ISSUE 01
Image by: BOTTEGA VENETA
2021年1月にインスタグラムやツイッターなどSNSアカウントを削除した「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」。絶好調のラグジュアリーブランドによる突然のSNS撤退から約3ヶ月が経った昨日、35歳のクリエイティブ・ディレクター ダニエル・リー(Daniel Lee)が新たに仕掛ける「独自のデジタルスペース」が明らかになった。
ADVERTISING
ボッテガ・ヴェネタが新たに立ち上げたのは、デジタルジャーナル「ISSUE」。ローンチに際して、ボッテガ・ヴェネタは現代におけるソーシャルメディアについて、次のようなステートメントを発表している。
私たちにとってソーシャルメディアは、誰もが同じ情報を見るという意味で、カルチャーの均質化を表すものです。そのため、個性を育まず、またクリエイティブプロセスに対する弊害ともなり得ます。ISSUEは、デジタルカルチャーにおけるボッテガ・ヴェネタの価値観を体系化して表現する方法であり、ペースの速いデジタルワールドに一石を投じること、消費文化に対してよりゆったりとしたペースを推進することを願っています。それは何にも邪魔されずにゆったりと座って映画を観るような、没頭するような感覚です。今日のソーシャルメディアは、クリエイティブな作品が既定のフォーマットでしか発表できないという意味で制限があります。そのため、私たちは自分たちのクリエイティブ作品の発表方法にオーナーシップを持ちたいと考えました。
SNSを削除したものの、デジタルを敬遠するわけではなく、ボッテガ・ヴェネタらしいユニークな方法での発信を模索していたといい、「ISSUE」ではプラットフォーム側の枠に囚われない、音声・写真・映像の没入型コンテンツを用意する。3月31日に配信された創刊号「ISSUE 01」は、昨年10月に発表した「SALON 01」コレクションにフォーカス。コレクションの着想源に連動し、「マイホームでの生活」をテーマに、ミッシー・エリオット(Missy Elliott)による「Hot Boyz」のMVをはじめ、タイラー・ミッチェル(Tyler Mitchell)によるエディブルスカルプチャーの写真、アーティスト Masayoshi Matsumotoによるバルーンスカルプチャーとビデオグラフィーといった作品を収録している。今後は年4回、各コレクションの発売時期に合わせてISSUEを発行していく予定だという。
Image by: BOTTTEGA VENETTA
ISSUE 01のカバーに描かれていたのは、「LOSE YOUR HEAD NOT YOUR MIND」という言葉。個性を失うのではなく、何かに没頭しよう、と呼びかけるようなメッセージは、SNSに振り回される多くの現代人の心に刺さるかもしれない。
プラットフォームの巨大化により、炎上や誹謗中傷などネガティブな要素を孕む場所となったソーシャルメディアから自ら退き、独自のユートピアをオンラインに築いたボッテガ・ヴェネタ。多くのブランドにとって主戦場であるインスタグラムから一抜けできる余裕は、好調のボッテガ・ヴェネタだからこそ許される「ラグジュアリー」とも言えるだろう。スワイプする指を止めたくなるわかりやすくキャッチーなコンテンツがSNS上に溢れかえる中、既存のシステムから解放された同ブランドのクリエイションに期待したい。
■ISSUE 01:公式ページ
■ボッテガ・ヴェネタ:公式サイト
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【フォーカス】の過去記事
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境