人気を得ている。ヒップホップ業界関係者からの評価も高く、客演オファーの数は現役ヒップホップ・アーティストではトップクラスの多さを誇る。また、全身の力を振り絞るかのような圧巻のライヴ・パフォーマンスにも定評があり、1年を通してライヴ・オファーが途絶えることはない。
2023年現在は自身主宰のレーベル:Dirty Kansaiを立ち上げ、ニュー・アルバムを制作中。

SNS:Instagram/Twitter

■アトモス(atmos)
SHOP名である“atmos”は、atmosphere(大気)から由来し、大気のようにそこにあって当然のようなSHOPでありたい。“atmos”は2000年、東京・原宿にヘッドショップをオープン。ファッションとしてのスニーカーをテーマに、店内はスニーカーウォールを設置。ナショナル ブランドとのコラボレーションやエクスクルーシブモデルをはじめ、最新プロダクトのテストローンチやマーケティングなど東京のスニーカーカルチャーを世界に向けて発信しています。

公式サイト

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